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都大路の風になれ - 不器用な出来たて駅伝部の全力疾走。。  作者: ふみた
勝てば都大路…大阪府予選スタート。
154/240

153 落ちつけ

天下茶屋駅伝部の

全てを賭けた府大会が

ついにスタート。。


一区は手負いの大物

放出京喬。(`・ω・´)


その持ちタイムは断トツの

13分56秒やけど。。


「いけー!<`c´>」

「ファイトォ!!」


「放出!!(; ・`д・´)

 負けるな天下茶…

 ゴホゴホ、(ToT)」

『…中津先生。(;´・ω・)

 まだバテてはるの??

 無理せんともう少し

 落ち着きはった方が…』



 そうは行かない。

 (; ・`c・´)


 ワシらにとっても

 天下茶屋にとっても

 一世一代の大舞台。


 名ばかり顧問とはいえ

 興奮して当然なんや。


 けど…

 本当に一番キツイのは

 戦っている選手たち。


 その中の注目選手とも

 なればそれは…

 (;´・c・)



『…中津先生。

 一キロの通過報告が

 入りました。('∀')』

「…3分丁度での通過。。

 これって速いの??

 遅いの??(・.・;)」


『…そこから??(-c-;)

 当初の計画通りですから

 文句なしってことで…』

「さすが難波は詳しいな。

 (*'v'*)順調ってことで

 いいのかな??」


『…タイムは、(´・n・)

 けど展開は予想してた

 範疇では最悪の、、』

「なんで??(・.・;)

 というか2キロ地点の

 情報が届いたけど…」


『…げっ!?(;゜∀゜)

 全く動いてへん!?』

「どういうこと??(゜c゜)

 詳しく教えてもらわんと

 わからないんだけど…」



 けどその懸念…(-c-;)

 ワシら全員同じです。。


 一区はスタート直後から

 完全なイーブンペース。

 

 二キロ通過時点では

 6分ジャスト。

 

 これは天下茶屋にとって

 設定通りのタイムでは

 あるんやけど、、

 (・.・;)


 先頭を走るのは想定外。


 放出京喬を意識する

 他の有力校は徹底的に

 放出を囲い込み…


 あまつさえ風除けに

 使おうとする展開。。

 (;´・ω・)


 こんな展開における

 後方から受ける圧力は

 意外なまでに重い。。


 おまけにこういう展開

 になると当然、、



『5キロ通過時点で…

 15分ジャストや言うに

 先頭集団が13名!?

 こんなことてある!?

 "(-"c"-)"』

「…えっ?(´゜д゜)

 けど参加校は30だ。。

 半分以上が脱落したなら

 良かったのでは??」


『…3分ペースでっせ!

 こないに仰山が落ちんと

 粘ってきよるて…』

「それ…凄いの?(・.・;)」


『…府大会!!<;`c´>

 全国大会ならともかく

 ここまで落ち着くて…』

「み…みなみこそ、、

 ここは少し落ち着け…」


『お…お父ちゃん。(゜д゜)』

「興奮するんじゃない…

 放出くんはもちろんだが

 お前自身も大事に…」


『ご…ごめん、(;´・ω・)』

「ったく、(´・ω・`)

 潰れてはならんのは誰か

 考えろと言ったのは

 どこのどいつだ。。」



 少し引っ掛かるけど…


 憤るのもムリのない

 展開になってしもうた。

 (;´・ω・)



 愚直なまでにキロ3分の

 イーブンペースを守る

 先頭の放出、、


 これを囲い込む有力選手。


 その流れに乗る無名選手。


 張り付いたように動かない

 展開というんは実は…



 苦しいんは先頭だけ。。

 (´゜д゜`)


 ついてっている選手は

 意外なまでに消耗しない。


 後半に脚を残したまま

 レースを進められる。。


 5キロのベストタイムが

 15分程度のランナーが、

 そのタイムで五キロを

 通過できる可能性さえ

 充分にある。(・.・;)



 これが駅伝で言う


 <連れていってもらう>

 ということ、、



 7キロを通過してなお

 精密機械のように

 キロ3分の時計を刻み

 続ける放出京喬。。


 これに一切動じること

 なく仕掛けを打たない

 後方の選手たち、、

 (・.・;)


 目には見えない圧力が

 飛び交い続ける

 重い重い心理戦の連続。


 飛び出したい気持ちを

 抑え続ける機微、、


 展開を聞いてるだけで…

 場面を想像するだけで…


 吐きそう、(´゜n゜`)


 

 そんな中で当の選手は

 何を考えるか、、


 7キロ時点で先頭集団は

 なんと9名。(・.・;) 


 こうなると、、



「…能勢、(・.・;)

 中継まで残り2キロ半…

 これは集団で来るぞ。」

「……構わねぇ。(・c・;)

 むしろ誰かに連れてって

 もらえる展開の方が…」


「…怖くないか??

