107 キックスが加入するから
キックスの入部が決定。
その練習初日…
になる前日のお話です。
「浜寺!!ラスト粘れ!!」
『15分57秒!!』
「やったな、浜寺!
ついに15分台突入やぞ!!」
「…クソ。(; ・`n・´)」
「…えっ??(´・ω・`)」
「……クソ。。(; ・´n・`)」
キックスの入部が決まった翌日。
今日から一緒に練習…
とはいかん。(´・ω・`)
だって今日は水曜日。
キックスはESSに行く日。
ちなみに来週からはワシらも
水曜が休養日となる。。
それで今日の練習は軽めに
記録測定。
そこで浜寺は以前から目標やった
15分台を達成した。
記録会では惜しくも届かなかった
数字をクリアしたのに…
酷く悔しそう。。(・.・;)
そしてその直後には…
「遥ぁ!!頑張れぇ!!」
『17分02秒!!』
「惜しかったな。。(・_・;)
だがもう故障の影響はないな。
あと少しで16分台やぞ!!」
『…クソ。(; ・`n・´)』
「…おいおい珍しいな。。
遥がそんなに悔しがるて…」
『……クソ。。( ´;n;`)」
遥も悔しがってる。。
目標には届かなかったとはいえ
これは自己ベスト。
満足のいく内容のはずやのに…
ちなみに今日ベストが出たのは
遥と浜寺の二人だけ。
先日の阪神記録会で条件のいい
トラックを走ったばかりやから
他の者はその記録を上回れず。
なのになぜこの二人が??
話を聞いてみると…
「俺は…密かに狙ってたからな。」
「狙ってたて何を??」
「…準エース区間。。
だって俺は長距離型やから…」
「そうか…浜寺は四区を。。」
「…ああ。。(´・v・`;)
そうなれば泉を七区にまわせる。
チームのことを考えればその方が…
その役割は俺がと思てたのに。。」
「…けどそこにキックスか…
区間限定のスカウトやからな。」
「ああ。アイツは初練習でいきなり
15分55秒を出したから…
せめてそれ…上回りたかった。。」
…なるほどね。。
浜寺もチームのこと考えてたんや。
たしかに泉はアンカーがええ。
後半に爆発力のある中距離走者は
ゴール前での競り合いに強い。
これが最終走者なら順位を一つ二つ
上げるのには好都合や。
だが競り勝つタイプの中距離走者は
勝っても大差はつかない。(-_-;
一秒二秒だけ先着して襷を繋いでも
次の走者で追いつかれるから。
…加えて泉がアンカーに入れば、
赤阪を七区…五キロ区間から外せる。
本来は三キロ区間に入れたい赤阪を
五区に回せれば理想形や。
…でもそうなると。。
『私は…出番がないです。(;_;)』
「…そうかなぁ。。(;´・ω・)
でも遥がおるからこそ選手層が…」
『…浜寺先輩は今日で15分台…
能勢先輩も3000では8分台です。
今の私の記録では
控えの役回りさえ務まりません。』
「…うーん。(゜_゜)」
…たしかにそうかもしれん。。
だって遥は女の子。
故障の影響は薄くなったとはいえ
男連中とは1分の差がある。。
こんなできたて駅伝部でも
男子がほぼ全員16分を切るのに対し、
高校女子に15分台を望むいうのは
不可能に近いんや。
けど…それでは困る。(´・ω・`)
せっかく選手層が厚くなって
これからという時に、
肝心の選手たちのモチベーションが
落ちたらなんともならん。
ねんけど…
「だが…心配すんな。(; ・`v・´)
俺はむしろ今回の件でやる気が
上がってるんだからな。」
「…浜寺??(´・o・)」
「俺は…俺のために走ってるから。
チームより個人を重視するヤツは
後半区間の方が向いてるんだ。」
「…そんなこと言ってたな。。」
「チームのために戦いを重視する
放出・能勢・天保山が前半…
個人の活躍を重視する俺たち…
赤阪・浜寺・泉が後半。
これが理想形やないのかな??」
「…だな。。」
『…だから私も
もっと頑張らないと。。』
「…なんで遥まで??
控えに回された言うてたのに…」
『…控えだからこそです。(-v-)』
「どういうこと??」
『控えが頼りなければ皆さん…
思いっきり限界までは鍛えられ
ませんよね。。
せめて後ろ盾になれなければ
層が厚くなってません…』
「…たしかに…(・_・;)」
『…残念ながら男子のみなさんとは
勝負にはなりませんが…
私には私の戦いがあります。
むしろ…はっきりしましたから。』
「…遥…ありがとうな。。」
結果…ええ感じや。。
キックスの加入により駅伝部内に
競争が起きたこと…
一人欠けたら終わりという状況が
多少なりとも解消されたから、
これまで以上の負荷に
ツッコめるようになったから。。
戦うことを拒絶し続けたキックス。
誰も傷つけたくない。
争い自体を避けて通りたい。
その…気持ちはわかる。。
けど現実にはそうはいかない。
戦いを通して成長する。。
母国に平和を齎すことを目指す
彼にすれば…
戦い傷つくこと…争い育つことの
違いは知って然るべき。。
チーム内で戦うこと。
高めあること。
支えること。。
少しやけどその息吹が
チームに芽吹きつつある。
だから翌日の練習からキックスが
参加するとさらに気合が入るわけで…
スタートラインに並ぶと
ライバル意識がみなぎるわけで・…
『ほな今日の練習はまず…
1000mのタイムトライアルや!!』
「(一同)ようし。。」
『位置について、用意…』
<パン!!>
「コワイ…コワイデス。。(/ω;\)」
あらら。忘れてた。(-_-;)
キックスに銃声は禁物やっけ。。
…こりゃキックスは陸上競技場に
連れてはいけませんな。。
あと駅伝でも一区はムリ。(/ω・\)
もっともキックスは四区専任やけど…
、
…なんと言うのかなぁ。。
キックスは四区専任。
能勢は三キロ区間専任。
他にも制約の多い部員だらけ。
事実上…余裕などないに等しい。。
誰か一人でも潰れたら、
それはそのまま敗北につながる。
けどそれは…ワシらそのもの。
壊れそうなギリギリ。。
そんな心身の連中のカタマリ。。
だからせめてあと半年…
府予選の日まで…
駅伝の神様はワシらを無事に…
心置きなく思いっきり
走らせてくれるんやろうか??
(´・ω・`)
改めてその役回りが
明確になった駅伝部。。
けどそのまま順調にいく??
…訳はないと思います。




