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105 誇るために戦う

戦いを求めない才能…

キックスオーキャットくん。。


でも大事なモノを失ったのは

大なり小なりみな同じなわけで…


「大事ナ人…失ッタ??(・_・;)」

「いや…あのその…(´゜д゜)

 それはワシ個人の話やでその…」



 …思わず口が滑った。。


 ワシは一度だって事故のこと…

 みさき叔母ちゃんを亡くしたことは

 誰にも語ったことはない。


 …だって同情されるから。。


 大事な人を亡くす原因となったワシに

 情けを受ける謂れはないから。


 せやからワシはずっと…

 自ら日陰を歩む道を選んでたんかも

 しれんねや。。


 けど…それではアカンと気付いた。


 もちろん同情を酌む気なんかない。

 不幸は人に語るべきやないが…


 ワシが日陰を歩いて死者は報われない。。


 図らずも自らの命と引き換えに

 生を拾った者のやるべきは一つだけ。


 その人の分まで命を輝かせる。


 そんな風に…今のワシは思うてる。。

 ( `n´)ノ



 この考え方はキックスくんに理解して

 もらえたみたいや。


 だって彼は…ワシの比やない。。


 友人・知人・親族に至るまで何十人もを

 失った身の上やから…(;_;)


 たった一人の身内の死のためだけに

 人生を考えるみたいな

 安っぽい不幸を背負ってはない。。


 …けど…

 ワシにはワシの思いがあるわけで…



「これは最近のワシの考えやけどな。。

 命なんて所詮はその…

 100年もすれば尽きるモンやから…」

「…何ガ言イイタデス??(・.・;)」


「…ワシが思う一人前の…

 100年やそこらで叶えられる望みなど

 持てるようはずがないと思う。。

 …せやからワシは…

 今までずっと腐ってたんや思う。。」

「…デハ今デハ??(´・ω・`)」


「せやからワシは…走った。。

 とりあえず走ることに頑張ってれば

 腐った自分を誤魔化せたから。。

 記録が伸びて…戦った気になれてた…」

「…ソノ何ガイケナイ??(´・ω・`)」


「ワシは…アカンかったんや。

 自分のためだけには頑張れへん。。

 誰かと一緒に戦わんと…」

「…ナルホド…(´・ω・`)

 ソレガ天保山主将ノ戦ウ理由デスカ…」


「…俺も同じかな。。(-ω-`)

 個人ではインターハイに行ったのに

 何の満足感もなかったけど…

 もしチームで都大路に行けたなら…」

「……俺もだよ。(;'∀')

 いまさら個人で何をやったって

 贖罪にさえならないって…」


「…能勢サンモ放出サンモ…

 モウイクラ個人デ戦ッテ成果アゲテモ

 満足イカナイ何カガアルノデスネ…」

「…かもしれないな。。(;´・ω・)

 俺はもう個人で勝つことには何の

 モチベーションもないかも…」



「…でも…ボクは違うかな。。(^^;」

「赤阪サンハ違ウ??(・.・;)

 同ジちーむノ仲間ナノニ目的ガ違ウ…

 トテモ興味深イデスネ。。」


「…ボクの目標は…(;'∀')

 アスリートになることなんだよ。。

 つまり…個人なんだ。」

「…赤阪サンハ…(・.・;)

 自分ノタメニ戦ウノデスカ。。」


「でも…俺もそうだよ。。(;´・ω・)

 あくまで自分の活躍の場を求めたから

 …俺は駅伝部にいるんだ。。」

『それ…ウチも同じや。。(-_-メ)

 極論すればチームは敗けても、

 ウチ自身が区間賞でも取れれば…』


「…難シインデスネ…(゜-゜)

 同ジちーむデモ果タスベキ目的ハ

 ヒトツデハナインデスネ…」

「…(´・ω・`)」



 たしかに…色々あると思う。。


 同じチームでも選手たちの目的は

 必ずしも一つやない。。


 純粋にチームの勝利も望む者…

 ただそれこそが自身の望みである者。

 チームへの貢献を目的とする者。。


 純粋に個人の成功を望む者…

 ただそれこそが自身の望みである者。

 チームの躍進を手段とする者。。

 


