141 気力だけ
男子駅伝に果敢に挑戦した
阿倍野遥。。
中継直前に追い上げを
受けてるけど…
「遥ぁ!!(゜Д゜)ノ」
…中継所まであと約300m、
第三走者のワシからも
見える位置に迫った。
すでに三位までの学校は
中継所を通過。。
さっき遥を置き去りにした
4位の選手はもう目前。。
そのすぐ後ろの5位は…
天下茶屋の阿倍野遥。
男子駅伝に参戦した遥は
展開にも恵まれて
6位から5位に順位を
一つ上げるという…
大健闘。。(・.・;)
このまま望外の結果を
残す思われたけど…
5位をキープする遥の
背後に二人の選手。。
一気に追い上げてきた。
(´゜д゜`)
如何にこの状況から
逃げ切るのか、、
明らかに不利なはずの
手負いの女子選手が
地区上位水準の男子を
振り切れるのか。。
けどそれでも…
開き直りなどない。
焦らず冷静を尽くし
最善の策を打つ。
ここに…迷いなし。。
(`・ω・´)
「…くっ、( ;゜O゜)」
コイツ詐欺師か!?」
「…上手い。。
簡単に追いつかせた
狙いはこれかよ…」
『…(;;・`c・´)ノ』
…ラスト300m。
タスキを既に外しても
まだ仕掛けはある。。
あえて余力を残して
後続を引きつける。
撒き餌をした上で…
全力で迫って来た
後続がその背後を捉え
ホッとしたその刹那を
狙いすまして…
一瞬のスパート。
(`・N・´)
オーバーペースを以て
やっと追い付いて
一段落したい走者には
これけっこう…
えげつないダメージ。
迫って来た敵の一人は
ここに脱落。。
けどもう一人には…
合わせられた。
並走に持ち込まれた。
(;´・C・`)
前の走者を捉えてすぐ
追い抜ける余力と
冷静なペースチェンジが
為せる高等な走り。。
引きつけた相手にのみ
有効なカウンター、、
…ガス欠寸前の状態で
追われる側にすれば
ただ一度の逆襲の機会を
潰されたも同じ。。
これもけっこう…
えげつないダメージ。。
(・_・;)
中継所まで残りは
あと200m弱…
もう立て直すだけの
距離は残ってない。。
どんなダメージも
もう体力的な影響は
ほとんど与えない。。
遥たち二区の走者に
あと残るモノは…
気力だけ。(`・ω・)
ダメージに惑わされず
アゴを引き直して
一秒・一歩でも早く
次に繋ぐことだけ。。
そして…
「負けんなぁ!!
落ちるな!(; `д´)」
『…(; ・`n・´)ノ』
「…遥ぁ!!(; `c´)」
『…クハッ!! (;`c´)』
「あとは…任せろぉ!!」
『…はい、、(;c;)ノ』
…中継所直前。。
遥のアゴが上がった。
…さっきの走者に最後の
最後で振り払われて
6位でタスキリレー。。
タイムは…9分31秒。
二区では29人中で8位。
一人抜いて一人抜かれて
順位は変わらず。
女子選手が男子を相手に
大健闘したと言える。
けど本人は…
『…ごめんなさい…(;O;)
すみません西中島先輩…』
「…阿倍野、(;´・c・)
なぜあやまるんだ??
お前は本当によくやって…」
『けど私は最後…( ;c;)
粘り切れなかった。。』
「…それは悔いなくていい。
全体としては上出来だ。」
『…けどやっぱり…(;v;)
南方先輩の言う通りだ。』
「…(´・ω・`)??」
その通り…やと思う。。
駅伝を走った者にとって
覚えていることの
ほとんどというのは…
…抜いたこと。
…抜かれたこと。。
たとえどんな健闘をしても
中継所直前で競り負けたら
おそらく…
それ以外は覚えてない。。
それが…駅伝。。
けどそれは…
今日に限れば遥だけ。
なぜならワシらにとって…
府大会を走る予定の
ワシらにとっての今日は
あくまで前哨戦。。
勝負や順位よりも、
予定通りにペースを刻む
練習が主目的やから。。
それで勝てるから。
(`・ω・´)
ましてチーム目標は
あくまで5位前後。。
目立たないのも目的。
表彰台はご法度。
幸いにしてこの地区には
強い学校が四つある。
逢坂・桜ノ菅・柳星。
そしてもう一つ新設校…
普通に戦っても勝てるか
さえ分からん強豪。
本番たる府大会では
勝つつもりであっても
今日の戦い方では
勝てる道理さえない。
せやから…
今日のワシはあくまで
ペースを守る。
(`・n・´)
1000m当たり3分05秒。
赤阪に借りた時計を頼り
少し物足りないこの
ペースを守り抜く。。
これが今日のワシの
駅伝のはずやけど。。
「…もう?(;'∀')
二キロ地点で4位まで??」
『…ああ。(´-c-`)
二キロの通過は6分08秒。。
予定より2秒ほど早いな。』
「…張り切ってるんだよ。。
天保山は速いね。(;'∀')」
『…せやけど早いといえば
赤阪の方やろ。(-v-;)、
走り終えて15分程でもう
付人の仕事かいな。。』
「…そう言う泉こそ。(;'v')
早くアップに行かないと
すぐ出番になるぞ。。」
『…ええよ。。(;´・v・)
キックスのスタートまでは
ここにおるつもりや。』
「…大丈夫か??
