表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
110/240

109 赤阪千早の戦う理由

雨宿りついでに始まった

駅伝部員の身の上話。


一番手は副主将、

赤阪千早です。(^^)/


「…では僭越ながらボクからその…」

「よっ。。待ってました!!赤阪副主将!!」


「能勢さぁ…ボクに期待しても何もでないよ。」

「…いいっていいって。

 場を温めてくれたらそれで充分だって。」


「それより…質問はないの??」

「(全員)……」

「能勢…そこは頼むよ。。(;O;)ノ」



 自分の二番手が確定している能勢…

 必要以上に煽ってる。。


 けど…ムリもないかもしれん。。


 だって関西人は話を振られた時に、

 前の人より低レベルのネタを語るは恥。

 そんな意識があるから。。


 …能勢は二番手。となると…

 赤阪にプレッシャーをかけたいのは当然。


 なんや…汚い人間模様や。。(-_-メ)

 あんまりキックスには見せたくないかも…

 また日本が誤解されるかも…


 だからとりあえず赤阪は話し始めたけど、

 そりゃ色々とあるわけで。。



「きっかけは…西宮のじいちゃんなんだ。」

「お祖父ちゃん??(・.・;)」


「そう…爺ちゃんはとにかく…

 スポーツ観戦が好きな人だったんだ。。

 色んな競技の観戦に連れてってくれたけど、

 中でも夏の高校野球が多かった。(*'v')」

「それは…西宮の人やから??」


「…なにせ家が甲子園球場の目の前なんだ。。

 だから小学生の頃は夏休みに泊まりに行って、

 毎日のように連れて行ってもらってた。。」



 …そうか。(´・ω・`)

 赤阪の趣味がスポーツ観戦というのは

 そのあたりに起源があったんや。。


 事実…赤阪はいろいろ球場で生で観たらしい。。


 …北海道勢の初優勝とか…

 …ハンカチくんとマー王子の再試合とか…

 …佐嘉北の満塁本塁打グランドスラムとか…


 野球少年やったワシには垂涎モノ。。



 まぁそれはともかく…

 そんな爺ちゃんに連れまわされた赤阪は、

 根っからのスポーツ好きになった。。


 今でも暇さえあれば競技に関わらず

 観戦に出かけとるとか。。



 ではそんな赤阪少年に芽生えた感情。。

 

 それは自分が同じ場所に立つこと。

 スポーツ選手として表舞台に立つこと。


 なんやけど……



「それで少年野球を始めたんだけどさ…

 …向いてなくて。。(/ω^\)

 結局は一年ももたなかったんだ。。」

「それでどうなった??」


「…他の競技ならと思ってさ…

 サッカースクールとかダンス教室とか

 色々やったけど中学に入るころになって

 遅ればせながら…気づいたんだ。」

「何を??」


「自分には…才能がない。。(´^ω^)」

「(一同)…(´゜д゜`)」



 なるほど。でも…

 そんな人はたくさんおるんやろうな。。


 …では才能のない人はどうする??


 競技者になることを諦める。

 大きな目標を諦めて健康運動に徹する。

 スポーツそのものをやめてしまう。

 下手の横好き。(=゜ω゜)ノ


 …大体がそんなところだが赤阪は…


 中学に進学する年頃になってもなお

 そのいずれも選ばなかった。。



「…だから中学では陸上部を選んだ。。」

「選んだ??…なんで??」


「陸上…特に長距離という競技は、

 <才能よりも努力が勝る>と聞いたから…

 それならボクにも可能性がと思って。。」

「それで…どうなった??」


「いろんな種目に挑んだけどいずれもダメで…

 結局はやっぱり長距離走に落ち着いた。。」

「…消去法やったんやな。。」


「最初のころは長距離選手として頑張って…

 それなりに結果も出ていたんだよ。

 だけどやがてついていけなくなって…

 中二の頃から徐々にサボるようになった。」

「…(´・ω・`)」


「…惨めだったよ。。(;^v^)

 みんなの迷惑になってるようにさえ感じて…

 それで中学限りで辞めるつもりだったんだけど…」

「…ならばなぜ天下茶屋で陸上を??」



「…そんな時に…

 爺ちゃんが急に亡くなったんだ。。」

「それで…気持ちが変わったってこと??」


「…うん。爺ちゃんはずっとボクがアスリートに

 なるって信じてたから…

 それで陸上を続けることにはしたんだけど…」

「…けど???」


「…とはいえ環境は変えたかった。。

 だから高校では一から始める方がいいと思って…

 知り合いのいない高校を探したんだ。。」



 …なるほどね。。(;´・ω・)

 けど実はこういう人は多いんやろうな。。


 頑張っても選手としては上手くいかず、

 燻って悶々としてる運動部員って。。



 …そしてこの後のことはワシも知ってる。


 天下茶屋高校でも長距離を始めたけど、

 その陸上部の中でもやっぱり遅れをとって…


 二年になればと思っていたらその年には

 後輩も入ってこなくて…

 試合にもほとんど出られなくて。。


 それでも陸上部を辞めることだけは

 心苦しかったらしい。

 それでマネージャー同然に。。


 そんな赤阪が陸上部がなくなることを

 五月ごろに知った時は哀しみよりむしろ


 …ホッとしていたらしいんや。。

 ではそんな赤阪にとっての心残りは… 



「…そんなボクに…

 天保山が救いの声をかけてくれたんだ。。」

「いや。。ワシはそんな大層な…」


「…ずっと出たかったんだ。。

 だって…長距離選手の憧れだから。。」

「……(´・ω・`)」


「…諦めていた駅伝を走れるかもと思ったら…

 …居ても立ってもいられなくなって…

 …無理を言って入れてもらったんだよ。。」

「…そんなわけでは…(´・ω・`)」


「それで爺ちゃんの墓参りに行ったんだ。。

 …ボクはまだ頑張るって。。

 だから今度こそやるべきとことは全てやる…

 その気持ちだけは…果たすって。。」

「…(´・ω・`)」



「でも今度こそボクは…頑張れてるのかな??

 やるべきこと…全部できてるかな??」

「……(´:ω;`)ゞ」



 みんな…あえて無言で応えたみたい。。


 だって赤阪の努力は全員が認めてるから。。

 口に出したら安っぽくなるくらい…


 やるべきこと…いや、それ以上をこなす

 真摯な男というのは明らかやから。。



 …ただ問題は赤阪自身が…

 そんな自分を認められていないこと。。


 この五年で失った自信と自尊心…

 それを取り戻すことはまだできていない。



 赤阪にとってアスリートたること。

 そのプライド…手に入るんやろうか??



ちなみに余談ですが作者は高校野球が好きです。

甲子園では軽く百試合以上は見ています。。


マニア垂涎の名シーンはあまり目にしてませんが、

マニアは分かる印象深いシーンはそれなりに…

('◇')ゞ


ちなみに私にとって一番印象的だったのは

'98年の豊田大谷vs宇部商かな。。


サヨナラの結末はたくさん見ましたが、

最後の瞬間が「おぉ」でも「ワー」でもなく、

「あっ…」(/;ω;\)

だったのはこの試合だけ。


サヨナラボークの瞬間は未だに覚えています。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