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都大路の風になれ - 不器用な出来たて駅伝部の全力疾走。。  作者: ふみた
勝てば都大路…大阪府予選スタート。
162/240

161 アスリート

ただひたすらに前に進む

四区のキックス。。


競技以上に大きな視点を持つ

彼にとっての喜び…

そして共感とは??



「三位が交代!!( ゜O゜)ノ

 門大北場が脱落して…

 天下茶屋が30秒差!!」

「…来たか、、(;´・皿・)

 あの黒人留学生だな。。」


「残り一キロ切った!!

 上げていけぇ!!<`c´>」

「…無茶な…(;´・C・)

 さっき勝負をかけたから

 もう脚が残ってねぇ、、」



 高校駅伝大阪府予選

 四区も終盤戦。(・ω・)


 我らが天下茶屋の四区

 キックスは健闘して

 順位を一つ上げて三位。


 中継所時点で45秒あった

 先頭集団との差を30秒に

 まで詰めてきた。。



 沿道からの情報で、

 先頭を走る逢坂高校は

 後ろを振り返る。。


 とはいえ30秒…

 170m程の差があっては

 大きく振り向かないとその

 視界に入っては来ない。。


 その目線が逸れた刹那…



 仕掛けたのは西風!!

 (`・ω・´)


 集中を欠いた一瞬を

 昨年度優勝の名門校が

 見逃してはくれない。。


 ここまでずっと逢坂の

 すぐ後につけてた西風が

 一気に前へ。(・.・;)


 あっという間に5mほどの

 差をつけた。。



 不意をつかれた逢坂は

 立て直しができない。。


 西風だって大した脚は

 残ってないとはいえ

 この乱れは大きい。。


 差が広がる。(・_・;)


 心身ともに限界の終盤に

 この流れは致命的、、

  

 実力が同じであっても

 僅かな心理の違いが

 こうも明暗を分けるのが

 長距離種目の怖さ。。


 個人種目ならこれで決着。


 やけど…



 これは駅伝。(`・ω・´)


 個人が勝っても負けても

 まだ続きがある競技。。


 単独一位となった西風と

 二位に落ちた逢坂が

 お互いを気にしながら

 最後の勝負を賭ける中…



 その遠因となった男は

 騒動に一切関知せず。

 (;・∀・)


 遥か遠くに見えてきた

 中継点に視線を向け

 前へ前へ。。


 ただ全身全霊を尽くす

 ことだけに集中して

 歩を進める。


 乱れはない。

 脚も…残ってる。。



「…百合…預かって。。」

『あれお兄ちゃん。(・n・;)

 なぜ荷物の中にスマホを

 入れてなかったの??』


「…スタート直前の思いを

 発信したかった。(-v-)

 今は恥ずかしいからさ…

 中継後に読んでくれ。。」

『…わかった。。(・.・;)

 雑念は与えないよ。。』



 第四中継点からも

 その姿が見えてきた。


 エース同士が競り合う

 長い区間は終わり。


 残りは三区間。。


 ここからは比較的短い

 区間が連続する、

 各校の選手層と底力が

 問われる勝負処。。


 緊張した選手たちが

 最後の準備を進める。


 そしてついに…



「…6番!用意して!!」

「はい。西風です。。」


 このレース…

 ここで初めて優勝候補の

 西風が最初に校名を

 コールされる。。

 (・.・;)


 次はまだコールされない。


 …数秒間の静寂。。


 逆転を狙う当事者には

 永遠にさえ感じられる。


 そして…

 

「続いて…21番!!」

「はい!逢坂です!!」


 その差およそ8秒。


 逸る気持ちを抑えもせず

 スタートラインに立つ

 逢坂の五区。

 これに並ぶ西風の五区。


 その直後…

 トップを走る西風の姿が

 大きく見えてきた。

 

 笑顔を携えタスキを掲げ、

 ガッツポーズを取りながら

 近づいてくる西風の称賛を

 あえて遮るかのような

 タイミングで次の…



「22番!!('O')」

「天下茶屋…赤阪です!」


 キックスが来た!!

