163 ヒーローの顔
すでに五区も終盤、、
(・.・;)
都大路をかけた大阪府予選も
いよいよ残り二区間と少し。。
泣くも笑うもあと…
30と数分です。(・_・;)
はてさて…(・n・;)
少しだけ時間を戻します。
といっても本当にホンの
数分程度ですけど…
高校駅伝大阪府予選も
いよいよ終盤五区…
中継所から一キロ地点で
先頭を走る西風に二位の
逢坂が追いついた。。
西風大ピンチ…
と思いきやこれが戦略。
ここから地獄を見るのは
オーバーペースで入った
逢坂の五区の方、、
待ってましたとばかりの
西風の振り回し…
執拗なまでの上げ下げ、、
とはいえその仕掛けは
逢坂だって先刻承知。。
…耐え抜く覚悟もなしに
地獄に足を踏み入れる
阿呆は存在しえない。。
…タイマンの開始…
Σ(゜Д゜)
だがその後方では、、
その展開を待っていた
男がいる。。
否…その展開をわざと
煽った男が控える。。
三位につける天下茶屋…
赤阪千早。(・_・;)
約100m前方の先頭争いを
見据えて自らは完全な
イーブンペースを保って
泰然自若、、、
その鋭い目線は捕食者の
猛禽というよりむしろ…
死肉を狙うハゲタカ。。
(/・ω・)/
強者同士を食わせ合い、
勝った側に食らいつき
敗れ去った側は…
喰い尽くす心積もり、、
そのためにも…
「二キロのタイムが入った。
赤阪は…5分40秒!!」
「…予定から一秒も違わず…
あいつ精密機械かよ。。」
「それより準備しろよ浜寺。
出走まで3分ないぞ。。」
「…分かってる。(;'∀')
もう弱音は吐かねぇ…
だって俺は、、」
…ヒーローになること…
これが浜寺の憧れ。
だからできるなら
自分で勝負を決めたい。
颯爽と前を追い抜いて
トップに立ちたい。
となると気になるのは…
「…西中島!!(; ・`д・´)
ウチと前との差は!?」
「…先頭の西風とは15秒!
逢坂とは…あれ?(・c・;)」
「…12秒??(´゜д゜)
ってことはもしかして…」
「多分…脱落だ!!(;'∀')
これはもしかしたら…」
逆転もある。(・c・;)
なにせ五区は僅か
3キロのスピード区間。
一キロを残した時点での
脱落によるダメージは
想像以上に大きい、、
逃げる西風は調子づいて
さらに差を広げるはず。
逃げられる逢坂にはもう
生気も残らんはず。。
そうなると次は…
…ハゲタカが来る!!
(`・ω・´)
脱落者は食われるのが
長距離走の法。
だから…
「…赤阪が…(;・∀・)ノ
二位に追いついた。
ついに逢坂に並んだ!!」
「…すげぇ…(;'∀')
赤阪のヤツおいしいとこ
持って行きやがって…」
「…残り一キロでペースは
まだ上がってる!!
僅かだが先頭の西風とも
詰まってきてるぞ!!」
「…逢坂との競り合いで
西風も疲れたんだな。。
だったら俺も…」
ヒーローになる。。
先頭の西風を追い抜けば
それこそ俺こそが…
(; ・`v・´)
それは浜寺にとって多分
強いモチベーションに
なることやと思う。
その熱い想いは肯定する
べきやとも思う。。
けど…冷静になれ。。
(;・N・;;)
あくまで目標は都大路。
二位ではダメ。。
見るべきは先頭の西風。
勝ちたいならここまでの
レース展開を考えろ。
焦って前を追ったら
やられるのが駅伝。。
自分一人では勝てない
のが駅伝という競技。。
ATC高校も門大北場も
強豪の逢坂でさえ…
それを忘れたら敗れる。
後続の希望が潰える。
ならば…どうする??
もうタスキリレーまで
2分もない。。
自分で勝負を決めたい
気の急いた浜寺の手綱を
西中島はどう捌く??
「…よし浜寺!!(;'∀')
お前は立派なヒーローに
なってこいや!!」
「…おう…(; ・`v・´)
俺が決めてやる!!」
「…ところで…(・v・;)
ヒーローって何??」
「…えっ?(;´・ω・)」
「最後に美味しいところを
持ってくヤツかな??
