153 落ちつけ
天下茶屋駅伝部の
全てを賭けた府大会が
ついにスタート。。
一区は手負いの大物
放出京喬。(`・ω・´)
その持ちタイムは断トツの
13分56秒やけど。。
「いけー!<`c´>」
「ファイトォ!!」
「放出!!(; ・`д・´)
負けるな天下茶…
ゴホゴホ、(ToT)」
『…中津先生。(;´・ω・)
まだバテてはるの??
無理せんともう少し
落ち着きはった方が…』
そうは行かない。
(; ・`c・´)
ワシらにとっても
天下茶屋にとっても
一世一代の大舞台。
名ばかり顧問とはいえ
興奮して当然なんや。
けど…
本当に一番キツイのは
戦っている選手たち。
その中の注目選手とも
なればそれは…
(;´・c・)
『…中津先生。
一キロの通過報告が
入りました。('∀')』
「…3分丁度での通過。。
これって速いの??
遅いの??(・.・;)」
『…そこから??(-c-;)
当初の計画通りですから
文句なしってことで…』
「さすが難波は詳しいな。
(*'v'*)順調ってことで
いいのかな??」
『…タイムは、(´・n・)
けど展開は予想してた
範疇では最悪の、、』
「なんで??(・.・;)
というか2キロ地点の
情報が届いたけど…」
『…げっ!?(;゜∀゜)
全く動いてへん!?』
「どういうこと??(゜c゜)
詳しく教えてもらわんと
わからないんだけど…」
けどその懸念…(-c-;)
ワシら全員同じです。。
一区はスタート直後から
完全なイーブンペース。
二キロ通過時点では
6分ジャスト。
これは天下茶屋にとって
設定通りのタイムでは
あるんやけど、、
(・.・;)
先頭を走るのは想定外。
放出京喬を意識する
他の有力校は徹底的に
放出を囲い込み…
あまつさえ風除けに
使おうとする展開。。
(;´・ω・)
こんな展開における
後方から受ける圧力は
意外なまでに重い。。
おまけにこういう展開
になると当然、、
『5キロ通過時点で…
15分ジャストや言うに
先頭集団が13名!?
こんなことてある!?
"(-"c"-)"』
「…えっ?(´゜д゜)
けど参加校は30だ。。
半分以上が脱落したなら
良かったのでは??」
『…3分ペースでっせ!
こないに仰山が落ちんと
粘ってきよるて…』
「それ…凄いの?(・.・;)」
『…府大会!!<;`c´>
全国大会ならともかく
ここまで落ち着くて…』
「み…みなみこそ、、
ここは少し落ち着け…」
『お…お父ちゃん。(゜д゜)』
「興奮するんじゃない…
放出くんはもちろんだが
お前自身も大事に…」
『ご…ごめん、(;´・ω・)』
「ったく、(´・ω・`)
潰れてはならんのは誰か
考えろと言ったのは
どこのどいつだ。。」
少し引っ掛かるけど…
憤るのもムリのない
展開になってしもうた。
(;´・ω・)
愚直なまでにキロ3分の
イーブンペースを守る
先頭の放出、、
これを囲い込む有力選手。
その流れに乗る無名選手。
張り付いたように動かない
展開というんは実は…
苦しいんは先頭だけ。。
(´゜д゜`)
ついてっている選手は
意外なまでに消耗しない。
後半に脚を残したまま
レースを進められる。。
5キロのベストタイムが
15分程度のランナーが、
そのタイムで五キロを
通過できる可能性さえ
充分にある。(・.・;)
これが駅伝で言う
<連れていってもらう>
ということ、、
7キロを通過してなお
精密機械のように
キロ3分の時計を刻み
続ける放出京喬。。
これに一切動じること
なく仕掛けを打たない
後方の選手たち、、
(・.・;)
目には見えない圧力が
飛び交い続ける
重い重い心理戦の連続。
飛び出したい気持ちを
抑え続ける機微、、
展開を聞いてるだけで…
場面を想像するだけで…
吐きそう、(´゜n゜`)
そんな中で当の選手は
何を考えるか、、
7キロ時点で先頭集団は
なんと9名。(・.・;)
こうなると、、
「…能勢、(・.・;)
中継まで残り2キロ半…
これは集団で来るぞ。」
「……構わねぇ。(・c・;)
むしろ誰かに連れてって
もらえる展開の方が…」
「…怖くないか??
