表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
都大路の風になれ - 不器用な出来たて駅伝部の全力疾走。。  作者: ふみた
勝てば都大路…大阪府予選スタート。
155/240

154 漢同士にしか…

先頭で帰ってくると予想されていた

一区の放出が脱落。、(´゜д゜`)


どこまで耐えきれる??


「は…放出が!?( ゜Д゜)」

「9キロ手前で集団を脱落!!

 先頭とはおよそ15秒!!」


「なんで!?( ;`c;´)

 アイツは追わへんね!?」

「…落ちつけ泉、(・へ・;)

 暴れてどうする!!?

 お前はもうあと10分程で

 スタートだぞ。。」


「……分かった。(;´・c・)

 もう大丈夫やけどその…」

「…何か問題??(・c・;)」


「…その、(#-v-#;)

 胸は抑えんといて。。」

「あっ!?(/・O・;)/

 決してそんなつもりは…」



 何しとんねん、(-c-;)


 というか泉の胸を触って

 触られるってどういう??


 今は…というか普通に

 男同士やないの??

 (´・ω・`)



 …けど、、(・.・;)

 それだけの動揺は分かる。


 絶対的エースの脱落、、


 先頭と15秒差とはいえ

 現在第7位。。


 留学生を大挙相手にする

 三区の泉にすれば

 追う展開は避けたい。。



 もちろんそんなこと

 放出だってわかってる。。


 けど・・・



「ぐっ!!<`~´>」


 突き上げるような鈍痛が

 一歩一歩と襲い掛かる。。

 (´゜д゜`)


 壊れかけた膝というのは

 簡単ではない。。


 体重を受け流せない。。


 全体重を真上から乗せる

 以外の方法を取れば

 一気に全壊しかねない。。


 そこに一切の緩衝材は

 存在しないかの如く、、

 背骨を通して脳天まで…



 駅伝選手が削り出す一歩が

 今の放出にとっては…

 

 地獄、、拷問。。

 (:c;)


 まるで重たいハンマーで

 叩きつけられるかの衝撃が

 上からではなく下から、、


 それが残り一キロも…


 けど…それでも、、



「拾え!!拾えるぞ!!」

「…は、はっ、」


「無理するな!!

 体勢を崩すなよ!!」

「……<`;~;´>」



 声なんかでない、、


 けど体力はあるはず。


 痛みを堪えさせすれば

 もしかしたらまだ

 追えるかもしれない…


 けど、、


 ペースは上げられない。

 (`・ω・´)


 今ここで無謀な賭けを

 打つことはできない。。



 自分の身体一つならば、

 アスリートなら

 いつでも壊す覚悟が

 あるのは当然。。


 けど一つ間違えたら

 仲間の全てを

 崩壊させる現実。。

 (:n;)


 常人は凡そ経験する

 こともない痛みにさえ

 耐えられる漢でさえ

 その現実にはもう…



 想像を絶する地獄。。


 戦い切れないもどかしさ。

 

 口惜しさ…哀しさ…


 男前の放出に憧れている

 女子には見せられない

 全てを綯交ぜに苦悶する

 歪み切った醜い表情、、


 その中でも、、



 今はレースの途中。。

 戦いの真っ最中。。


 先頭の西風の桃谷が

 後ろを振り返った刹那…


 二位にいた逢坂高校の

 長堀選手がスパート、

 ( ゜Д゜)


 中継所直前で逆転する

 目まぐるしい展開。。



「21番!!6番!!

 用意して…」


 逢坂と西風の二区が

 コールされた、、

 (・c・;)


 同じ場所で待機している

 西風の扇町天馬主将が

 二区の選手に喝を入れる。



 そんなかでようやく

 見えてきた放出は…


 …拾う!??

 (´゜C゜`)


 先頭から振り落とされ

 ペースを崩した先行を

 二人ほど抜き去って…


 5位に浮上!??


 この男は…

 なぜこれほどに…



「22番!!

 用意して天下茶屋…」

「は…はい。(`・v・)」


「よし!!<`c´>

 頑張れ能勢ぇ!!」

「ああ…(-v-;)

 敗けられねぇよな…」



 あれ??( ゜Д゜)


 天馬の真似をして

 主将として喝を入れた

 つもりがなぜ…


 能勢の方が冷静??

 (・へ・)

 覚り切ったかのような

 平常心って??



「…俺は…(-∇-;)

 この駅伝が初めてなんだ。

 こうやって前の走者を

 待つってのは。。」

「…たしかに、(・n・;)

 能勢は短距離リレーでも

 いつも一走やったな…」


「…初めてだよ、(;'v')

 これまではただの綺麗事

 だとさえ思ってた、、」

「…なにが??」


「前の走者から気持ちを

 受け取る。。(-v-;)

 そんな夢見事が現実の

 自分に訪れるなんて…

 なんか信じられないよ。」

「…けど…(;´・c・)

 あまり入れ込んでも…」


「心配するな部長、(-v-;)

 気持ちは昂ってはいるが…

 不思議なくらい冷静さ。」

「そういう…こと??

