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009 辞める者…西中島と南方の場合。。

駅伝部を立ち上げることになったけど…

何をどうすればいいのやら。。


 はてさてどうしたものか??

 …駅伝部を作ると宣言したまでは良かったものの…


 何をどうすればいいのやらさっぱりわからん。



『とりあえず…まずは走れる部員の勧誘やな。。』

「どんなヤツがいい??」


『最初は行き場を失った陸上部員の再集結やな。

 一二年の長距離選手は何人おった??」

「…実は一年生部員はおらんねや。。

 よう考えたら、今年は部員募集もせんかったから。

 二年生はワシを除けば2人。…いや3人か。」


『じゃぁ昇はその2,3人をなんとか引き込んで。

 ウチは帰宅部の一年生に声をかけてみる。』

「わかった…やってみよ。。」



 そんなわけで翌日…

 まずは同期の2人を誘うことにした。


 西中島にしなかじま南方みなみかた


 いつも一緒のコンビのような二人組。

 記録はどちらも5000m17分台前半。


 実力者とは言い難いが…今は誰より心強い。。



「お…おい。西中島。南方。」

「うわ…天保山!!

 …珍しいな。お前から声をかけるなんて。」


「実は…お願いがあって……」

「…お願い??さらに珍しいな。。」


「実は…そのやなぁ…」

「だから…顔を近づけるな!!」


 …またこの調子や。


 こいつら二年近くも一緒の部活にいたのに、

 いまだにワシの顔が怖いらしい。

 もっとも親しくないから仕方ないんやけど…


 それでもちゃんと…話は聞いてくれた。。



「…へぇ。駅伝部を作るんか。。」

「それは凄い。俺らも協力せんとな。。」

「だから…お前らに入部してほしいんやけど…」


「…悪いな。。それはでけん相談や。。」

「なんでや西中島??協力するって言うたのに…

 やっぱり…ワシのせいか??」


「だからその…顔を近づけるなって!!

 …あと言っとくけどな天保山。

 俺らはお前のこと嫌いじゃないからな。。」

「じゃあ…なんで??」



 …聞けば西中島は…

 今日から予備校に通うらしいんや。。


 陸上部員の中には、二年の秋の駅伝を最後に引退し

 本格的な受験勉強に入る者も多い。

 特に西中島は親の歯科医を継ぐことになっているから…

 歯科大学への現役合格を目指してるから。。

 

 …そしてそう決めていたからこそ…

 今秋限りで解散する陸上部に籍を置いていたらしい。。



「…南方もそうなんか??」

「いや。俺はもう…無理なんや。。」


「…無理って物理的にか??」

「ああ。。知ってるモンは少ないけどな…」


 …聞けば南方は…


 ずっと膝と腰に故障を抱えていたらしい。

 整骨に通いながら何とか陸上を続けてきたけれど…


 さすがにもう…限界らしいんや。。



 …後悔した。。


 陸上をやめると決めていた者。

 やめたくなくても続けられない者。

 そんな話をもっとできればよかったのに…

 そうすれば…何とかなってたかもしれんのに…

 

 …けど今となってはもう遅い。。

 これ以上…この二人は勧誘できんやろうな。。



「…スマンな。…協力でけんで…」

「いや…こっちこそ無理なお願い言うて…」


「それはそうと、あいつには声をかけたのか??」

「…まだや。。けどさすがに。。」

「……そうかもな。。」



 …けど…選り好みをしてる場合ではない。


 次に声をかけるべきは…

 やはりあいつしかおらんのやから。。



 陸上部長距離部門最後の一人。。

 赤阪千早あかさかちはや


 5000mベストタイムは…19分47秒。。



旧陸上部からスカウトできそうなのは、

およそ高校レベルとは言い難い男一人だけ。。


…本当にどうしよう??

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