お前の言うヒーローは…」
「そ…それは…(・.・;)」
「そんなワケないだろ…」
「…たしかに…(;´・ω・)
そもそもピンチに陥いる
計画性のない時点で
ダメダメなんだけどさ…」
「そうだ。英雄ってのは…
もっと地味なヤツだ。。
泥臭くて愚直で懸命で、
ピンチを未然に防ぐ
目立たない漢の方が実は
カッコ良くないか??」
「…それはそうだけど…
やはり俺は…(´゜д゜)」
「…レース展開を見ろ。。
もしお前がヒーローなら…
今は何を為すべき??」
「…そうだな。(・v・;)
今日の俺は多分…
そういう顔じゃない。」
「…顔じゃねぇよ。(+v+)
それを言ったら多分…
アイツが一番ヒーローの
顔立ちじゃない。。」
「…知ってる…(;´・v・)
だからこそ俺も頑張るさ。
キックスや赤阪に負けない
いい顔を携えて……」
「…そうだな。(;´・v・)
俺たち…約束したよな。」
「…ああ。(*'ω'*)
アイツを笑顔にするのが
俺らの最終目的だ。。」
そう…やった。
(・.・;)
みんなで約束した
天下茶屋の合言葉は…
天保山昇の笑顔。
つまりアンカーのワシが
笑ってゴールすること。
けど…ええのかな??
(´・ω・`)
なにせワシは不気味で
無表情で傷だらけで…
誰よりもヒーローには
似つかわない顔。。
浜寺の方がまだナンボかは
マシやろう。(´・ω・)
けどそれが巡りあわせ。
避けられない法。。
そもヒーローが不細工で
何が悪い!(`・ω・´)
…てかスポーツに容姿は
関係ない!!( `c´)ノ
…ところで赤阪は??
(・n・;)
残り500mで二位を走る
逢坂を抜いたものの
勢いはそこまで。。。
並走状態。(・_・;)
…振り払いたい。。
単独で西風を追いたい。
焦る赤阪の目の前に
現れたのは…
あれれ??(・.・;)
『いけぇ!!<`O´>ノ
ぶち抜け千早ぁ!!』
『負けんなぁ!!<`~´>
抜かれたら殺すど!!』
…誰??(*c*;
メチャクチャがら悪い…
なんでも300mは離れた
第5中継所にまで
聞こえそうな大声で、、
…聞けばこれが…
赤阪の母と姉らしい。
\(◎o◎)/
そりゃこんな家庭では
おとなしい男の子が
育つことでしょう。。
けど赤阪千早は…
ただの大人しい子では
ありません。(`・ω・)
信念のある強い子です。
せやから、、
「……負けねぇ。٩( 'ω' )و
言われるまでもねぇ…」
再び…奮起。(;'∀')
何度だって奮起。。
あらん限りを振り絞り
腕を振って前へ前へ…
ついに逢坂を突き離し
再び目線を前へ…
その西風がタスキを
肩から外した。。
(´゜д゜`)
中継点まで200m弱。
ラストスパートに入る。
これを見て…
赤阪もタスキを取る
残り約250mからその
走りを変える。。
まるでスプリント。
疲れのせいで脚は少々
空回りしてるけど
そこはご愛嬌。。
メガネの奥に見える
西風の背中に向けて
…前へ前へ…
朦朧とし始めた
赤阪の頭の中には、
今は亡き祖父の姿が
浮かんでたらしい。。
アスリートになると
爺ちゃんに誓った夢は…
叶ったの??
それともまだ??
けど…ボクは精一杯
やったよ、、
自分なりではなく…
誰よりもやりきった。
それだけは…
胸を張って言える。。
勝った??負けた??
それは分からない。
だって答えはボクが
決めることでは…
そして先頭の西風が
タスキリレー。
その横で…
あえて浜寺は静かに
右手を上げた。
だってヒーローは
目立たない。
まして俺は二枚目の
顔じゃない。。
だけど俺は…
赤阪と同じ本当の
ヒーローになる。
駅伝のヒーローには
縁の下がお似合い。
勝負を決めるだけが
ヒーローやない、、
浜寺の目は…
そう誓っていたとか。
その目に吸い込まれる
かのように…
アスリート・赤阪千早は
全てを尽くした。
第5中継地点順位。
一位・西風高校。
二位・天下茶屋高校
その差は…11秒。。
作者がこういうこと言うのも
なんなんですけど…
(;´・v・)
私は赤阪千早という
キャラが好きです。。