この分ならアンカーにだって
すぐ回って来るぞ。」
『…大丈夫やって。。
招集所はすぐそこやし…
どうせアンカーのウチに
まわる頃には決着は
ついてるはずやからな。』
「たしかに今の調子なら
そうなるか。。(・v・;)
キックスも頼むよ。」
「ハイ。(^v^)
私モガンマリマス。。
赤阪サンタチニ負ケナイ
走リヲ約束シマス。」
「…へぇ。(;'v')
やる気満々だねキックス。
何かあったの??」
「ハイ。('◇')ゞ
イイコトアリマシタ。」
こんな会話が行われて
いるのは第三中継所。
さっき走り終えた赤阪は
ここからはキックスの
サポート役に回る。
そしてもう一人の
サポート役が泉。。
部員の少ない天下茶屋は
アンカーを務める泉に
スタート直前まで仕事を
させてる始末。
まぁこれもたまたま
彼らの中継点が近くに
あるからやけど…
さすがにキツイ。。
(。-`ω-)
特にこの中継所の
荷物を片付けてからは
泉をサポートする。。
…激務やと思う。
まぁワシも走り終えたら
泉のサポートやけど…
(-_-;)
こんな大変な連中のため
にも自分のためにも…
ワシは少しでも早く
後半が楽に走れる位置で
タスキを繋がなあかん。
だから…張り切る。
(`・ω・´)
幸いにしてこの順位なら
3分05秒のペースは速い、、
さっき追い付いた
4位のランナーはもう
ついてきてはいない。
遥…見てるか??
お前を負かした二校は
ワシが抜いたから、、
まだその前の三位は
見えてないけどきっと…
ワシなら追いつく。
それだけの地力のつく
練習は積んだはずや。。
だから…
「えっ?4キロ地点が…
12分14秒??(・.・;)」
『アイツ何しとんねん、、
(。-`ω-)、
時計は見てへんのか??
予定より6秒も…』
「…ちょっとマズいね。
けど天保山の実力ならば
抑えてるくらいだよ。」
『まぁアイツはもう少しで
ランナーズハイに入るから
大丈夫やろうが…、
けどそうなるとどこまで
抑えが効くか、、』
「…キックス…
少し早目に用意して。。
こりゃ予定よりも早く
くるかもしれん、、」
『OKデスケド…
少シ気ニナル情報モ…』
気になる情報は二つ…
それは、、
一つ目はワシのペースが
少しだけ落ちたこと。
5キロの通過が15分21秒。
全体で見れば予定よりも
少し早いくらい。
とはいえこの一キロだけに
限ってみれば…
…3分07秒。(・.・;)
自分では気づいてないけど
少し気になるレベルの
ペースダウン。。
何が原因なのか、
そしてもう一つは…
「…えっ!?(・c・;)
後続が迫ってきた??」
『…どこの学校??
っていうか7位以下に
天保山より速いのが
おるっての??』
「…オソラク…
アノ人ダト思イマス。
今日久々ニ再会デキタ
私ト同郷ノ留学生…」
「はぁ!?(´゜д゜)」
「大阪ATC高校の
なんこうサン…
陸上専門ノ助っ人選手。
彼…トテモ速イ、、」
キックスの予想通り。
(´゜д゜`)
これは高校駅伝三区の
代名詞とも言える
留学生による猛追撃。
けどこれを…
(`・ω・´)
ワシはこれを迎え撃つ。
もうすぐ無敵モードに
入るであろうワシには
絶好の試金石。。
ワシは…勝てるはず。
ランナーズハイに入り
さえすれば。。
競技において勝ち負けとは
一意ではない。
自分は勝ったのか負けたのか…
決められるのは自分だけ。




