表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
都大路の風になれ - 不器用な出来たて駅伝部の全力疾走。。  作者: ふみた
勝てば都大路…大阪府予選スタート。
160/240

159 まだ

三区で留学生との争いに

遅れを取った佐野泉。。


けど彼(?)は本当に

負けたのか??

(・.・;)



『…佐野先輩!!(;゜д゜)

 お疲れ…様でした。。』

「…すまん阿倍野…(/ω;\)

 精一杯やったけどこんな…

 遅れてもうて…」


『何を言ってるんです!?

 佐野先輩は健闘しました。

 まだ戦えるこの位置で襷を

 繋いてくただけで、、』

「…けどワシは…(;O;)

 取り返しのつかんことを…

 外国人に負けてもて。。」



 それ聞いた遥…

 (;´・ω・)


 それまで慰めていた泉の

 胸ぐらをグイと掴み

 般若のような顔で一喝…



『正気に戻れや!!!

 佐野泉!!(; `C´)』

「………えっ…(;゜c゜)」


『自分で言うた言葉には

 責任持てや!!

 先輩は言いましたよ!!

 そんなもんは所詮…

 一人分の哀しみだと!!』

「……( ;゜C゜)」


『まだ負けてません!!

 天下茶屋はまだ…

 誰一人として諦めては

 いませんから!!!』

「す…すまん…(;c;)」


『…だから…(;C;)

 謝らないでください。。

 今の佐野先輩は…

 あの日と別人ですか??』

『…そう…かも…(-v-;)

 ちょっと正気を失って

 いたんかもしれん。。』


『…あれ??(;'∀')

 ここで女子モードって

 ヤバくないです??』

『…わからん。(;^ω^)/

 ウチって二重人格なの

 かしら??』



 わかりません。(/・ω・)/


 けど正気を取り戻して

 くれたのは良かった。。


 もしかして…というか

 やはり泉はもう、、



 男子競技中であっても

 男の心持ちではいられん

 状態なんやろうか??


 身体と立場が男で心が女と

 いうのはそれほどまで

 精神を不安定にするもの

 なんやろうか??


 それとも普段と別の人格を

 持つことが難しいのか…



 それ多分…(;´・ω・)

 本人でさえハッキリとは

 分からんと思う。。


 性同一性障害とはまた

 別の問題やとも思う。


 他人が理解するなんて

 およそ不可能や思う。。



 けどこれは本人には…


 平静にいるには大切な

 ことなんやろうな。。


 これからの人生にも…


 今後あるかないかさえ

 知れん競技人生にも、、


 せやから、、



『そう…なるな。(;-∀-)

 なにせウチは女子として

 男子駅伝に出るって

 ムチャしてるんやから…』

『…私も同じですよ。(^v^)

 まぁ色々と違いますけど

 そこは気になさらず…』


『やったら尚更、(-v-;)

 ここで終われんわな。。

 ちゃんと本来の姿で一度

 男子相手に戦わんと…』

『…はい。(´;v;)

 佐野先輩にはそれが一番

 いいと思います。。』


『やったら…まだやな。』

『…はい。(`;v;´)

 まだ何も終わっては

 いませんから、、』



 まだ終わってない。

 (`・ω・´)


 その通り。

 こんな中途半端な結果で

 北摂の白兎の最後を

 終わらせてはいけない。


 それに必要なこと…

 もちろん誰もが承知。。


 当然この男も、、



『二キロの通過タイムが

 入りました!!(;'∀')

 キックスくん…

 5分58秒です!!』

『…順調!!(; ・`д・´)

 それで順位は!??』


『まだ…4位のままです。

 差も縮まってません。

 さすがにどこの学校も

 この区間は実力者を

 揃えてきてます。。』

『…うーむ。(;´・n・)

 四区も準エース区間。

 そう簡単には勝たせて

 もらえんわな。。』



 敵もさるもの

 引っ掻くもの。

 (;´・ω・)


 なにせこの上位高は

 どこも一区の10キロで

 30分を切った学校。。


 そこの準エースなら

 キロ3分は保てて当然。


 事実その通りのペースで

 刻んでいて、、


 2キロ通過時点で

 キックスの差は43秒。


 この2キロで2秒だけ

 縮まってるってことは

 きっちり3分ペース。。


 その一方で、、



『先頭集団に…(゜Д゜)

 14秒差でスタートした

 門大北場が追いついた

 らしいです!!』

『…無茶な…(;゜Д゜)

 そんなに強いランナー

 やないはずや。。

 2キロで追い付くって

 オーバーペースにも

 程がある、、』


『…キックスくんに…

 焦らずペースを保つよう

 伝令を出します。。

 ここは自重しないと後半

 勝負にならなくなる。』

『…頼む、(;゜N゜)

