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100 戦う理由

不遇な人間だらけの駅伝部に

関わることになりそうな留学生…


キックス・オーキャット。


けど彼の抱える不遇は

これまでとは桁外れのようで…


「…怖イ…怖イ…(´;ω;)」

「…どうしたんやキックスくん??

 何が怖いというんや??」


「…shot gun…(;_; )」

「ショッガン??(・.・;)」


「……私ハ…銃声ガ怖イ。。」

「……(´・ω・`)」



 これ…凄い大問題かも。。


 たしかに駅伝部は不遇な人間の集まり。


 ワシも不遇の塊みたいな男やけど、

 万年補欠にスタミナゼロに泳げんに…

 Mtfに故障に常勝校棄権のトラウマ。。


 その他にもまぁ諸々…

 高校を舞台にした小説としては、

 最大級の不幸の塊と言える。。



 けど…いずれも個人レベル。


 キックス・オーキャットの不遇は

 個人の問題ではあらへん。


 国家問題…どころか国際問題やから。。



「…あの…落ち着いた??(´・ω・`)」

「…スイマセン。取リ乱シテ…

 ケド私ハドウシテモ銃声ハ駄目デ…」


「…そんなに怖い目に??(;'n')」

「…実ハ…(;_;)」



 聞けば彼…キックスくんは…


 元は紛争難民。。

 最悪の治安とも言える国に生まれ、

 11歳までその地に育ち…


 銃撃戦で無辜の市民が命を落とすを

 当たり前に見てきたらしい。。


 そんな紛争中の祖国を命からがらに

 逃げ出し英国に亡命し…


 なんとか生き延びられたけど。。



「…ソレデ内戦ガ激シクナッテ…

 私達ノ家族ハ父親ノ知人タドッテ…

 いぎりすヘ逃ゲタノデスガ…」

「…それで良かったやない…(・.・;)」


「ケド…私の村ハ滅ンダ。。(:_;)」

「…へっ??( ゜Д゜)」


「…友達…タクサン死ンダ。(´;ω;`)

 故郷ノ街…モウ何モ残ッテナイ。。」

「……(;´゜д゜`:)」



 ンマリア紛争…

 頭の悪いワシでも聞いたことある。。


 そして今やンマリアは海賊が跋扈する

 極めて治安の悪い国家。。


 念のために言うとくけど…

 海賊は悪者です。

 治安維持にはヤ●ザ以下の存在。


 某漫画や映画のように気のいい連中が

 メデタシメダタシって…

 まぁ物語の世界だけの戯言です。。



 そんなことはええんやけど…

 陸も海の悪者だらけの環境での生活は

 劣悪この上なかったらしい。


 人の死を見るのは日常茶飯事。

 銃声は目覚まし代わり。

 自身もいつ命を落とすかもと思うんが

 当たり前の日常。。(・.・;)


 日本に住むワシらには考えられんと

 思うてたけど…



「ダカラ…私ハ日本ニ来マシタ。。」

「…だからってなんで??

 イギリスやなくって日本に??」


「…ダッテ日本ハ軍事国家デシタ。。

 戦争ヲシテイマシタ…(:_;)」

「…まぁ…彼是70年以上も前やけど…」


「…歴史デ言エバツイ最近デス。。

 ナノニスグ立チ直ッテ…

 今ノ日本ハ世界デ一番平和デス。。」

「たしかに…そうやな。。(・.・;)」


「漁船ニ挑発サレテモ…

 出鱈目ナ悪口言イマワラレテモ

 無我ノ境地デ悟リヲ開イタカノ如ク…」

「…その通りやけど…(-_-メ)

 …ちょっと思想が偏ってますね。。

 というか日本語上手ですね。。」



「…ケド何ヨリ感動シタノハ…

 日本人ガトテモ規律正シイコト。。

 地震ガアッテモ台風ガ来テモ

 誰モるーるヲ破ラナイ。。」

「…それ世界で噂やったらしいな。。

 被災地では日本の民度が際立つって…」


「…ナラバモシ私ノ国ノ人タチガミンナ、

 日本人ト同ジ民度ヲ持ツコトデキルナラ…

 …キット平和ニナル。。

 ソウ考エテ私…日本ニ来マシタ…」

「……(;´・ω・)」



 …まいった。。(・_・;)


 これまでも駅伝部は不運や不遇や

 様々な不幸な人間を受け入れてきた。


 けど…これは桁違い。。

 国家レベルの問題まで持ち出されては

 どないしよってなもんや。。


 …ちなみに彼の日本滞在予定は一年。


 そんな短い時間で日本人の長所を学び、

 祖国を平和にする礎を身につけ、

 さらにはそれを還元する能力を磨き… 


 寄り道する時間はない。。



 となればワシら彼にするべきことは…

 

 駅伝部を通して日本を学ばせ…

 駅伝を通して平和について考え…

 さらには還元する人間性を高める。


 …って…でけんの??(・.・;)



「…駅伝…怖イデス。。

 …銃ヲツカウ…野蛮デス。。」

「いや、でもこれは銃やなくって…

 スタートの合図であって…

 あとイギリスは陸上が盛んでしょ??」


「ナラバ…駅伝トハ何デスカ??」

「…駅伝とは??」


「ナゼアナタハ駅伝スル??

 他人ト争ッテマデ走ルデス??」

「…いや…それは…(;・.・;)」


「駅伝トハ…我々ニ有用ナモノ??」

「……(;/・c・)/」



 言われてみれば…何でやろ??


 走るのが好き…

 仲間と共にありたい…


 アスリートになる。

 学校名を背負う。

 活躍の場を手に入れる。


 試合がしたいから…

 都大路に行きたいから… 

 敗者復活したいから…

 

 そして最後の輝きのため。。



 やったら…争うのはなんで??


 駅伝部には喧嘩っ早いのはおるが、

 好戦的なアホはおらん。。


 勝って得るモノがあれば、

 当然負ければ失うモノがある。


 戦うことを否定する教育者をアホと

 思うてたけど改めて考えると…


 失った者の立場を知れば一概に

 おかしな意見とも言えん。。



 結局…答えは保留になった。。


 キックスくんは明日はESS。

 他に誘う部活があればそれを含めて

 あと何回かの勧誘を受け…


 その後でどこの部活に入るかを

 決めるってことになった。 



 …どう答えればええんやろ。。

 …どう誘えばええんやろう??


 そもそもワシらが駅伝をする理由は??


 個人的な理由以外に何もない

 一介の高校生の理由。。


 ここまで必死で仲間を集め、

 無謀なはずの挑戦に少しは光明が

 さしてきたはずやのに…



 そんなワシらのしてきたこと…


 彼に比べれば小さすぎるんやろか??

 (´・_・`;)




100回目にして哲学的になってしまいました。。


戦う理由…

争う理由…

意外と難しいものです。


どこぞの教育者が競争を否定した時は

阿呆かと思っていましたが…

実はそんな考え方もアリなのかも。。

(;´・ω・)


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