111 浜寺高師の戦う理由
雨宿りついでに始まった
語らい…
次は駅伝部のスイマー。
浜寺高師です。
雨宿り…のつもりで始まった
駅伝部員たちの過去の語り合い。
一番手の赤阪と二番手の能勢が
その背景を語ってくれた。。
雨は少し弱くなったけど、
これは中断できる雰囲気やない。。
次は三番手ということになる。
『ほな…次はウチやな。(;´v`)』
「…そうやな。入部した順で言えば
能勢の次は泉になるわな。」
「…あの。。ちょっとええか??」
「はい。浜寺くん。(=゜ω゜)ノ」
「次は…俺にしてくれへん??
誘われた順なら俺が先なんやし…」
「ええけど…なんで??( ゜。゜)」
「…赤阪と同じ理由。。(;´・ω・)
だって泉の話は興味深いやろう??
きっと数回ぶち抜きになるやろから
さすがにその次ってのは…」
「…なるほどね。。(-_-;)」
まぁぶち抜きはともかく…
泉の直後をイヤがるのは分かる。
MtF以上におもろい身の上話なんて
そうはあるもんやないから。。
けど…それでええの??(・.・;)
浜寺はともかくその順番で行けば、
泉の次は遥ってこと。。
後輩にそんな不利な話の順番を
押しつけてええの??
けど遥の答えは意外なもので…
『私は構いませんよ。(・.・;)
佐野先輩とは旧知の仲ですから
その順番の方がむしろ…』
「…ホンマにええの??(・_・;)」
『それに私の昔話には京喬ちゃんも
でてきますから。(^ω^)ノ
一緒にやらせてもらいますよ。』
「こら阿倍野…(-ω-)
ちゃんとケジメはつけろ。
その呼び方は話の中だけだ。。」
…これは後で語るけど…
放出と遥は幼馴染なんやって。
けど幼友達が中学・高校になると
同時に先輩後輩になって、
呼び方も口の利き方も変わることは
少なくないらしい。。
特に立場を重んじるこの二人の場合、
顕著になるみたいなんや。。
ともかく…順番変更。(`・ω・´)
とりあえず早よ本題に入らんと
浜寺までぶち抜きになりかねんぞ。
「では…巻いていきます、('n')ノ」
「よぅし頑張れ、浜寺。」
「俺は今は堺市に住んでるけど…
生まれは学校のすぐ近所なんや。」
「…どの辺??(・.・;)」
「…前にみんなで行った吉乃家の隣。
古い文化住宅があったやろ??
あそこに9歳まで住んでたんや。」
「へぇ。ホンマ近所やな。。」
「…当時の天下茶屋は水泳の強豪で
立派なプールがあってな…
俺は当時…そのプールを利用した
水泳教室に通ってたんや。」
「…そんな教室があったんやな。。」
何やいろいろ出てくる。。(-ω-)
経営難の我が校は数年前まで
学校の施設を利用して、
子供向けのプール教室なんかを
してたらしい。(-_-;)
それで近所に住んでいた浜寺は
幼稚園から通ってんいて、
自ずとスイマーになるんやけど…
そこには動機づけがあったらしい。
「それで当時は天下茶屋の水泳部と
一緒になることが多くて…
教えてもらうこともあったんよ。」
「…そうか…それで??」
「その中でも一際な人がおってな。。
速くてカッコよくて…
子供たちのヒーローやったんや。」
「…二色浜さんだね。
ウチのOBで世界水泳に行った…」
「そういや赤阪はスポーツ観戦が
趣味やったな。その通りだ。
俺はあの人に随分と目をかけて貰って
師弟関係みたいになってたんだ。」
「…よかったやない。
浜寺もそれでスイマーとして…」
「…でもそんなころ…
ウチの両親が家を建ててな。。
俺も堺に引っ越すことになった…」
「…そういうことか。。」
そういうこと。(・.・;)
大阪市内から堺に引っ越したら、
高校生ならば通学圏内でも
9歳の子供にはかなりの距離。。
加えて家のローンを抱えたことで
母親も仕事を持つことになり、
送り迎えをする者もいなくなり…
浜寺が水泳をできるのは転校先の
小学校の部活だけになった。
(´・ω・`)
こうして水泳で伸び悩んでいた
浜寺が中学に入る頃…
そのヒーローだった二色浜さんが
世界水泳に出場。。( '∀')
浜寺自身もテレビで応援して…
それでその帰国後に世界水泳の
報告会に招待されたんやけど
そこで…
「…託されたんよ。。(-ω-)」
「何を??誰に??」
「二色浜さんに言われたんや…
<俺は故障でもう限界やけど…
キミは次世代の水泳界を背負える>
ってみたいなこと…」
「…はぁぁ!?(´゜д゜`)」
「…それでその気になって…
…俺がその…(/ω・\)
ヒーローになりたいかなって…」
「…(・.・;)」
…なんやって。。
それで中学では部活もせずに、
小中学生限定の近所の水泳教室に
毎日のように入り浸って…
日本水泳界…そして二色浜さんに
低迷を聞かされた天下茶屋水泳部の
ヒーローに育つべく…
たった一人で奮闘。。(`・n・´)
徹底的に鍛え上げられた肉体は
技術不足ながらも伸び白タップリの
中学トップレベルとなり…
そして天下茶屋水泳部を救う英雄に
なるべく専願受験。
見事合格を果たすんやけど…
そこから先はワシらも知ってる。。
浜寺が入学する半年前に…
天下茶屋高校水泳部は解散。。
入学した直後の浜寺の目の前で…
プールは破却された。。
けど…それでもなお…
「…諦めきれんでな。。(´・v・)
学校近くにプール施設を見つけて…
水泳部を立ち上げようとした。。」
「…らしいな…そんで??」
「…あかんかったよ。。(-v-;
こんな俺の夢みたいな憧れでは
部活を立ち上げるなんて…」
「…そうやったか、、(´・ω・`)」
「でも…だからこそ分かるんや。。
たった一人から駅伝部を立ち上げた
天保山の思い入れが…」
「いや…そんなその…(/ω・\)」
「だから最初は微力ながら力にって…
そう思ってたんやけど。。(#-v-#;)」
「…けど??(´・ω・)」
「まぁ…まだこの中では一番遅い
俺が言うのもなんだがな…」
「…???」
浜寺は…照れながら答えた。
ヒーローになりたい。。
この駅伝部の屋台骨になって…
今度こそ英雄になりたいと…
自分では立ち上がらなかった部活。
得られなかった仲間。
この駅伝部にはその全てがある。。
競技こそ違うがするべきは同じ。
ならば…自分さえ頑張れば。。
そしてその思い入れは…
わすか半年で10キロを減量し、
わずか半年で陸上競技者たちと
互角に走れるまでに…
浜寺高師。。
陸上初心者のこの奇異な男は…
俺らの英雄になるんやろうか??
それとも…(´・ω・`)
ただの協力者の立場から
駅伝部の英雄に…
ウソか実かはともかく…
部員全員にその意識がある
チームは…強くなります。
('◇')ゞ
ちなみに次回からは泉の番。
三週ぶち抜きになる予定です。
(大丈夫かな??)