 焦ったら勝機が消える。

 ここはまだ一人で背負う

 タイミングやない…』



 そう…(;´・ω・)

 勝負処は今やない。。


 相手は強豪陸上部の

 準エースばかり。


 45秒…250mもの差を

 キックス一人でひっくり

 返すのは容易やない。 


 残り4区間。

 均等に詰めればええ。


 つまり後半最長の四区は

 15~20秒で充分。。


 その残りはワシらが…


 きっと団体競技とは

 そういうもの。


 タスキを繋ぐとは

 希望を繋ぐこと。。 

 

 一人の英雄は要らない。

 (`・ω・´)


 一人で勝つことは難く

 一人で敗れることは

 容易いこの競技において、

 後続の仲間への信頼と

 責任は何より大切。。


 だから第四中継所で

 キックスを待つ立場の

 五区の男としては…



『…お兄ちゃん?(・n・;)

 キックスに感謝してる…

 ってどういう意味??』

「…うーん。。(;´v`)

 アイツはボクのこと…

 いや…後半の仲間を信用

 してくれてるから。。」


『…信用??(・.・;)

 それがなぜわかるの??』

「…キックスだから。。

 ずっと目標を同じくした

 仲間のことをボクは

 手に取るようにわかる…

 特にキックスは誰よりも

 真摯な男だからさ。。」


『…でもお兄ちゃん…

 ラップタイムを聞いた

 だけだよね。。』

「…充分だ。(; ・`v・´)

 陸上選手にとって時計は、

 口ほどにモノを言う。。

 しかも…正直だ。」


『…たしかに、(;-∀-)

 けど投擲選手の私は、

 その数字で仲間たちとは

 語れなかったかも…』

「…ああ。。(;'∀')

 そしてこれが団体競技の

 醍醐味なんだろう。

 本当に幸せだと思うよ。。

 ボクは駅伝選手で…」



 団体競技の醍醐味、、

 アスリートならではの

 瞬時に数字で語る感覚、、


 駅伝はこれを両立する

 珍しい団体競技。。

 


 高校まで陸上をしてきて

 ワシらはその事実を

 初めて体感してる。。

 (`・ω・´)


 

 個人種目の陸上部員が

 同じ感覚を共有できる

 希少な団体戦。。


 責任・希望・信頼。。


 だからその一歩手前…


 第三中継所にはまだ

 その責任を果たさんと

 力を振り絞る男も。。



「…来たぞ、(;゜c゜)

 ATCのナンコウ…」

「マジかよ、(;゜Д゜)

 アイツ棄権しないでまだ

 粘ってたのかよ、、」



 トップの通過から既に

 およそ10分、、


 三区の終盤までは先頭を

 争っていたATC高校の

 ナンコウ選手がやっと

 中継点に姿を見せた。。



 先程までの力強い走りは

 見る影もない。。


 ヒザは棚落ちで絶望。。

 目も虚ろでフラフラで…


 時に止まり這いつくばり

 そうにさえなっても…


 チームにはもう勝ち目は

 ないのにそれでも、、



 彼は繋ぎ切った。。

 (/;ω;\)



 先頭との差はおよそ11分。


 もう逆転はない。

 先頭にを争っていたはずの

 チームは最下位争い。。


 冷ややかな視線もある。

 ATC高校の仲間たちに

 もう期待の声はない。。


 レースを潰した傭兵を

 励ます仲間もない。。


 医療スタッフに囲まれる

 だけのナンコウやけど… 


 

『…あんた…(/;ω:)

 最後までようやったな。。』

「…??( ;゜c゜)

 きみハサッキノ選手??」


『…頑張った。。(/ω:\)

 途絶えさせんかったこと…

 今はただ誇ればええ。。』

「…きみハコンナぼくニ…

 何ヲ誇レト??(´;n;)」


『……分かるから。(:v;)

 今はどんな惨めでも…

 繋ぎ切った意味はいつか

 きっと分かるから。。』

「……クッ、、」



 ナンコウ選手。


 人目もはばからずに

 泣いたらしい。。



 たとえ這ってでも…


 手指の一本も動くうちは

 襷を繋ぎ切ることこそが

 託された選手の最低限。


 駅伝選手の誇り。


 

 けどその襷を繋ぐことを

 誇る気持ちを知ること…


 ただ無難に繋げる

 幸福者には分からない

 感情なのかもしれん。。




勝負事において勝ち負けは

常に付きまとう。

(・へ・)

だがそれは一意ではない。


特に団体競技においては、

勝負は下駄をはくまで

わからないんです。。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