157 切らすな
高校駅伝男子大阪府予選。
留学生だらけのこの第三区で
先頭集団を捕らえる快走を
魅せるは史上最速の女子高生(?)。
MtFの佐野泉。(;'∀')
やけど雲行きが怪しくて…
「…ヤハリ…(;'v')
ホボ予想通リニ来タ。
ATCノなんこう選手。」
「えっ…誰??(・O・;)
アイツどっから??」
「…奴ハおーばーぺーすデ
来テルハズ。(`・ω・)
引キ付ケテ潰ス。。」
「…何??(´゜д゜`)
聞いてないよぉ、、」
ダチョウ倶楽部か、(=゜ω゜)ノ
けどそんなことになる
のが実情みたいや。。
第三区は5キロを通過。
タイムは…15分01秒。。
(・へ・)
留学生2人が引っ張った
区間としてはイマイチ
物足りん時計。。
けどその影響で三位で
スタートした天下茶屋の
佐野泉が14秒を…
同じく四位スタートの
門大北場のエチオピア人
も16秒を詰めて、、
四人の先頭集団を形成。
これは前半を出遅れた
天下茶屋にすれば絶好の
展開やった…はずが、、
「…上がった!?(・O・;)
5キロ過ぎで先頭集団の
ペースが急にか!??」
「…どういうことや放出??
ちゃんと説明して!?
(´゜д゜`)」」
「…多分…(; ・`n・´)
先頭を走る留学生たちは
待っていたんだ。。
後方から来るであろう
最も要警戒な選手を…」
「…そうかも…(;゜c゜)
留学生は概して後半に
強いからそこを溜めてた
としたらおそらく…」
「…佐野…(; `;c;´)
何とか耐えてくれ。。
ここはなんとしても…」
「…泉…(;゜Д゜)
ワシらが言うのも何やが
三区でのブレーキは…」
…致命傷になる。。
(´・c・`)
留学生だらけの三区は
高校駅伝では最も
戦いにくい区間であり…
逆転不可能な状態で
中間点を通過させられる
区間とも言える。。
けど逆にこの区間を
粘りさえすれば…
先頭を見据えられたまま
この区間を乗り切れば…
後半の戦力次第では
まだ希望は繋げる。。
(;`c´)ノ
後半に強者(?)のおる
天下茶屋にはその
可能性がある。。
…はずやけど…
(・_・;)
追い上げてきてるのは
ナンコウ選手??
…なんで??(・.・;)
だってATC高校は
地方予選ではあんだけ
手を抜いた天下茶屋より
遅れた四位やった。。
ワシが言うのもなんやが
ナンコウ選手の成績も
区間二位やったはず。。
いくら地方予選の成績は
参考にならん言うても
さすがにこれって…
けど遥とキックスには
思い当たることも…
『…そういえば友達から
聞いたよ。。(・c・;)
ATCは地方予選では
力を抑えてたって…』
「…ハイ遥サン…(-v-;)
特ニなんこうサンハ
半分以下ニ抑エテタト
本人ガ言ッテマシタ…」
『…半分!?(´゜д゜`)
天保山先輩に圧勝して
半分以下なの??
というか何故そこまで
抑えてたの??』
「…アノ人…(・c・;)
私ニダケ言ッテクレタ…
内緒ダケド実ハ、、」
『こんなところで内緒話
って何や!?(=゜O゜)ノ
というか…放出先輩と
同じってどういう…』
「…全力デ走ル…
何度モハデキナイ。
ダカラ今日ダケ全力…
ト言ッテマシタ。。」
『…!?(´゜д゜`)
もしかして他の留学生は
そレを狙ってわざと
スローペースで展開を…』
「…遥サン、(`・ω・´)
今ノハクレグレモ
ココダケノ話ニ…」
『できるか!!(; ・`c・´)
みんな事情を知っていて
なんて酷いことを!?』
「…ケドソレガ…
傭兵ナンダソウデス。。」
助っ人…傭兵。。
(´・ω・`)
たかが高校スポーツに
さえ使われる言葉。。
私立高校が学校名の
宣伝のため雇い入れる
外国人留学生。。
もちろん本人たちにも
大きなメリットは
あるんやけど実態は…
あくまでビジネス。。
チームに馴染んで
仲間と勝利を喜んで
そのまま日本で
選手として大成する
者もおる一方、、
(・_・;)
使い捨てにされる者も
少なくないとか。。
けどそれでも当人に
半端は許されへん。。
助っ人としてチームに
携わる責任たるや
軽いモノでないはず。
せやからその走り…
半端でないのは凡そ
当たり前のこと、、
(´゜д゜`)
「…くっ、(;゜Д゜)
ここで急に来る!?」
「…失敬、(-v-;)
ダガコレガ我々助ッ人
留学生ノ仕事ダ。。」
「けど…(; ・`д・´;)
ワシかて助っ人や…」
「…ソレ…(;´・v・)
現実トハ違ウヨ。。」
「…現実!?(; ゜c゜)」
「悪イナ日本人…
コレガ助ッ人ダヨ。。」
…泉が…(・O・;)
あの佐野泉が一瞬で
置き去りにされた!?
