137 信頼に応える
ついに本番…
その舞台が始まる。。
「そうか…あれから一年か。」
「そうやな西中島…(;´・ω・)
去年のこの大会で陸上部は
解散したんやよな、、」
「そして俺たちには…
最後のレースだったんだ。」
「南方にもワシにとっても…
ホンマはそこで終わるはず
やったのにな…(・c・;)」
「…けど…(;´^v^)
どっこい生きてた天下茶屋。
駅伝部として再登場。。」
「…赤阪。(・.・;)
随分とリラックスできてる
みたいやな。。」
「…夢だったから…(;v;)
僕にとっては駅伝を走れる
ことが嬉しいんだよ。。」
「…そうか。。(;´・ω・)
赤阪は駅伝を経験せんまま
終わるはずやったんよな。」
「それを考えたら…(;´・v・)
この一年は有意義だった。
ボクは幸せモノだよ。。」
「……まだや。(・n・;)
そのセリフはさすがにまだ
早いで赤阪。。」
ついに10月22日(土)…
高校駅伝大阪府中央区予選
その日を迎えた。。
(;´・ω・)ノ
陸上部解散から一年。
ワシがランナーズハイに
目覚めて一年。
そして…
ワシらが全てを注ぎ込んだ
駅伝部ができて一年。。
だが即ちここから先は…
負けたら終了。(・.・;)
仲間たちとの決別と同時に
多くの者にとっては
陸上人生の終焉を意味する。
そして…それはもちろん
天下茶屋だけやない。。
他校も…(・.・;)
これが最後になるであろう
陸上部員で一杯。。
会場全体が緊張一杯。。
けどそんな中でも意外に
ワシら一区を務める…
赤阪千早は笑顔一杯。。
駅伝をできる喜びを
一身に表わすかの如く。
そしてコイツらも、、
「じゃぁ…俺らは中継所に
行ってるから。(^v^」
「アップには付き合うから。
まぁ俺らもけっこう
役割が多くて大変だよ。」
と言いながら楽しいそう
なのが、、
西中島と南方。。
淀川の河川敷で行われる
この大会は、
中継地点が複数ある。
つまり待機する選手が
一人しかいない中継所も
いくつか存在する。。
これ…マズい。(;´・ω・)
人数に余裕があれば付人を
確保できるが、層の薄い
チームにはこれが難題。。
ただでさえ緊張するのに
中継所にたった一人…
アップに付き合ってくれる
仲間もいないってのは
けっこう堪えること。。
この穴を埋めながら
選手に寄り添う。
さらにはコースに立ち、
タイムを伝えそれに沿った
指示を選手に伝える。
これはおよそ…
素人には出来んこと。。
陸上経験者ならではの
職人技と言える。。
とはいえこれ…(・.・;)
二人では限界がある。
足りん分はどう選手が
補うかと言うと、、
「…赤阪それ…(・.・;)
もしかしてその腕時計
新品ちゃう??」
「…ああ。(;´・v・)
今日のため新調したんだ。
だって一区の長丁場を
任されちゃったから、、」
「…高かったやろ、(・。・;)
なにせ部費では買われへん
かったんやさかい…」
「…いいよ。(;´-v-)
それより天保山これ…
使ってみないか??」
「…これは??(・.・;)」
「ボクの予備で悪いけどさ…
使ってほしいんだ。
特に今日はペースを守る
ことが目的だから。。」
赤阪は貸してくれた。
(;´・ω・)
そもそも…ワシは時計嫌い。
自分の体感を頼りにして
ランナーズハイ上等の
目一杯の走りをするワシは
時計を持ってさえない。
高校駅伝ではそんな選手も
決して珍しくはない。
というかウチの部員で
腕時計を常態してるのは
赤阪とキックスくらい。
経験豊富な放出と泉でさえ
滅多に使ってないんや。。
けど今日は…(・.・;)
8キロ区間の長丁場で
ペースを刻むことが目的も
今日だけはワシも…
「あ…ありがとうな。。
(;´・ω・)
大事に使うから。。」
「…いいから、(;'∀')
今日は大事な日なんだ。」
「しかし…嬉しそうやな。。
浮かれてるくらいに…」
「…それはそう。。(;´・v・)
ボクはきっとこのために…
やってきたんだから。。」
そう言うと赤阪は恭しく…
天下茶屋のタスキを掲げた。
(・.・;)
中高五年間も陸上やってきて
一度も手にすることさえ
できなかった陸上部の
落ちこぼれが始めて得た…
長距離選手の象徴。。
代表選手の象徴。。
駅伝部というきっかけ得て
それからの一年…
不断の努力を続けた赤阪が
手に入れたかった宝物。。
けどそれはまだ…
始まりに過ぎない。。
このタスキをその先に…
都大路に運んで初めて
ワシらは完結できる。。
そのために赤阪がまず
考えるべきは、、
「とにかくもボクは…
信頼に応えようと思う。」
「…どういうこと??」
「このタスキをつなぐのが
一区の役回り。。
だから早く確実に…
それがボクの仕事だから。」
「…そうやな。。」
「…天保山には悪いけど…
ボクは去年のキャプテンの
言葉を覚えている。。
だからこそ…
必ず応えるつもりさ。。」
「…そうか。(´・ω・`)」
「だが…誤解するな。。
ボクは今は天保山のこと…
誰より信じてるから。」
「えっ??(・.・;)」
「…天保山だけじゃない、
後ろを走る皆を信じている。
だからこそボクは…」
「…繋ぐん…やな。。」
そうやな。(。・ω・。)
信頼する仲間やから…
先を任せられる。
後を託せる。
それが…駅伝。。
そう言うと赤阪は…
ワシに目配せした。
号砲まで…あと20分。
そろそろ自分の世界に
入りたいみたい。。
そしてワシはここから
500メートルほど離れた
三区の中継所に。。
ここから…ワシも一人。
中継所の近いのや、
西中島たちが適当に
居てくれるらしいけど…
基本は一人。
この先は信頼の世界。
結果が…運命が
どうなるかはもう
信じるしかない。。
(`・ω・´)
ワシが赤阪から離れる
のとほぼ同時…
一区のコールが始まった。
(・.・;)
この地区で6年も陸上を
してる赤阪にとって
顔見知りの選手も多い。
もちろんその全員が
赤阪より…格上。。
一年前まで補欠以下の
実力やった赤阪など
気にする様子さえない。
むしろ一区・赤阪を見て
天下茶屋の実力を侮る
者までおるみたい。。
そんな輩は見返したれ!
(`・ω・´)
と思ったが赤阪は…
泰然自若。。
自分は自分の仕事
全うするだけ、、
そんな表情のまま
スタートラインまで
向かったらしい。
500m離れていても
緊張感でわかる。
赤阪から借りた時計も
時刻を知らせてくれる。
号砲と歓声。
そして…(・n・;;)
少し遠くに聞こえてた
30人の選手たちの足音は
僅か1分半で目の前に
近づいてくる。。
「ファイト!!」
「がんばれぇ!!」
先頭が通過した。
(・.・;)
力のある選手はみな
必死で食らいつく。
そんな先頭集団も
ばらけつつある中で…
「赤阪ぁ!!(゜Д゜)ノ」
ハイペースの先頭には
我関せず30mほど後。
赤阪は第二集団に
落ち着いていた。。
だがその表情は…
余裕そのもの。
(`・c・´)
自分は自分の仕事を。。
その自覚に溢れた…
幸せそのもの。。
不断の努力で万年補欠から
這い上がった男、、
赤阪千早。(。・ω・。)
初めて掴んだ駅伝の役回りは
責任重大の花の1区




