142 大ブレーキ
ペースを落とした昇。。
ここから巻き替えせる??
それとも…
「…来たか、(`・ω・´)
ここからが勝負やな。。」
高校駅伝大阪中央地区予選
第三区。。
8キロ区間の5キロ過ぎ…
現在4位を走っている
ワシのすぐ後ろに、
留学生が迫って来た。。
ATC高校のナンコウ選手。
アフリカ出身の黒人選手、、
けど…これは絶好の試金石。
高校駅伝の三区ならば、
対留学生は避けては通れん
壁のようなモノ。。
そして…
ワシは迎え撃てる。
(`・O・´)
ここまでスローペースで
刻んできたワシなら…
ここからランナーズハイ。
無敵モードに入れる
ワシならば留学生とでも
互角に走れるはず。。
…入れ…
今こそ無敵モードに
入るべき絶好機、、
なのに。。
入れない!?( ゜Д゜)
まったくペースが
上がって来ない。。
待ち構えているはずの
無敵モードに…なぜ??
「ど…どうしてだ難波!?
天保山のペースが急激に
落ちてるだと!??」
『…理由は分かりません。。
けど放出からの報告では
どうやら…』
「…まさか…(・c・;)
ランナーズハイに
入れなかった???」
『…かもしれません。。
そうやったら昇はどない
なりますか?千林さん…』
「たしかアイツ…(・_・;)
最近の記録は全部が
ランナーズハイに入って
計測したモノだ。
それ以外のベストは??」
『…多分、(・.・;)』
おっしゃる通りです。
(;´・ω・)
ランナーズハイを使わない
ワシのベストタイムは
実は一年以上前…
陸上部の当時に記録した
16分08秒。(´゜д゜)
そりゃもちろん、
そこから一年鍛えたから
もう少しは速い思う。
だから…ついて行った。
遥のやったようにワザと
留学生を引きつけて、
その余力を以て背後に
付ける予定が。。
なかった、(;;´゜д゜;)
身体が重くなり息が切れ
足が空回りするという
いつもの感覚になっても
なぜかなお…
何も起きない。(・_・;)
…ランナーズハイも
無敵モードもない。。
なんやワシの胸元から
<プスンプスン>って
音が聞こえる。。
留学生のナンコウ選手に
500mをついていって…
完全にガス欠、(゜∀゜)
6キロ時点手前で
早くも脱落して……
急速に走りを乱した。。
6キロ通過は18分30秒。
予定のペースに戻った
とも言えるが実は
この一キロに限れば…
3分09秒。(´゜д゜`)
明らかなペースダウン。
予定より4秒も…
それでもこのままなら
今の順位は保てる。
5位を保てるならば
自分の役割は果たした
と言ってもええ。。
けど…(;c;)
傍から見ている放出を
騙せるはずもなく、、
「…天保山!!<(`O´)>
顎引けぇ、姿勢保て!!」
「はぁ…はぁ…(;´・O・)」
「あと2キロ弱…( ;`c ;´)
なんとか堪えろぉ!!」
「…ぐぅっ…(;´;O;)」
放出の声も大きく…
(;c;)/~
きっと…つらいはず。。
去年の兵庫大会では
今と同じ三区のおよそ
同じ位置で放出は…
棄権してる。(;_;)
高校駅伝史上に残るで
さえあろう大失態を
してしまっている。。
そんな放出の目の前で
ワシが大ブレーキ…
あまつさえ棄権なんて
ことになったら、、
いや…(;´・ω・)
今はそんなことを
考える余裕さえない。。
身体は鉛のように重く、
呼吸さえ自由にはならず
足はもつれて転倒を
さけるのが精一杯。。
何とか7キロ地点を
通過したところで
時計を見ると、、
22分28秒!?(;゜∀゜)
なんとこの一キロ…
3分58秒????
(;´;c;)
1キロを4分弱って
素人やないで。。
もちろんこれには皆
焦るわけで…
「う…ウソだろう!?
(;´・O・)
1分間違えてない??」
『…いや…多分、、
アイツ心配されていた
切り替えの失敗を…』
「…泉、、(;´・c・)
じゃぁ天保山は??