序盤5キロを15分01秒
というスローペースで
入っていた先頭の
西風と逢坂が同時に
ギアチェンジ。。
これに呼応したのが
泉とほぼ同時に先頭に
追い付いた門大北場。
この三校の選手…
いずれもアフリカ人の
留学生たちが急速に
スピードを変える。。
これが…留学生。。
後半に力を溜めてた
黒人選手の爆発力。。
これはさすがの泉にも
想定外やったらしい。。
(/ω;\)
一瞬で離されて体勢を
直さんとした刹那、
その横を猛スピードで
抜き去って行くのは…
ATCのケ二ア人留学生
ナンコウ選手、、
地方予選でワシが負けた
時とさえ比較にならん
エゲツナイ速さ。( ゜Д゜)
泉は…(;´・ω・)
二度体勢を崩された。
中間点を過ぎての
この崩れは致命傷に
なりかねん。。
そして6キロ地点での
報告では…
「先頭集団4人、、
泉とは…12秒差!!」
「…12秒!?( ゜Д゜)
泉かってこの1キロは
3分ジャストやぞ。。
それをその間だけで
そんな離した!?」
「あとそんな集団に…
ATCは追い付いた!?」
「…そんな強いんだ…('c')
そりゃ天保山がやられる
のも納得だな。。」
「…スマンな放出…(-_-;)
けど泉はどうなる??」
「…厳しいよ、(;´・ω・)
留学生は予想以上だし
そもそもアイツは…」
そう…(;´・ω・)
そもそも泉はMtFとか
助っ人とか以前に…
中距離走者。(・_・;)
練習中でも適性距離は
だいたい5キロまで。。
8キロ区間への適性が
ワシらに比べたら
今一つなんや。(-n-;)
とはいえ…(・.・;)
粘ってはおる。。
泉のペースは落ちてない。
留学生たちにしたって
さすがにこのスピードは
只事やない。。
この調子で粘ってれば
きっと戦える差のままで
四区以降に繋げる。。
落ちたランナーを拾えば
順位をも上がるかも、、
けど現実は…
「先頭が7キロ地点通過、
20分…34秒!?(; ゜c゜)」
「はぁ!?(;゜Д゜)
この1キロを2分45秒!??
いくら勝負所でも有り得ん。
誰か潰れてまうぞ!!」
「…それだけ前半を抑えて
いたということだ、、
だが佐野にも余力はある。
粘ってつければまだ…」
「…泉のタイムは…(;c;)
先頭と35秒差、、」
「泣くな天保山!!(;`・c・)
ラップは…3分08秒!!
そこまで落ちてないぞ…
先頭はまだ見えてる!!」
「…けど…(/;O;\)
このままやと…」
「…たしかに厳しいが…
俺はもう祈るしかないが、
天保山はまだ戦える!!
その気持ちだけは絶対に
切らすんじゃない!!」
「……( `;c;´)、、」
そう…や。<`ヘ´>
ワシらはまだ戦いの
最中なんやから。。
ならば…切らすな。
(`;n;´)
襷が切れる前に仲間が
気持ちを切らすな。
途切らせる哀しみの
重みは知ってる。。
いや…知らされてる。
そんな仲間なら…
泉なら必ずその全力を
注いで最小限の差で
繋いでくれるはず。。
戦う権利を残したまま
繋いでくれるはず。。
…やけどそんな泉が
7キロを通過後して
暫くで見たものは、、
「…えっ!?(;゜c゜)
どういうこと??」
「……見ルナ…<`;c;´>
ぼくハ…ぼくハモウ…」
「ま…まさか…(;゜c゜)」
「……行ケ…<`;ヘ;´>
ぼくニ構ワズ行ケ、、」
これ多分…(;゜Д゜)
放出と近しい症状。。
苦悶の表情で膝を抑え
泉とは100m以上もあった
差を一気に詰められて
抜かれていくのは…
さっきまで元気一杯
だったはずの…
ATCのナンコウ。。
(;c;)
先頭集団から遅れた自責の念を
一身に背負う泉。。
けど目の当たりにしたのは
それ以上に重い責任、、