 (; ゜◇゜)


 その刹那…

 先頭の襷リレー直前…


 あえて西風の視界の内に

 赤阪が体を入れた。


 これを受けて西風の四区が

 後方を振り返る。

 天下茶屋を警戒する。。


 とはいえ…中継所目前。


 冷静に考えたらその確認が

 何の意味も持たない

 マイナスとは理解する。


 けど…知りたい。。

 不安で仕方ないんや。


 自分がどれだけやったか。

 チームがどうなるか。。


 未熟な高校生ならば

 なおのことや思う。。


 そこを見越して赤阪は…



 先頭の西風が通過。

 ( ゜Д゜)

 最後までキッチリと

 走りを纏めきり、

 笑顔でタスキを繋ぐ。


 それを睨むように横目で

 見つめる逢坂。。


 目の前に迫る仲間に

 大きな檄を飛ばす。。


 だがその目線の後ろに…

 そこですかさず、、



「来いやぁ!('◇')ノ

 キックスぅ!!」

「…(; ・`チ・´)」



 赤阪は…上手いんや。

 (/・ω・)/


 その前は西風に無用な

 振り返りをさせ、

 今度は軽い声掛け一つで

 逢坂の乱れを誘い出す。。


 多分それで生じる成果は

 時間にして1秒あるか

 ないかの微量や思う。。


 けど…確実にある。


 僅かの工夫が生み出す

 その1秒足らずが勝負を

 左右することもある。。



 スポーツを知り尽くす

 赤阪ならではの小業。。


 真っ直ぐなキックスとは

 正反対の勝負魂。


 けど…根っこは同じ。


 自分のできることに

 全力を尽くして勝利を

 目指すことは同じ。。


 せやから…



 逢坂が襷を繋ぐ。


 奪い取るかのように

 タスキを持つと焦りの

 ある表情を隠さない

 まま前を向き直す。。


 先頭…西風とは9秒。

 (・_・;)


 けどその僅か50mが

 最短3キロ区間では

 重くのしかかる。。


 この区間だけで逆転を

 狙うには困難な距離。


 まして警戒すべきは

 前だけでない。。

 そのすぐ後ろから…



 キックスが来た!!

 ヽ(;▽;)ノ


 赤阪はあえて無言で

 その片手を上げた。。


 だって…知ってるから。


 スタート直前に大声を

 張り上げて体力消耗する

 ことを赤阪はしない。。


 励ましは要らない。

 最後の応援など無用。。



 けどそれができるのは…

 キックスやから。。


 刹那的な気持ち次第で

 動じる男ではないと

 赤阪は正しく理解して

 いるからこそできる…


 逸る気持ちの抑制。



 駅伝では当然の最後の

 声出しさえもしないのが

 この二人ゆえの強さ。


 赤阪はあえて黙って…


 笑顔で無言で静かに

 タスキを受け取る。。


 これが…信頼関係。


 そして無言で役割を

 終えたキックスは

 その最後の一息を

 振り絞るかのように…



『GO!赤阪サン!!!』


 …咆えた、(;O;)


 走り出した赤阪の背中を

 押すように激を送ると。

 精根尽き果てた表情で

 その場に倒れ込んだ。。



 …多分…(´・n・`)

 これが本当に全力を

 尽くし抜いた人間の姿。


 無駄の一つもなく

 最後の一滴までをも

 絞り切った漢の姿。。



 現代の格好よさとは

 真逆かもしれん。。


 スマートな爽やかさと

 縁遠いかもしれない。


 けど…そう感じること

 自体が未熟。。


 間近で見る漢の姿は

 熱くて重厚で不細工で

 それでいて誰より…


 美しい。。



 けどそれを解するのは

 おそらく真摯な人。。


 真剣に生きたことのある

 人間だけなんやろう、、


 せやから…



『……さん、(;´・ω・)

 大丈夫ですか??』

「……」


『キックスさん??』

「…あ…(・c・:)

 赤阪サンノおいもサン…」


『…誰がイモじゃ。(-c-)

 とりあえずこれを飲んで…

 日本語OKですか??』

「……Sorry…(;´・ω・)

 May I talk in English??」


『…NOです。\(◎o◎)/

 わたし日本語オンリーです。』

「…OK。(;*-ω-*)

 私モウ…大丈夫デスカラ…

 アトハダタ祈ルダケ。。」


『あとキックスさん多分…

 区間賞です。(;'∀')

 スマホの情報ですが…』

「ソンナノ…些末ナコト。。

 ソレヨリ私べすとヲ尽クセ

 タコトトテモ嬉シイ。。」


『そんなこと言わないで…

 画面を見て。。(;'∀')』

「…コレ…(;c;)

 赤阪サン私ヲ見テ…」


『あの…キックスさん??

 何を見て??( ゜c ゜)』

「…おいもサン。オ兄サンハ…

 イイ選手思イマス。(;v;)

 彼コソ…あすりーとデス。」



 キックスにとって

 区間賞以上に嬉しかった

 赤阪の一言。。



 キックスのタスキの全てを

 ボクは繋ぎ切る。。


 キックスは…

 その全身全霊で詰めた。


 この思いをあと三人で…



 天下茶屋高校…現在三位。


 首位・西風との差は21秒。

 二位・逢坂とは…12秒。。。


勝つため…目的のため。。

(*'ω'*)


果たすべき手段は様々です。。



あと天下茶屋高校はもう少し

英語教育を頑張りましょう。。

(´・_・`)


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