159 まだ
三区で留学生との争いに
遅れを取った佐野泉。。
けど彼(?)は本当に
負けたのか??
(・.・;)
『…佐野先輩!!(;゜д゜)
お疲れ…様でした。。』
「…すまん阿倍野…(/ω;\)
精一杯やったけどこんな…
遅れてもうて…」
『何を言ってるんです!?
佐野先輩は健闘しました。
まだ戦えるこの位置で襷を
繋いてくただけで、、』
「…けどワシは…(;O;)
取り返しのつかんことを…
外国人に負けてもて。。」
それ聞いた遥…
(;´・ω・)
それまで慰めていた泉の
胸ぐらをグイと掴み
般若のような顔で一喝…
『正気に戻れや!!!
佐野泉!!(; `C´)』
「………えっ…(;゜c゜)」
『自分で言うた言葉には
責任持てや!!
先輩は言いましたよ!!
そんなもんは所詮…
一人分の哀しみだと!!』
「……( ;゜C゜)」
『まだ負けてません!!
天下茶屋はまだ…
誰一人として諦めては
いませんから!!!』
「す…すまん…(;c;)」
『…だから…(;C;)
謝らないでください。。
今の佐野先輩は…
あの日と別人ですか??』
『…そう…かも…(-v-;)
ちょっと正気を失って
いたんかもしれん。。』
『…あれ??(;'∀')
ここで女子モードって
ヤバくないです??』
『…わからん。(;^ω^)/
ウチって二重人格なの
かしら??』
わかりません。(/・ω・)/
けど正気を取り戻して
くれたのは良かった。。
もしかして…というか
やはり泉はもう、、
男子競技中であっても
男の心持ちではいられん
状態なんやろうか??
身体と立場が男で心が女と
いうのはそれほどまで
精神を不安定にするもの
なんやろうか??
それとも普段と別の人格を
持つことが難しいのか…
それ多分…(;´・ω・)
本人でさえハッキリとは
分からんと思う。。
性同一性障害とはまた
別の問題やとも思う。
他人が理解するなんて
およそ不可能や思う。。
けどこれは本人には…
平静にいるには大切な
ことなんやろうな。。
これからの人生にも…
今後あるかないかさえ
知れん競技人生にも、、
せやから、、
『そう…なるな。(;-∀-)
なにせウチは女子として
男子駅伝に出るって
ムチャしてるんやから…』
『…私も同じですよ。(^v^)
まぁ色々と違いますけど
そこは気になさらず…』
『やったら尚更、(-v-;)
ここで終われんわな。。
ちゃんと本来の姿で一度
男子相手に戦わんと…』
『…はい。(´;v;)
佐野先輩にはそれが一番
いいと思います。。』
『やったら…まだやな。』
『…はい。(`;v;´)
まだ何も終わっては
いませんから、、』
まだ終わってない。
(`・ω・´)
その通り。
こんな中途半端な結果で
北摂の白兎の最後を
終わらせてはいけない。
それに必要なこと…
もちろん誰もが承知。。
当然この男も、、
『二キロの通過タイムが
入りました!!(;'∀')
キックスくん…
5分58秒です!!』
『…順調!!(; ・`д・´)
それで順位は!??』
『まだ…4位のままです。
差も縮まってません。
さすがにどこの学校も
この区間は実力者を
揃えてきてます。。』
『…うーむ。(;´・n・)
四区も準エース区間。
そう簡単には勝たせて
もらえんわな。。』
敵もさるもの
引っ掻くもの。
(;´・ω・)
なにせこの上位高は
どこも一区の10キロで
30分を切った学校。。
そこの準エースなら
キロ3分は保てて当然。
事実その通りのペースで
刻んでいて、、
2キロ通過時点で
キックスの差は43秒。
この2キロで2秒だけ
縮まってるってことは
きっちり3分ペース。。
その一方で、、
『先頭集団に…(゜Д゜)
14秒差でスタートした
門大北場が追いついた
らしいです!!』
『…無茶な…(;゜Д゜)
そんなに強いランナー
やないはずや。。
2キロで追い付くって
オーバーペースにも
程がある、、』
『…キックスくんに…
焦らずペースを保つよう