緊張してないか??」
「……怖いよ、(;'∀')
今ここで吐きだしたら
心臓まで口から飛び出し
ちまいそうだけど…」
「…けど、(・_・;)」
「今さら言うな、(;-v-;)
こんな望外な挑戦…
逃げ出さすつもりなら
とっくにそうしたさ。。」
「能勢…お前、(;´・c・)」
「…死ぬ気でやるよ。。
俺が天下茶屋に為すべきは
全身全霊を注ぐ以外には
ないんだから。(`-v-)」
全身全霊を注ぐ。。
滅私奉公の精神を
誰よりの知る能勢豊の
その言葉は重い。。
(・_・;)
まして能勢豊は元々が
不器用な短距離選手。
中距離のレース展開も
駆け引きも知らん。
スタミナではいまだに
本職の選手に劣る。。
そんな彼のスタイルは…
(・.・;)
スピードで押し切る。
(´゜д゜`)
行けるとこまで全力で
ツッコんであとは気力で
ゴールまで堪え切る。。
そんな彼が二区だから…
一区は何よりいい位置で
繋ぐ必要がある、、
なのに肝心の一区では…
『8キロ地点…(´゜д゜)
動いたそうです!!』
「な…(´゜д゜`)
どうなったんだ??」
『放出は動いてません…
ここで先頭に…
西風が動きました!!』
「…桃谷!?(;'c')
あの新人王が出たのか…
それじゃ放出は??」
『だから放出は…(;-c-;)
動いてないそうです。』
「…えっ!?」
レースが動いた。
10キロ30分ジャストの
ペースにおいてなお
後方で力を溜めていた
優勝候補・西風高校の
一年生エース…
桃谷が前に出た、、
(´゜д゜`)
驚異の新人、、
恐るべき15歳。。
なのにこれに…
後続が応じる!?
(;゜Д゜;)
逢坂が…閂西草加が…
問大北場に興玉も、、
さらにノーマークの
ATC高校まで、
府大会とは思えない
ハイレベルの一区。。
一瞬にして先頭から
落ちた放出やけど…
(´・c・`)
大丈夫なはず、、
13分台の時計を持つ
泉北の黒豹ならば
これくらいはきっと…
やけど、、
「くっ!?(。・`c・)」
「どうした放出先輩??
まだ余力はあるはず…
こんなところで終わる
貴方でないはず、、」
「ぐぅっ、(。;`c;)」
「まさか先輩…(・c・;)
もしかしてここで…」
苦痛に歪む表情、、
(・.・;)
その事情を知る者なら
きっと理解したはず、、
あの地獄が…再び。。
(;c;)
けど…(´゜д゜`)
「9キロ地点!!
先頭・西風は26分42秒!
6秒差で逢坂!
後方に5人の集団!!」
「マジか、(;゜c゜)
放出はどうした??」
「放出は集団の最後尾。
通過タイムは27分00秒。
現在…7位!!」
「…ウソだろ…(´゜д゜)
そのタイムで7位!?」
「あとこれ、(・c・;)」
「ウソ…だろ、、、」
9キロ地点の報告に
はっきり記されていた。
放出の走りに違和が…
僅かではあるが右足に
異常が見られると、、
(´゜д゜`)
おそらくは…
脳天を突き上げる
言葉にならない激痛、
自分の脚が自分から
離脱するかの如き
恐ろしい錯覚、、、
人並み外れた精神力の
放出に素人に異常を
見切られるというのは
きっとそういうこと、、
(;n;)
だが放出京喬なら…
この状況でも目標を
死守できるこの選手で
あるのならば…
耐えられる痛みである
のかもしれない。
先頭を追うだけの
気力も体力も残って
いるかもしれない、、
けど…
『…放出、(´;д;)
もうええから…
ええからせめて…』
それだけは…
万が一にもあっては
ならない。。
(`;ω;´)
残酷すぎる言葉の裏に
あったのモノは即ち
チームへの保障、、
一人のランナーでなく
一人のメンバーとして
走るという位置づけ、、
絶対に棄てられない
絆への責任、、
目の前の背中を諦める
ランナーとしての
大きな恥辱を以てなお
守り抜くタスキを
力一杯に握りしめて、、
彼は自らへの手綱を…
緩めた。。
全力を尽くせない者には
頑張ること自体が苦痛、、
だがその逆は…
(´・ω・`)
全力を尽くせる者が
その手綱を緩める方が
遥に苦しいモノです。




