139 抜かれたら悔しいぞ
赤阪の猛追開始。
(。・ω・。)
弱点と目される二区の遥に
どの位置でタスキを渡せるか。
「放出からの報告によると…
追い付いたらしいぞ。」
「…追い付いた!?(゜O゜)
150mあった六位集団に??」
「あいつ…凄ぇよ。( ;∀:)
補欠以下だった男が一年で
どれだけの努力をしたら…」
「…ああ。( ;c:)
けどまだこれから。。
今の赤阪ならばきっと…」
高校駅伝大会・
大阪府中央地区予選。
(・ω・)
7キロ地点までペースを守り
第三集団にいた天下茶屋の
一区・赤阪千早は。。
そこから猛追。(゜Д゜)ノ
30秒近くも差のあった
第二集団をわずか一キロで
追い上げてさらに…
「う…うわ!?(;'∀')」
「…何だコイツは??
どこから上がってきた??」
「…えっ!?( ;゜Д゜)
まさか赤阪がそんな…」
「……(; ・`v・´)」
目もくれない。。
(゜c゜)ノ
捕捉したばかりの第二集団を
横目で見た次の瞬間に…
ごぼう抜き!?(゜Д゜)
いや…駅伝でもごぼう抜きが
起きるのは二区以降の話。
一区でこんな置き去りなんて
過去に見たことない思う。。
とはいえまぁその全員が
無抵抗というわけではない。
なにせ残りは二キロ弱。
(;´・ω・)
ラストスパートに備えて
力を貯めていた選手は
赤阪に追いすがってくる。
ただ余力があればともかく
そうでない場合は…
ただの意地ッパリならば…
「…くそ!?( ;´゜c゜)
なんで赤阪に俺が…」
「……(; ・`n・´)」
「…う…ウソだろう、、」
「……( -`v-´)」
一瞥もしない。(・.・;)
同じ中学出身でかつては
完全に格上であったはずの
河南選手を圧倒。。
ペースを乱したかつての
友を振り返りもしない。。
8.7キロ地点で赤阪は
追い縋ろうとする選手を
全て振り解いて…
単独6位に上がった。
( ゜д゜)
そしてその100m前を走る
4位集団を赤阪の目は…
ロックオンしてる。
(`・ω・´)
一方…
単独トップを走っている
逢坂高校はそろそろ
9.5キロ地点を通過。。
二区の選手がコールされ
ジャージを脱ぎ去った。
上位のチームはいずれも
準備を開始。。
いつでもスタートラインに
立てる状態を整える。
そして赤阪の追い上げは
実は彼女には…
プレッシャーでもある。
「…もうすぐだぞ。(・c・;)
準備はいいな、阿倍野…」
『…はい。南方先輩。(`・ω・)
今すぐでも行けます。。』
「…頼もしいな。。
だがおそらく注目される
のは今からだ。
まして上位でくる以上…」
『…それは覚悟の上。。
男子の大会に出る以上、、
わかっていますから…』
そう、(・_・;)
天下茶屋の二区は阿倍野遥。
この男子駅伝に参戦する
唯一(?)の女子選手。。
バレたら注目の的になる
はずやけど…(;´・ω・)
幸運な要素もある。。
まず名前が遥であること。
男子大会のパンフレットに
阿倍野遥と書いていて、
誰も女子とは思わんはず。
もう一つは中継所の付人が
去年のこの大会で二区を
走った南方ということ。。
この地区で少しは知られた
彼がこの中継所にいれば、
南方が走ると誰かって
思っているはず。。
「…4番、11番、準備して。」
先頭の逢坂の襷リレー直前…
二位の桜ノ菅高校と三位の
柳星高校がコールされる。。
おそらく…次あたり。
遥は静かにジャージを脱いで
ユニフォーム姿に…
ゼッケン「18-2」
天下茶屋の二区を背負うのは
この選手と知らしめる。。
すると当然のように。。
ざわつく。(・.・;)
頑強な大型選手とはいえ、
阿倍野遥を男子と見まがう
者はいない。。
…無用な雑音、(;´・ω・)
これで遥が動揺しないよう
対処するのは付人である
南方の仕事やけど…
「…気にするな。(;´・ω・)
集中しろよ阿倍野。。」
『…わかってます。(;'v')
この反応は覚悟の上、、』
「…もう少し下位ならば
まだマシだっただろうが…
赤阪の力ならこの順位でも
抑えた方かもしれん。。」
『…わかってます。(・c・;)
けどこれだけ上位では
周りだってきっと…』
それは…そう、(・.・;)
地区大会とはいえ上位は
強豪の名を欲しいままに
する伝統高がほとんど。。
そんな陸上部の男子が…
駅伝メンバーが…
同世代の女子に遅れを
とるなどあり得ん。
(;´・ω・)
その意地に賭けても
負けられへん。
抜かれるなど絶対。。
とはいえ現実として…
(・.・;)
遥のベストは16分24秒。
これは上位チームの
この区間を走る選手と
比較しても遜色ない。。
故障明けのこの一年…
男子と同じ練習を熟して
きた阿倍野遥は既に、、
それだけの力を携えた
こともまた事実。。
となると…(・.・;)
何を見据える??
