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都大路の風になれ - 不器用な出来たて駅伝部の全力疾走。。  作者: ふみた
勝てば都大路…大阪府予選スタート。
159/240

158 天下茶屋の襷だけ

第三区の終盤に異変。

(´゜д゜`)


先頭集団にいたATC高校

ナンコウ選手、、


アクシデントです。。



「…あっ、(´゜д゜`)

 これもしかして…」

「…行ケ!!GO!!

 構ワナイデ…(;O;)」



 ここでいきなり…

 ATC高校が脱落。。

 (;O;)

 もちろん経験豊富な

 泉にはわかる。。

 これは多分…


 棚落ち、(;゜Д゜)


 競技続行はおろか

 選手生命さえ危ぶまれる

 ホンマの一大事。。


 あの放出の不幸な事件は

 きっとこれと同じ… 



 けどスタッフの少ない

 高校駅伝府大会では

 救護も罷りならん。。


 もちろん泉が手を貸す

 ことはでけん。。

 (`・c・´)


 せやから…



「…スマン…( ;Д;)

 きっとアンタの分も…」

「……(;n;\)」


 

 それが…精一杯。

 

 泉がナンコウ選手の分を

 頑張ったところで

 何もならんのは道理。。


 けどそれしか…

 (・_・;)



 一方で沿道からは…


『…泉ぃ!(; `c´)ノ』

『頑張れぇ!!

 男なんかに負けるな!』



 声援を送ってるのは

 泉のクラスメートたち。

 (;´・ω・)


 普段は女同士やけど現実、

 彼女たちは自転車でも

 泉の走りに並走すること

 さえできない。。


 その力強ささえ応援して

 くれる有難い友人たち。。


 そんな自分を…

 男子黒人留学生を相手に

 激走できる男を普通に

 女生徒として扱った上で

 友達でいてくれる。。


 そんな彼女たちの前で…

 無様は見せられない。。

 (`・ω・´)


 こんな男を応援して

 もらえるのなら…


 少しでも上等な男で

 あらんとするのが道理。


 そのあたり泉は誰よりも

 おとこ前な女子高生である

 わけであって、、


 

 できることをやるしか

 自分の気持ちにさえ

 解決は見られない。。


 他人に示すなど

 それ以上に難しい。。


 それを誰より解するのは

 やはりこの男であって…



『キックスくん…(´゜д゜)

 つまりナンコウ選手は

 故障したってこと??』

「…多分…( ・n・)

 ケド私ハ何モデキナイ、」


『…けど!?( ;`c;´)

 キックスくんは彼と

 同郷の友達なんでしょ!?

 何とも思わないの!?』

「今ハ…関係ナイ。(`-n-)

 すたーとマデ時間ナイ…」


『…わかるけど…(・c・;)

 それって冷たすぎない??』

「私ハ全力デ走ルダケ、、

 タダ…ソレダケ。(`・ω・)」


『それは…何のため??

 自分のためかそれとも…』

「…多分ソレ…(-v-;)

 自分ニハワカランデス。。」


『わから…ない!?(;`O´)

 チームのためでしょ??』

「…私ハ全力デ走ルダケ、、

 ソレドウ感ジルカハ皆次第。

 仲間モ友モ恩人モ…

 ちーむガ勝ツ負ケルサエ

 自分ハ決メラレナイ。。」


『…つまり…(・c・;)

 励ましも慰めもない。。

 自分は頑張りを見せるから

 あとはそれを見て其々が

 判断すればいいと…』

「ハイ私…迷ウノ止メタ。

 何カノタメ頑張ルジャナイ。

 タダ前ヲ向イテ走ル。。」



 かっこ…良すぎる。。

 (・_・;)


 仲間のためチームのため

 友のためファンのため

 お世話になった人のため。


 それで頑張れるのなら

 それに越したことは

 ないけどそれはつまり…



 押し付け。(・.・;)


 自分の頑張りをどう

 感じるかの押し付けに

 なりかねんこと。。


 元気の押し売りとさえ

 言われかねんこと、、


 だけど…


 キックスは違う。

 (`・ω・´)


 彼の目的はあくまでも

 母国の平和の礎、、


 普通のスポーツ選手が

 ファンに魅せる範囲など

 比較にさえならん。。



 とはいえキックスが

 走ったくらいで何かが

 変わる問題やない。。


 エンターテイメント性は

 まったくの皆無。。


 それを見て何かを感じて

 もらえるとも限らん。。


 まして…(;´・ω・)


 結果に一切の言い訳は

 することさえでけん。。


 それでも…



「…任セテ、(; ・`v・´)