 ただ間違いなく言えることは…

 ワシらはみんな戦いたいということ。

 自分が力を尽くすことで

 このチームで勝つということ。。


 加えてそも目的は、

 略奪でも殺戮でも我田引水でもない。


 ただただ…

 自分の成果を確認するため。。


 自分が何者にまでなれたのかを

 知るための手段が…

 

 走ること。。

 そして…駅伝すること。。



 とはいえワシら自身でさえ、

 その確たる目的は分かってないかも。。


 綺麗事を言うたワシも能勢も放出も、

 チームが勝ちさえすれば自分は

 どうなってもいいと言えるほどの

 割り切りはない。。


 個人第一と言うた赤阪も浜寺も泉も、

 自分が勝ちさえすればチームは

 どうなってもいいと言えるほどの…


 …それが当然。。(`・n・)

 では…なぜ戦いたいのか??



『簡単なことや。。(`・ω・´)

 アンタはそんなこともわからんか??』

「…私ガワカッテナイ??(・.・;)

 みなみサンハ何ヲワカッテイル??」


『…人生はな。。

 勝つか負けるか戦わんかしかないんや。

 …戦わずして不戦敗はあっても…

 勝ちたいなら…取り返したいないなら…

 戦う以外に勝ちはないんからや。。』

「…デモ私は…私ノ国ハ…( ´;ω;)

 戦イデ多クヲ失ッタンデスヨ。。」


『…失ったのは…

 多かれ少なかれみんな一緒や。。

 けどウチ等は…

 誰一人として誇りは失のうとらん…』

「…誇リ…ぷらいど??」


『…誇りは…日本人の誇りはな…

 自分の意思でしか取り戻せんねや。。

 日本の誇りは他人やない…

 自分の成功を心することでしか喪失を

 取り戻す術はないんや。。』

「…他人ノ評価ヤ批判ニ気ヲトラレズ

 自分ノ心デ取リ戻スノガ…

 日本人ノ誇リ…ぷらいどデスカ。。」


『…頭のええヤッちゃ。。(`^ω^´)

 失った者は自分を高め勝利する以外に

 取り戻す術はないんやで。。』

「…ソノタメニ…戦ウシカナイト…」



『…だからこそアンタは…

 駅伝をやるべきやとウチは思う。。

 日本で生まれた団体競技。。

 誇りのために自分自身が一秒を…

 仲間のためにあらん限りの一歩を

 削り出す競技は他にない。。』

「……(´゜c゜)」


『…さらに言えばな…(・v・;)

 襷は想いを未来につなぐ象徴や。。

 思いさえ繋がれば…

 自分の営みは死んでないのでは??』

「……(;´・ω・)」


『…あんたが日本で駅伝に…

 戦いに疲れて勝利を放棄したあんたが

 その術に出会ったこと。。』

「…ソレデモ…私ハ。。(´゜д゜`)」



 …戦いたくない。。

 誰も傷つけたくはない。


 自分が勝つために誰かを負かすことを

 潔しとはしない。。


 前半はチームとして大きく争う競技。。

 後半は目の前の敵と小さく争う競技。。


 それが駅伝競技。

 ならば…だからこそ…


 千林さんは言ってたんやな。。


 前半の争いはさせない。。

 後半の争いもさせない。。


 争わずにして戦い自らを研鑽する。


 曲がりになりにもこれを約束する

 駅伝部の答えは…



「…だから言ったはずだ。。

 キミにはチームの要で中央の四区。。

 争いでなく…繋ぎを任せると。。」



得るため…取り戻すため…

誇るために戦う。。


誇りとは他人の評価ではない。

まして強制するモノでもない。


自分を果たせたか…

誇り高き真っ直ぐな自身の目で

評価するモノです。。

(`・ω・´)



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