161 アスリート
ただひたすらに前に進む
四区のキックス。。
競技以上に大きな視点を持つ
彼にとっての喜び…
そして共感とは??
「三位が交代!!( ゜O゜)ノ
門大北場が脱落して…
天下茶屋が30秒差!!」
「…来たか、、(;´・皿・)
あの黒人留学生だな。。」
「残り一キロ切った!!
上げていけぇ!!<`c´>」
「…無茶な…(;´・C・)
さっき勝負をかけたから
もう脚が残ってねぇ、、」
高校駅伝大阪府予選
四区も終盤戦。(・ω・)
我らが天下茶屋の四区
キックスは健闘して
順位を一つ上げて三位。
中継所時点で45秒あった
先頭集団との差を30秒に
まで詰めてきた。。
沿道からの情報で、
先頭を走る逢坂高校は
後ろを振り返る。。
とはいえ30秒…
170m程の差があっては
大きく振り向かないとその
視界に入っては来ない。。
その目線が逸れた刹那…
仕掛けたのは西風!!
(`・ω・´)
集中を欠いた一瞬を
昨年度優勝の名門校が
見逃してはくれない。。
ここまでずっと逢坂の
すぐ後につけてた西風が
一気に前へ。(・.・;)
あっという間に5mほどの
差をつけた。。
不意をつかれた逢坂は
立て直しができない。。
西風だって大した脚は
残ってないとはいえ
この乱れは大きい。。
差が広がる。(・_・;)
心身ともに限界の終盤に
この流れは致命的、、
実力が同じであっても
僅かな心理の違いが
こうも明暗を分けるのが
長距離種目の怖さ。。
個人種目ならこれで決着。
やけど…
これは駅伝。(`・ω・´)
個人が勝っても負けても
まだ続きがある競技。。
単独一位となった西風と
二位に落ちた逢坂が
お互いを気にしながら
最後の勝負を賭ける中…
その遠因となった男は
騒動に一切関知せず。
(;・∀・)
遥か遠くに見えてきた
中継点に視線を向け
前へ前へ。。
ただ全身全霊を尽くす
ことだけに集中して
歩を進める。
乱れはない。
脚も…残ってる。。
「…百合…預かって。。」
『あれお兄ちゃん。(・n・;)
なぜ荷物の中にスマホを
入れてなかったの??』
「…スタート直前の思いを
発信したかった。(-v-)
今は恥ずかしいからさ…
中継後に読んでくれ。。」
『…わかった。。(・.・;)
雑念は与えないよ。。』
第四中継点からも
その姿が見えてきた。
エース同士が競り合う
長い区間は終わり。
残りは三区間。。
ここからは比較的短い
区間が連続する、
各校の選手層と底力が
問われる勝負処。。
緊張した選手たちが
最後の準備を進める。
そしてついに…
「…6番!用意して!!」
「はい。西風です。。」
このレース…
ここで初めて優勝候補の
西風が最初に校名を
コールされる。。
(・.・;)
次はまだコールされない。
…数秒間の静寂。。
逆転を狙う当事者には
永遠にさえ感じられる。
そして…
「続いて…21番!!」
「はい!逢坂です!!」
その差およそ8秒。
逸る気持ちを抑えもせず
スタートラインに立つ
逢坂の五区。
これに並ぶ西風の五区。
その直後…
トップを走る西風の姿が
大きく見えてきた。
笑顔を携えタスキを掲げ、
ガッツポーズを取りながら
近づいてくる西風の称賛を
あえて遮るかのような
タイミングで次の…
「22番!!('O')」
「天下茶屋…赤阪です!」
キックスが来た!!