 緊張してないか??」

「……怖いよ、(;'∀')

 今ここで吐きだしたら

 心臓まで口から飛び出し

 ちまいそうだけど…」


「…けど、(・_・;)」

「今さら言うな、(;-v-;)

 こんな望外な挑戦…

 逃げ出さすつもりなら

 とっくにそうしたさ。。」


「能勢…お前、(;´・c・)」

「…死ぬ気でやるよ。。

 俺が天下茶屋に為すべきは

 全身全霊を注ぐ以外には

 ないんだから。(`-v-)」



 全身全霊を注ぐ。。


 滅私奉公の精神を

 誰よりの知る能勢豊の

 その言葉は重い。。

 (・_・;)



 まして能勢豊は元々が

 不器用な短距離選手スプリンター


 中距離のレース展開も

 駆け引きも知らん。

 スタミナではいまだに

 本職の選手に劣る。。


 そんな彼のスタイルは…

 (・.・;)



 スピードで押し切る。

 (´゜д゜`)

 行けるとこまで全力で

 ツッコんであとは気力で

 ゴールまで堪え切る。。



 そんな彼が二区だから…

 一区は何よりいい位置で

 繋ぐ必要がある、、


 なのに肝心の一区では…




『8キロ地点…(´゜д゜)

 動いたそうです!!』

「な…(´゜д゜`)

 どうなったんだ??」


『放出は動いてません…

 ここで先頭に…

 西風が動きました!!』

「…桃谷!?(;'c')

 あの新人王が出たのか…

 それじゃ放出は??」


『だから放出は…(;-c-;)

 動いてないそうです。』

「…えっ!?」



 レースが動いた。


 10キロ30分ジャストの

 ペースにおいてなお

 後方で力を溜めていた

 優勝候補・西風高校の

 一年生エース…


 桃谷が前に出た、、

 (´゜д゜`)


 驚異の新人、、

 恐るべき15歳。。


 なのにこれに…



 後続が応じる!?

 (;゜Д゜;)


 逢坂が…閂西草加が…

 問大北場に興玉も、、


 さらにノーマークの

 ATC高校まで、



 府大会とは思えない

 ハイレベルの一区。。


 一瞬にして先頭から

 落ちた放出やけど…

 (´・c・`)



 大丈夫なはず、、


 13分台の時計を持つ

 泉北の黒豹ならば

 これくらいはきっと…


 やけど、、



「くっ!?(。・`c・)」

「どうした放出先輩??

 まだ余力はあるはず…

 こんなところで終わる

 貴方でないはず、、」


「ぐぅっ、(。;`c;)」

「まさか先輩…(・c・;)

 もしかしてここで…」



 苦痛に歪む表情、、

 (・.・;)

 その事情を知る者なら

 きっと理解したはず、、


 あの地獄が…再び。。

 (;c;)

 けど…(´゜д゜`)



「9キロ地点!!

 先頭・西風は26分42秒!

 6秒差で逢坂!

 後方に5人の集団!!」

「マジか、(;゜c゜)

 放出はどうした??」


「放出は集団の最後尾。

 通過タイムは27分00秒。

 現在…7位!!」

「…ウソだろ…(´゜д゜)

 そのタイムで7位!?」


「あとこれ、(・c・;)」

「ウソ…だろ、、、」



 9キロ地点の報告に

 はっきり記されていた。


 放出の走りに違和が…


 僅かではあるが右足に

 異常が見られると、、

 (´゜д゜`)



 おそらくは…


 脳天を突き上げる

 言葉にならない激痛、


 自分の脚が自分から

 離脱するかの如き

 恐ろしい錯覚、、、


 人並み外れた精神力の

 放出に素人に異常を

 見切られるというのは

 きっとそういうこと、、

 (;n;)



 だが放出京喬なら…


 この状況でも目標を

 死守できるこの選手で

 あるのならば…


 耐えられる痛みである

 のかもしれない。


 先頭を追うだけの

 気力も体力も残って

 いるかもしれない、、


 けど…



『…放出、(´;д;)

 もうええから…

 ええからせめて…』



 それだけは…


 万が一にもあっては

 ならない。。

 (`;ω;´)



 残酷すぎる言葉の裏に

 あったのモノは即ち


 チームへの保障、、


 一人のランナーでなく

 一人のメンバーとして

 走るという位置づけ、、



 絶対に棄てられない

 絆への責任、、



 目の前の背中を諦める

 ランナーとしての

 大きな恥辱を以てなお

 守り抜くタスキを

 力一杯に握りしめて、、



 彼は自らへの手綱を…


 緩めた。。



全力を尽くせない者には

頑張ること自体が苦痛、、


だがその逆は…

(´・ω・`)


全力を尽くせる者が

その手綱を緩める方が


遥に苦しいモノです。




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