 (´゜c゜`)」



 これが…能勢豊。。

 心は熱く気持ちはクール。


 その信条は滅私奉公。


 自分の心よりもあくまで

 チームの勝利が優先。

 (;・n・)


 だからこそ今この状況

 にあっても冷静。


 の目の前では…



 先頭が通過!


 先頭は逢坂の長堀!

 秒差なしの2位には

 西風のルーキー桃谷。。


 タイムは29分34秒、、

 (´゜д゜`)

 全国でもトップレベルの

 タイムを出したのに…



 秒差なしの結果に不満の

 言葉を並べる長堀。。


 涙ながらに謝罪の言葉を

 並べるだけの桃谷…


 これが…駅伝の一区。(゜o゜;;


 全てが終わるまでは満足も

 喜びもない途中地点。。


 そしてその先に見えるのは…



「放出!!<`C´>」

「…(;゜д゜`)」


「もうええから!!

 最後は…絞り出せ!!」

「…(; ・`д・´)!?」


「骨は拾ぅたる!<`д´>

 だから…悔い残すな!!」

「…能勢のヤツ…(;-∀-)

 残酷なことを言うね、、」



 わかる…んやな。。

 (´・ω・`)


 能勢には放出がなぜ

 痛みを抱えたまま

 解放できない思いを

 持ち続けたままか…


 自分のことで精一杯の

 この状況でさえ、

 自分が一番ではない

 漢同士にしか分からない

 感情なんか知らん。。


 ワシには…

 多分の二人にしか…



 そしてその刹那、、


 上がった。(´゜д゜)


 愚直に…直向きなまでに

 最後まで三分ペースを

 守り続けた放出がここで

 最後の力を絞り出す。。


 大量の脂汗…(;O;)

 堪え切れぬ涙の中で、

 僅かなりともの、、


 たった2秒を削り出す

 最後の足掻き。。



 そしてまた一人…

 ( ;`д:´)


 順位をまた一つ上げると

 右手を目一杯に伸ばし、

 倒れ込むように

 駆け込んできた放出京喬。


 奪い取るようにタスキを

 受け取った能勢豊。


 その表情は…

 決意に満ちていたように

 ワシには思えた。。



 一方で放出京喬。(;c;)


 最後の抵抗のおかげで

 タイムは29分58秒。。


 トップと24秒差…


 4位は予定外とはいえ

 限界を超える痛みを

 耐え抜いて見事目標を

 達成したのに…



「……すまない。。」

「…(;´;n;)」


 その一言だけ。。


 全力を尽くせない

 口惜しさ以上に、

 全力を尽くさなかった

 自身の不甲斐無さ…


 そこに一切の

 申し開きはない。。


 これが漢の最低限。


 そう言わんばかりや、

 (;´・ω・)



 けど現実の放出は…

 もうボロボロ、、


 痛みからの解放か…

 それともさらに心に

 傷を増やしたか。。


 大阪の王者として

 君臨していた

 かつての凛とした

 姿はそこにはない。

 (;c;)



 終わらせられない。

 ( ;`n:´)


 遅ればせながらの

 感情が沸き立つ。。


 この漢の覚悟を…

 全てを尽くせないまま

 終わらせたらあかん。



 そしてその感情は

 既にこの男には

 伝番している。。


 その直後に入ってきた

 二区・能勢の一キロの

 通過タイムは…



「…入りが…( ゜Д゜)

 2分39秒!??」

「む…無茶苦茶だ!!

 (´゜д゜`)

 このままなら3キロを

 7分台のペースだぞ。」


「能勢のヤツ…(・.・;)

 まさか気負った??」

「…かもしれん。。

 だが多分それ以上に…」



 恐れていたこと、、

 (;´・ω・)

 天下茶屋の二区・

 能勢豊は…


 不器用なスプリンター。

 長距離種目一年目。

 (・n・;)

 ペースを作ることは

 おろか走行中には

 時計も見れない。。



 元よりその戦術は

 とにかく前半を飛ばし、

 その後は気力だけで

 保ち続けるという、、


 不器用すぎる方法。。

 (/・n・)/



 さらに気負った能勢の

 目の前にあるのは…


 背中。(´゜д゜`)


 三位の選手を捉え、

 更にハイペースを保ち

 続けて気が付けば、、


 スタート時に24秒あった

 先頭までの差は

 一キロ通過時点で…

 (´゜д゜`)


 …12秒!?(´゜д゜`)


 完全に射程内に

 見えてきたってその…



「…くっ、(/n;\)

 やはり俺のせいで…」

「…放出のせいやない。。

 だがこれは、、」


 どうなる??

 (´゜д゜`)

 今さら指示は出せない。



 想定外のハイペースで

 入ってしまった能勢…


 残り二キロはおそらく

 短距離走者スプリンターにとって…



 未知の領域じごく、、


熱い思いを受け取る。

(`・ω・´)


スポーツではよく聞く言葉

ではあるが現実は甘くない。


限界を超えてからの粘り…


それ即ち駅伝の真骨頂です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