103 なぜ争う??
キックスくん争奪戦は
最終ラウンド。
説得に当たるのは駅伝部で
もっとも駅伝を知る…
あの男です。。
「本日ハ足元ガオ悪イ中…(;'v')
オ集マリ頂キアリガトウデス。。」
『相変わらず日本語が
上手いんか下手クソわからん。。』
始業式を終えて実はまだ
一週間の火曜日。。
注目の留学生…
キックス・オーキャットくんが
部活を決める日が来ました。
大阪の場末の高校に来た紛争難民は、
紛争収束のヒントを求めて日本に来たのに…
なぜか争奪戦に巻き込まれてます。。
もっともキックスくん争奪戦自体は
ちょっと収束気味。。
接待同然の部活とは対抗はでけんので
ほとんどはフェードアウト。。
…というわけで…
事実上は二者による対抗戦。
キックスくんの英語力に期待している
ESS(英語研究会)と、
その身体能力に期待する駅伝部。。
…つまりは頭と体。。
日本人から見ればどちらの分野にも
突出する能力の彼は、
両者のひっぱり蛸というわけ。
それで子供の喧嘩では終わらなくなって…
『…そちらの方は??(・.・;)』
『ああ。(´゜д゜)…この人は駅伝部を…
時々取材に来てくれてる方で…』
『なんですってぇ!??(; ・`д・´)
部外者に助っ人を頼むなんて!!』
『…そのなんと言うか…
一応は非常勤コーチーでもあるんや。。
今でも足は選手に負けへんし…』
『…速いってウソでしょ!?
こんな小汚いオッサンがぁ!??』
「…酷い。。(´;д;`)
…まだ30歳になったばかりなのに。。」
『とにかく…(; ・`c・´)ノ
ESSには顧問が来とるんや!
駅伝部にも大人がおってええやろ!?』
『……たしかに…(・.・;)』
というわけで、なんとかみなみが
ESSを説き伏せてくれたけど…
…酷いでんな。。(/ω・\)
こう見えてこの人…千林旭さんは、
都大路と箱根に出場した実績を持つ、
ご立派なランナー様ですぞ。。
コーチになってからは練習再開して、
ワシらの先頭を引っ張れるまでに
鍛えて…現役復帰目前ですぞ!
けどそんなことより…
かれこれ20年も駅伝に携わってきた
大ベテランさんが説得に加わって
くれるんや。。
ワシらでさえ知らん駅伝の魅力を
教えてくれるんかもしれん。。
そしてそれこそが、
勧誘の鍵でもあるということ。。
先攻のESSのプレゼンは
顧問の先生が代表して行った。
多カ国語を話せる語学力を通して、
彼が国々の懸け橋になることこそが
平和への礎になる最良の道だとの
説得がなされた。
…平凡やけど分かりやすい。。
難しい言葉で外国人を説得しようと
したワシらに比べたら…
こん位の方がええんかもしれん。。
だから対する駅伝部も大人。。
誰より駅伝を知る千林さん説得は
どういうもんになるのか??
「…キックスくんだったね。。
紛争地域での悲惨な経験がゆえに
スポーツや競技を…
争うことを嫌っていると聞いたよ。」
「…ソノ通リデス。(`・c・)ノ
争イカラハ何モ生マレマセン。。」
「では…争わずに何が生まれる??」
「エッ??(・.・;)」
「頭のいいキミのことだから
知っているだろうが…
有史以来の世界のどこにも、
争わずして平和を手に入れた国は
ないと断言していいぞ。。」
「…ソノ通リデスガ…(・_・;)
ソレデモ私個人ハ争イタクナイ。
敵トノ戦イハ望マナイ。。
傷ツクコトモ…傷ツケルコトモ…」
「…それで目標は叶うか??( ・c・)
母国を平和にする方法を探しに
日本にまで来たというのに…
そこで何を学ぶつもりなんだ??」
「…タシカニ…(/;ω;\)
デモナラバアルンデスカ??
駅伝ニハソノ礎ガ…」
「ああ。たしかに駅伝は競技だが…
選手の目的は敵に勝つことではない。
あくまで選手は仲間のため…
自分を削って貢献する争いなんだ。」
「…デモ…競技ハ狡イ。。(; ・`n・´)
私ノ日本語ノ勉強ニ読ンダ小説デハ、
相手ヲ騙シテ弱点ツイテ目晦マシスル
高校ばれーぼーるちーむガ…」
「…おいおい。。
なんで日本語を勉強するために
そんな素人小説を…(-_-;」
…まぁ…(´・ω・`)
誰かさんの書いてる別の小説では、
敵を狡猾に倒すバレーチームに
ついても触れてはるみたいやけど…
…駅伝はそうやない。。
というか…その要素が薄いらしい。
千林さんの受け売りやけど…
まず理由の一つが競走者の数。
ライバルが山ほどいる前半戦では
敵を騙すことに意味がない。
一対一では相手vs自分となるが、
集団が大人数では敵を蹴落とすことに
然程の意味がないからや。
…せやけど…
集団には集団の駆け引きがある。
策略も狡猾もない前半戦など、
駅伝競技には存在しない。。
そして…後半戦になれば必然、
競り合う敵は限られる。。
そうなれば敵はあくまで敵。。
目の前の相手に先んじるためには
手段を選ばなくなる。
それは…どんな競技も同じ。。
「…ソウデスヨ。。(´・ω・`)
駅伝ハ何モ特別デハナイ競技。。」
「…ではなぜ…みんな争う??
人を傷つけたくないのはなにも
キミだけではないぞ。。」
「…ソレハソウデス。。
特ニ日本ハ和ヲ重ンジマス。
ナノニ…ナゼ争ウ??」
「それは…争い無くして成長なし。。
勝つ喜びと負ける悔しさ…
仲間のために戦うことこそが、
成長する最良の手段だから。」
「デハ…何ノタメニ成長スル??」
「そうして成長した人間だけが…
和を為すことができる人だとボクは
考えている。
勝ったことのない人間がどうやって
平和の礎を築けるんだい??」
「タシカニ…(´・v・`)
勝敗ヲ知ッテコソ心ガ育ツノハ事実。
デモ…ソレデモ私ハ…(;´・ω・)」
やはり…そこが鍵や。。
キックスくんが目標を果たすには
戦いによる成長は必要不可欠。。
仲間とともに勝利を目指して戦い、
その喜びを掴み…かつ…
敵を傷つけない競技者たること。
たしかに駅伝は人を傷つける要素は
少ないとはいえ、
そこを完全に避けることは不可能。。
前半戦にも後半戦にもどうしても
争う要素は存在する。
…ならば…
「…だからボクはキミに駅伝の…
中央の繋ぎを担ってもらいたいと思う。」
「…中央ヲ担ウ??(´・ω・`)」
「そうだ。全七区間の中央…
天下茶屋駅伝部の単なる一員ではなく
要の四区としてスカウトしたい。」
…な…どういうこと??(・_・;)
たしかに四区には少ない。。
前半の駆け引きも後半の競り合いも…
三区で多く見られる留学生たちも。。
せやけど…
駅伝において各区間で果たすべき
役割に然程の違いはあらへん。
そのあたり…どう説明するつもり??
本文中にも少し触れましたが、
私の小説では「争う」ことについてと
それに伴う「成長」について
触れることが少なくありません。
…なかなか上手くいかないんですけどね。
(´・v・`;)