 私ハ負ケナイカラ。。

 ソノ覚悟ダカラ……」

『…わかった。(;'∀')

 けどなぜそこまでの

 決意ができたの??』


「…ダッテ私…(;´・v・)

 助ッ人デハナイ。

 傭兵デモナイ天下茶屋

 仲間デハアルケド…」

『…けれど??(・.・;)』


「…友モイル。(-v-;)

 一緒ニ走ル人タチミンナ

 頑張ッテル同ジ。。

 ダカラ争イ負カスハ

 本意デハナイデス。。」

『…分かるよ。(;'c')

 それがキックスくんだ

 とも思うけど今は…』


「…ダカラ私…(; ・`v・´)

 前ダケ向クコトニシタ。

 天下茶屋ノ襷ダケ…

 ソレダケニ走リマス。」

『…参ったよ。。(;-v-)

 もし私があの時…

 それだけの決意ができて

 いたのなら。。』



 …かもしれん。(;´・ω・)


 今だけ自分だけチームだけ。


 そういう狭い発想でなく

 さらに純粋な思いがあれば

 もしかしたら遥も放出も

 あんなことには、、


 そしてワシ自身も…



 そのうちに…



「…6番と21番、準備して。

 続いて13番も。。」



 先頭が見えてきた。


 第三中継所…(・_・;)

 最初にコールされたのは


 一位の逢坂と二位の西風、


 これに少し遅れた三位には

 門大北場が付けてる。。



 四位は…まだ見えん。

 ATCは脱落したらしい。。

 (/ω;\)

 その差は如何に…

 と思った刹那、、



「…22番!!( `・c・)

 そろそろ準備して。。」

「…ハイ、(`・ω・´)

 私…天下茶屋デス。。」


「…これは…(;'v')」

「…(;´・ω・)??」



 これは…(・.・;)


 係員にさえ興味を惹かれる

 展開になったんやな、、


 アフリカ人留学生三人が

 先頭を争う三区を終え、

 ここからは日本人同士の

 争いになる思いきや…



 四位の天下茶屋がこの

 四区にアフリカ人を起用。

 (/・ω・)/


 …周囲がざわつく、、


 タスキを待つ上位三校の

 四区…日本人選手たちは

 冷や汗を以てキックスに

 視線を向ける。。

 


 三区でアフリカ人留学生が

 日本人に大差をつけて

 逃げ切るのが現代の

 高校駅伝の戦略の基本。


 だが次の四区に留学生を…


 大差をひっくり返す大砲を

 据えられるというケースは

 想定されていない。。


 とはいえ…



『…気にしないで、(*'c')

 だってキックスくんは

 語学留学生だから。。

 走りは日本人と同程度…』

「……関係ナイデス。。

 私ハタダ懸命ニ走ルダケ。

 ソレ以外ハデキナイ。」


『けど…周りは緊張して

 くれてるから、、

 そこを上手く使えば…』

「…騙シ討チシナイ。

 正々堂々ト走リマス。

 ケド…(`・ω・´)」


『…けど??( ゜c゜)』

「私ハ…勝ツヨ、(*'ω'*)

 自分ニモ何ニモ負ケナイ。

 ソレダケ…誓ウ。。」



 これがキックスの…

 (・.・;)

 平和のために戦う漢が

 出した答なんやな。。


 誰のためでもない。

 誰と争うでもない。。


 自分に勝つために走る。


 その姿を見せるだけ。


 見る者が何を感じるかに

 恣意は一切ない。。



 だからやろう、(・_・;)


 上位三校が通過しても

 一切の泰然自若。


 見据えるのは仲間だけ。


 自分たちの襷だけ、、


 そのタスキは…



 泉は…耐え抜いた。。

 (`・∀・´)


 仲間のため友のため

 敗れた強敵のため…


 そして何より…

 自分自身のため。。



 後半に強い白兎は

 一度は崩れた走りを

 精一杯に立て直し

 最後の一キロを、、


 2分58秒で纏めた。。



 身体を投げ出して

 襷を繋ぐ泉、、


 力強くその襷を

 受けたキックスは

 その視線を前に

 向き直す、、

 (; ・`д・´)


 アフリカ人ならでは

 でない視力1.5の

 キックスにあっても

 一切の問題はない。



 先頭まで…45秒。


 まだおよそ250m、、



 天下茶屋の目標は

 まだ見えてる、、


 まだ…射程圏内。。


アスリートがその戦う姿を

見せるのは誰のため??

はたまた何のため??

(´・ω・`)


それは見せる側が決める

ことではない。

訴えることでもない。



その姿に何を感じるか…


決めるのは見る側です。



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