残り一キロどうなる??」
『…わからん。(;´・ω・)
まぁアイツのことやら
死んでもタスキは持って
来るとは思うが…』
「…ペースは…
更に落ちるのか??」
『おそらく…(;´-O-)
4分台になるのは確実…
もし下手すれば、、』
「…キックス!!(;'c')
分かってると思うが…」
「…予定変更デスネ。。
ケド具体的ナたいむトカ
ドウスレバ…(;´・ω・)」
最悪の場合は5分以上…
たった一キロで予定を
2分以上も遅らせる
ことになりかねん、、
大ブレーキ!(;_;)
おそらくゴール後に
ワシが冠するであろう
屈辱的な呼称、、、
前にも言うたが駅伝は
たしかに団体競技。。
けど個々人の力量が
モロに反映される競技。
ただ一人のエースが
勝利をもたらすことが
できない競技。。
けどたった一人の
大ブレーキが敗戦を…
チームを潰しかねない
重大責任を負う競技、、
(/ω;\)
放出のボルテージが
さらに上がる。。
大ブレーキの辛さを
誰よりも知る男は
その身を引き裂かれる
思いなんやろう。。
けどワシの身体は…
全く言うことを聞かん、
そしてそんなワシらを
追い詰めるように…
後続が来た、(´゜д゜)
2キロ地点で置き去りに
したはずのランナーに
再び迫られて…
あっという間に、、
だって…それはそう。
(;´;ω;)
この順位のランナーは
みんな時速18~19キロ
くらいで走っているのに
対して今のワシは
おそらく…
時速12キロ??(;'n';)
早歩きとさえ大差ない
不細工な走りをして
粘りもクソもない。。
一人…また一人…
まったくの無抵抗で
抜き去られるだけ、、
7.6キロを過ぎて
残り500m地点で、、
7位に転落。。
一方でついさっきは
ワシと一緒にいた
あと男は…
時速約20キロの高速を
保ったATC高校の
留学生・ナンコウ選手は
順位を更に一つあげ…
余裕の表情の3位で
タスキリレー。。
おそらく区間賞の
快走を見せた。。
(´・ω・`)
けど…(・.・;)
チームメートからの
祝福は今一つ。。
あまりチームに
馴染めてないように
さえ見える。。
だからゴール地点で
同郷の友人を見つけた
彼はそっちの方へ…
「…フゥ…(-v-;)
ココマデ来レバ入賞ハ
モウ確実ダロウ。。
仕事ハ熟セタカナ。。」
「なんこうサン。(・.・;)
オメデトウゴザイマス。
ナノニ何カソノ、、」
「…分カルカ??
ぼくハネきっくす君…
所詮ハ助ッ人ダヨ。。」
「…助ッ人??(;'n')」
「正直…馴染メテナイ。
ぼくニハちーむヘノ愛着
マルデナインダヨ。。」
「…デハなんこうサンハ…
何ニ戦ッテル??
コンナ速イノニ何故?」
「…マァ…傭兵カナ、、
ぼくハ学校ニ雇ワレテ
日本ニ来タ身ダヨ。。」
「…(´・ω・`)」
「コレハ…仕事ダ。
きっくす君ハ違ウノ??
語学留学生デアルキミハ
戦ウ理由ガアルノ??」
「…私ハ…(・c・;)」
キックスが答えに窮して
いたそんな時…
<18番>のコール。。
話は中断なんやけど、、
「…なんこうサン…
私ハ、(・_・;)
助ッ人チガイマス。。」
「…??( ゜v゜)」
「私ハ…戦員デズ、
天下茶屋高校ノタメニ
戦イマス。(`・ω・)
傷ツイタ仲間ヲ救ウ。
コレガ私ノ意思…」
「…フン、(;´・v・)
ダッタラ頑張ッテ。。
ぼくハ同郷ノ友トシテ…
キミガ羨マシイ。。」
いい顔をしてた…
らしい。。(・.・;)
戦う意思を抱いた
最強の助っ人…
ではなく一人の戦員が、、
キックス・オーキャットが
中継点に向かった。。
大ブレーキとなった三区の昇。
計画変更を余儀なくされた
四区のキックス。。
けど…(・.・;)
平和を愛する男に闘志が…




