112 佐野泉の戦う理由-1
雨宿りついでに始まった
駅伝部の身の上話…
今回からは駅伝部の異形。。
MtF.佐野泉の回です。
『…じゃぁ予定通り次はウチかな??』
「ああ…泉の番やな。。
とりあえず質問から受け付けようか。。」
「じゃぁ…前々から聞こう思てたけど…」
「はい。浜寺くん。(=・ω・)ノ
自分の話が終わったら元気やね。」
「泉ってその…本名なの??」
「…どういう意味???(・.・;)」
「だってその…泉みたいな人って…
中性的な名前に改名することがあると
聞いたことあるから。。」
…それは…ワシも聞いたことある。。
戸籍上の性別を変更すると同時に改名するって
人もいるけど実際には…
戸籍変更前から女性名に変えることで、
社会的に女性になる人もいるらしい。
…けど戸籍上はまだ男性のまま。
女性にしか使わない名前も都合が悪い。
それで改名する際に選ぶのは
〈男性でも通用する女性的な名前>…
そんな人が多いってことやけど。。
『…"泉"は生まれながらの本名や。(´・v・)
まぁ改名せんで済んだんは有難かった。』
「じゃぁもしかしてご両親も…
何か予感していたんかもしれんの??」
『……それはない。(´^ε^)
だって男所帯の佐野家の男衆の中で、
おそらくウチが一番男性的な名前やから。』
「それ…どういう意味???(・.・;)」
『どうやら…そこから話した方がええな。
ウチの生い立ちにも関係あるし…』
「…???(/・ω・)」
…どういうこと??
…男所帯で"泉"の名前が男性的??
けどコイツはそういう話は一切せんし…
そういえば泉の家族構成も知らん。。
それが何か関係あるんやろうか??
それで話は家族紹介から始まるけど
有名人(?)まで出てくるわけで…
『まずウチのオトンは…<まなみ>いうねん。』
「<まなみ>??お父さんが???」
『そう。愛って一字で愛さん。
いまだに化粧品のセールスとか来よるよ。』
「…そりゃ…そうやろな。(・.・;)
普通は女性の名前や思うやろうから。。」
『…本人も昔は気にしてたらしい…('v')
せやから中身は男らしくなろうと思って、
柔道に打ち込んだそうや。』
「…たしかにそういう人もおるらしいけど…
その結果どうなったんや??」
『…熊みたいな猛者になりよった。(^ε^;
最盛期には全日本86キロ級で準優勝…
今では大阪府警で柔道師範をやっとる。』
「…???(/・ω・)」
86キロ級全日本選手権準優勝??
それってものすごい猛者やないか。。
けどその息子が…41キロの男の娘???
遺伝子ってそんなイタズラをするもの??
それとも例外中の例外??(/・ω・)/
でも佐野家は男所帯。
聞けば泉は三兄弟の末っ子。
愛さんには他に息子が二人おるらしいから
まぁ…そこから考えてみよ。。(・_・;)
「…それで泉も柔道を??」
『いや、オトンは柔道をさせなんだ。』
「なんで??そんな実績ある選手やのに…」
『…というのもオトンは体重別を嫌ってたんや。
せやけど定期的に減量していたせいか
どうしても体重が95キロを越えず…
体重無制限の95キロ超級に出れなんだ。』
「95キロって…でもなんでそこまで??」
『…減量に女々しさを感じてたんやて。(^c^;)
それで息子には無差別級の競技をって…』
…うーん。(´・ω・)…男らしさを極めると、
体重別とか減量さえ女々しいのか。。
けど…柔道は男らしい。( `c´)ノ
これよりさらに男気ある競技となると…
そんな親父さんは現役を引退すると同時に
大阪府警高槻支部の柔道師範に就任。
それで泉は二歳の時に一家で高槻に転居。
これを機に三兄弟が連れて行かれたのは
町の柔道場ではなく…
…近所のラグビー教室。(・.・;)
たしかにラグビーは英国発祥の紳士の競技…
大男も小男もいる完全な無差別級…
その迫力は柔道に劣らん男らしさがある。
…それでどうなったかと言うと…
『四つ年上の長兄は天才やった。('ω')
体格も良くラグビーセンスは並ぶ者なし。
各世代で結果を残し続けて…
今は大学ラグビー部で主将をやっとる。』
「…もしかして…
同支社大学の佐野恵選手??(´゜д゜)」
『…はは。赤阪は何でも知っとる。。(^v^;』
「知らないわけないだろ!?(=゜ω゜)ノ
佐野恵といえばラグビー界のホープ。。
日本代表の候補!
大学ナンバーワンのナンバーエイトだぞ!!」
…ぶれーぶぶろっさむず??(@_@;)
…ナンバーワンのナンバーエイト??(e_e;)
なんやよう分からんけど…
凄いラグビー選手なのは分かった。。
しかも親父さん越えの体重105キロ。
やはり大男の遺伝子はその…
顔は泉に瓜二つの遺伝子でその。。(・.・;)
あと…恵さん??( ・.・;)
…というのも親父さんは自分の経験から
<女性的な名前を付けた方が反骨精神で
男らしく育つ>って考えらしいから。。
まぁ恵さんは普通に男でおるけど、
弟さんの呼び方はちょっと普通でなく…
『…まぁメグちゃんもゴツいんやけどな…』
「…メグちゃんって。。(-_-;)
日本代表候補のラガーマンやろ??」
『三つ年上の次兄…希は才能もあったが
体格はそれ以上でな。。
ノンちゃんは150キロ超えの巨体。。
今や大相撲の幕下力士や…』
「それってもしかして…摂津山さん??」
『…はは。赤阪はホンマに何でも知っとる。』
「知らないわけないだろう!?( `c´)ノ
摂津山希と言えば期待の郷土力士じゃないか!
幕下上位で…十両目前と聞いてるぞ!!」
…150キロ!??(´゜д゜`)
若干20歳にして関取昇進目前??
とはいえノンちゃん…希さん??
まぁ希さんも普通に男でもおるけど、
150キロの大男やから。。(-_-;
あと三兄弟で 恵、希、泉ってのは…
知らん人が聞いたら絶対に勘違いする。。
あと兄弟でなぜか体型が違いすぎる。
…顔は同じらしいしけど。。
佐野家のDNAはどうなってるんや??
『…そんな環境で育ったからかな。。(._.)
顔が瓜二つで大柄な兄貴が二人おったから、
いつかは自分も同じようになる思てた。』
「……そうならんかったんか。。」
『ああ。なぜかウチだけは痩せたチビのまま。
…けどいつかは大きく逞しくなる。
当時は自分もそうなりたいと願ってた。。』
「……願ってた???」
『…だけどいつしか違和感を感じ出したんや。
自分は本当に…そうありたいのかと。。』
「…えっ????(´・ω・`)」
どうやら…ここから本題や。(´・ω・)
大きく逞しく男らしい兄貴たち。。
そんな兄に憧れ、そうなりたいと思うのは
弟として当然の感覚やと思う。
けどその憧れに違和を感じた時…
それが普通ではない憧れと理解した時…
真っ直ぐやった泉の人生は…急旋回した。。
こういう人にもいろいろいるらしい。。
幼少時からそれらしい人。
ある時を境に突然の人。。
違和感を感じた泉のそれ以降は
次回以降です。(/・ω・)/