明らかに奇異な視線と
敵意とざわつきの中…
何を目標にすれば遥は
周りに惑わされることなく
その力を発揮できる??
そこを支えるのは…
経験者の仕事、、
「…なぁ阿倍野。
さっきも話したが…
去年の二区を走ったのは
この俺なんだよな。。」
『…なんですか?
南方先輩こんな時に…』
「…高校初の駅伝だった。
嬉しかったし同時に…
陸上人生最後のレースと
噛みしめていた。。」
『…それは私と同じですね…
けどそれが何か。。』
「…なのに…(;´・v・)
実はあまり覚えてない。
あの時の景色とか…
タイムとか展開とか。」
『…(;´・ω・)??』
「…ただ覚えてるのは…
一つ順位を落としたこと。
抜かれたことだけ。。」
『…えっ??(´・ω・)』
「単純に…それだけだ。。
抜かれたら悔しい。
抜いたら嬉しい。
俺にとっての駅伝は…
それだけなんだ。。」
『…それは…(゜∀゜)
つまりそういう??』
「…できるさ。(;'v')
俺よりも明らかに速い
お前ならばきっと…」
『…(;´・c・)』
「…女に負けるってのは
実力のない男が…
努力不足が悪いんだ。
まぁ…(・v・;)
俺もその一人だが…」
『…そこまで言ったら
挑発が過ぎます。。
私は別にみんなと敵対
したいわけでは…』
「…敵対は不要だが…
勝負はして来い。。」
『……(・.・;)』
「同じ舞台に立つ以上、
男も女もない。。
負けたら悔しいぞ。」
『…たしかに、(-v-;)
こう見えて私だって
負けず嫌いだから…』
「……勝てよ。(; ・`c・´)
抜かれるんじゃないぞ。」
『…言われるまでもなく…
(; ・`v・´)
今さら後悔する気など
サラサラありません…』
あえて…大きい声で
周りに聞こえるように…
(・_・;)
これが戦い挑む者の覚悟。
自分に向けて言い聞かせる
逃げ場の放棄。。
そして…
2位3位グループからおよそ
30秒遅れて…
「…2番、9番、、
その後ろに…18番!」
来た!(゜Д゜)ノ
ゼッケン18…天下茶屋。
赤阪は…現在6位。
7位以下は突き放した。。
4位5位グループは
目の前に迫ってるみたい。
「…これは…(・.・;)
絶好の位置で来たな。」
『…そうですね南方先輩…
これならばきっと。。』
「…抜かれる心配は…
ないって言いたいか??」
『…いいえ。(;'v')
その逆ですから、、』
…緊張が走る。
つまり4位5位の選手に
すれば6位の選手が…
後方からスタートする
女子選手から
狩られると宣言された
ようなもの、(;゜Д゜)
それをさらに助長する
かのように、、
赤阪のラストスパート、
(゜Д゜)ノ
4位5位にが続けさまに
襷リレーした直後、
わずか2秒差の6位で…
二区・阿倍野遥…スタート!
(`・ω・´)
抜いたら嬉しい。
抜かれたら悔しい。
(。・ω・。)
思えば駅伝の思い出とは
それだけかもしれません。
そういや一区を走ったこと
あまり覚えてないかも。。