(; ゜◇゜)
その刹那…
先頭の襷リレー直前…
あえて西風の視界の内に
赤阪が体を入れた。
これを受けて西風の四区が
後方を振り返る。
天下茶屋を警戒する。。
とはいえ…中継所目前。
冷静に考えたらその確認が
何の意味も持たない
マイナスとは理解する。
けど…知りたい。。
不安で仕方ないんや。
自分がどれだけやったか。
チームがどうなるか。。
未熟な高校生ならば
なおのことや思う。。
そこを見越して赤阪は…
先頭の西風が通過。
( ゜Д゜)
最後までキッチリと
走りを纏めきり、
笑顔でタスキを繋ぐ。
それを睨むように横目で
見つめる逢坂。。
目の前に迫る仲間に
大きな檄を飛ばす。。
だがその目線の後ろに…
そこですかさず、、
「来いやぁ!('◇')ノ
キックスぅ!!」
「…(; ・`チ・´)」
赤阪は…上手いんや。
(/・ω・)/
その前は西風に無用な
振り返りをさせ、
今度は軽い声掛け一つで
逢坂の乱れを誘い出す。。
多分それで生じる成果は
時間にして1秒あるか
ないかの微量や思う。。
けど…確実にある。
僅かの工夫が生み出す
その1秒足らずが勝負を
左右することもある。。
スポーツを知り尽くす
赤阪ならではの小業。。
真っ直ぐなキックスとは
正反対の勝負魂。
けど…根っこは同じ。
自分のできることに
全力を尽くして勝利を
目指すことは同じ。。
せやから…
逢坂が襷を繋ぐ。
奪い取るかのように
タスキを持つと焦りの
ある表情を隠さない
まま前を向き直す。。
先頭…西風とは9秒。
(・_・;)
けどその僅か50mが
最短3キロ区間では
重くのしかかる。。
この区間だけで逆転を
狙うには困難な距離。
まして警戒すべきは
前だけでない。。
そのすぐ後ろから…
キックスが来た!!
ヽ(;▽;)ノ
赤阪はあえて無言で
その片手を上げた。。
だって…知ってるから。
スタート直前に大声を
張り上げて体力消耗する
ことを赤阪はしない。。
励ましは要らない。
最後の応援など無用。。
けどそれができるのは…
キックスやから。。
刹那的な気持ち次第で
動じる男ではないと
赤阪は正しく理解して
いるからこそできる…
逸る気持ちの抑制。
駅伝では当然の最後の
声出しさえもしないのが
この二人ゆえの強さ。
赤阪はあえて黙って…
笑顔で無言で静かに
タスキを受け取る。。
これが…信頼関係。
そして無言で役割を
終えたキックスは
その最後の一息を
振り絞るかのように…
『GO!赤阪サン!!!』
…咆えた、(;O;)
走り出した赤阪の背中を
押すように激を送ると。
精根尽き果てた表情で
その場に倒れ込んだ。。
…多分…(´・n・`)
これが本当に全力を
尽くし抜いた人間の姿。
無駄の一つもなく
最後の一滴までをも
絞り切った漢の姿。。
現代の格好よさとは
真逆かもしれん。。
スマートな爽やかさと
縁遠いかもしれない。
けど…そう感じること
自体が未熟。。
間近で見る漢の姿は
熱くて重厚で不細工で
それでいて誰より…
美しい。。
けどそれを解するのは
おそらく真摯な人。。
真剣に生きたことのある
人間だけなんやろう、、
せやから…
『……さん、(;´・ω・)
大丈夫ですか??』
「……」
『キックスさん??』
「…あ…(・c・:)
赤阪サンノお妹サン…」
『…誰がイモじゃ。(-c-)
とりあえずこれを飲んで…
日本語OKですか??』
「……Sorry…(;´・ω・)
May I talk in English??」
『…NOです。\(◎o◎)/
わたし日本語オンリーです。』
「…OK。(;*-ω-*)
私モウ…大丈夫デスカラ…
アトハダタ祈ルダケ。。」
『あとキックスさん多分…
区間賞です。(;'∀')
スマホの情報ですが…』
「ソンナノ…些末ナコト。。
ソレヨリ私べすとヲ尽クセ
タコトトテモ嬉シイ。。」
『そんなこと言わないで…
画面を見て。。(;'∀')』
「…コレ…(;c;)
赤阪サン私ヲ見テ…」
『あの…キックスさん??
何を見て??( ゜c ゜)』
「…おいもサン。オ兄サンハ…
イイ選手思イマス。(;v;)
彼コソ…あすりーとデス。」
キックスにとって
区間賞以上に嬉しかった
赤阪の一言。。
キックスのタスキの全てを
ボクは繋ぎ切る。。
キックスは…
その全身全霊で詰めた。
この思いをあと三人で…
天下茶屋高校…現在三位。
首位・西風との差は21秒。
二位・逢坂とは…12秒。。。
勝つため…目的のため。。
(*'ω'*)
果たすべき手段は様々です。。
あと天下茶屋高校はもう少し
英語教育を頑張りましょう。。
(´・_・`)