伝令を出します。。
ここは自重しないと後半
勝負にならなくなる。』
『…頼む、(;゜N゜)
焦ったら勝機が消える。
ここはまだ一人で背負う
タイミングやない…』
そう…(;´・ω・)
勝負処は今やない。。
相手は強豪陸上部の
準エースばかり。
45秒…250mもの差を
キックス一人でひっくり
返すのは容易やない。
残り4区間。
均等に詰めればええ。
つまり後半最長の四区は
15~20秒で充分。。
その残りはワシらが…
きっと団体競技とは
そういうもの。
タスキを繋ぐとは
希望を繋ぐこと。。
一人の英雄は要らない。
(`・ω・´)
一人で勝つことは難く
一人で敗れることは
容易いこの競技において、
後続の仲間への信頼と
責任は何より大切。。
だから第四中継所で
キックスを待つ立場の
五区の男としては…
『…お兄ちゃん?(・n・;)
キックスに感謝してる…
ってどういう意味??』
「…うーん。。(;´v`)
アイツはボクのこと…
いや…後半の仲間を信用
してくれてるから。。」
『…信用??(・.・;)
それがなぜわかるの??』
「…キックスだから。。
ずっと目標を同じくした
仲間のことをボクは
手に取るようにわかる…
特にキックスは誰よりも
真摯な男だからさ。。」
『…でもお兄ちゃん…
ラップタイムを聞いた
だけだよね。。』
「…充分だ。(; ・`v・´)
陸上選手にとって時計は、
口ほどにモノを言う。。
しかも…正直だ。」
『…たしかに、(;-∀-)
けど投擲選手の私は、
その数字で仲間たちとは
語れなかったかも…』
「…ああ。。(;'∀')
そしてこれが団体競技の
醍醐味なんだろう。
本当に幸せだと思うよ。。
ボクは駅伝選手で…」
団体競技の醍醐味、、
アスリートならではの
瞬時に数字で語る感覚、、
駅伝はこれを両立する
珍しい団体競技。。
高校まで陸上をしてきて
ワシらはその事実を
初めて体感してる。。
(`・ω・´)
個人種目の陸上部員が
同じ感覚を共有できる
希少な団体戦。。
責任・希望・信頼。。
だからその一歩手前…
第三中継所にはまだ
その責任を果たさんと
力を振り絞る男も。。
「…来たぞ、(;゜c゜)
ATCのナンコウ…」
「マジかよ、(;゜Д゜)
アイツ棄権しないでまだ
粘ってたのかよ、、」
トップの通過から既に
およそ10分、、
三区の終盤までは先頭を
争っていたATC高校の
ナンコウ選手がやっと
中継点に姿を見せた。。
先程までの力強い走りは
見る影もない。。
ヒザは棚落ちで絶望。。
目も虚ろでフラフラで…
時に止まり這いつくばり
そうにさえなっても…
チームにはもう勝ち目は
ないのにそれでも、、
彼は繋ぎ切った。。
(/;ω;\)
先頭との差はおよそ11分。
もう逆転はない。
先頭にを争っていたはずの
チームは最下位争い。。
冷ややかな視線もある。
ATC高校の仲間たちに
もう期待の声はない。。
レースを潰した傭兵を
励ます仲間もない。。
医療スタッフに囲まれる
だけのナンコウやけど…
『…あんた…(/;ω:)
最後までようやったな。。』
「…??( ;゜c゜)
きみハサッキノ選手??」
『…頑張った。。(/ω:\)
途絶えさせんかったこと…
今はただ誇ればええ。。』
「…きみハコンナぼくニ…
何ヲ誇レト??(´;n;)」
『……分かるから。(:v;)
今はどんな惨めでも…
繋ぎ切った意味はいつか
きっと分かるから。。』
「……クッ、、」
ナンコウ選手。
人目もはばからずに
泣いたらしい。。
たとえ這ってでも…
手指の一本も動くうちは
襷を繋ぎ切ることこそが
託された選手の最低限。
駅伝選手の誇り。
けどその襷を繋ぐことを
誇る気持ちを知ること…
ただ無難に繋げる
幸福者には分からない
感情なのかもしれん。。
勝負事において勝ち負けは
常に付きまとう。
(・へ・)
だがそれは一意ではない。
特に団体競技においては、
勝負は下駄をはくまで
わからないんです。。




