第五話「5月21日」
一ヶ月の空白申し訳ありませんでした。
「そういえば影谷について何も分からなかったなぁ・・・」
昼放課に購買に来ていた僕はから揚げパンを会計に出しながら呟いた
あの日、アテが話した真実への衝撃が大きすぎて、影谷に頭が回っていなかったのだろう
おつりをもらい、廊下を渡る
「また次の週にでも・・・あと6日も殴られないといけないのか・・・」
抵抗できるものならしたい、だが影谷の暴力の威力は人外だ
人間は自身に瞬間の攻撃を受けてもしばらくは痺れるだけで痛みを感じないらしい、知覚麻痺とも言う
だが彼は知覚麻痺なんてあるのかと思わせるような拳を振るってくる
だから抵抗以前に痛みが強すぎて何もできないのだ
「・・でも僕が"ちゃんとした"人間だったらもっとひどかったろうな・・・」
そこだけは自分の能力に感謝していると思う、殴られるのはいやだけど。
「ちゃんとした人間ってなに?」
「わぁっ!?」と情けない声をあげてしまった。何人かがこちらを見ている
声の聞こえたほうを振り向くと神宮寺さんが立っていた
「あぁ・・・神宮寺さんか・・・ごめんごめん
えぇっと・・・ほら、僕先生になりたいから人間の鑑にならないとなーって・・・・」
とっさにこんな嘘が出てきたのは我ながら上出来なのではないだろうか
神宮寺さんが疑う目で見てるけどばれてないだろう、うん。
「・・・そうなんだ。まぁそんなことはいいとして」
うん、いいとしておいてくれ。
「今日、一緒に帰ろ?」
「・・・・・・はぇ?」
廊下の騒ぎ声が嘘のように聞こえない、から揚げパンを落としそうになる
「つまり・・・一緒に帰ろうってこと・・・か?」
「さっきそのままそういったよ・・・」
神宮寺の声が小さくなる、若干顔も赤い
いや、でもまだ僕たち付き合ってないし・・・
なんていったら絶対ダメだろう。恋愛シュミレーションでたとえるなら
<好感度が-980下がった!>ってところだろうか
「わかった、じゃあ校門で。」
気づけばそう答えていた
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16:00時
STが終わったが僕はボーっとしている
告白され、好きか分からない女の子だとしてもあんなことを言われたら浮かれる気持ちにすこしはなる
「・・・校門で待ってるからね」
神宮寺にそういわれて我に帰った、神宮寺はすでに教室から出ている
僕は鞄を肩にかけ、校門へ向かった
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教室から一緒に行けばよかったなと話すと「恥ずかしいの」と返された
この言葉も破壊力がある
「あのさ、瀬木島君って影谷君と何をしてるの?」
明るい下校になると思ったが一瞬で寒くなった気がする
「前も言ったけど、談笑してるだけだよ。」
「嘘、瀬木島くんいつも元気がない。笑ったところを見たところがないもん」
くい気味に神宮寺さんは話す
「・・・いじめられてるの・・・・?」
彼女を影谷と関わらせたくない。僕は表情を変えずに返事をする
「何でそうなるのさ、殴られてたら痕とか残るはずだよ?」
「・・・でも」
「神宮寺さん、僕はいじめられてないよ。本当にただ駄弁ってるだけ。
心配しないで」
「・・・・何かあったらちゃんといってね。約束して?」
「わかった。ありがとね」
僕はできる限りの笑顔を見せた
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それから神宮寺さんといろんなことを話した
神宮寺さんの家は僕の家から近く、徒歩20分といったところらしい
道を分かれるとき顔を真っ赤にした神宮時さんに
「私はまだ、あなたが好き・・・だから・・・ね?」
とノックアウトをくらったところだけが未だ鮮明に浮かぶ
かわいい。とは思うがここまで来ても好きなのか良く分からない
すべてが落ち着いてからちゃんと考えたいから、もう少し待っていてほしい
「浮かない顔してるでしょ?」
耳に当てた携帯から明るい声が聞こえる
「電話からどう分かるって言うんだよアテ。」
「声が前のときよりも明るいからさ。
さて、君の悩みを解決しなきゃね」
土曜の夜にしかあえないと思った僕は彼の電話番号を教えてもらった
不思議なやつで、メールアドレスはもっていないとか。
「うん。ありがとうな」
「礼を言われることはまだしてないよ。さ、全部話してよ」
僕はアテに影谷のことをすべて話した
「・・・たぶん彼は君に何か恨みを持っているんじゃないかな?」
「恨み?僕、何もしていないぞ?」
「見えないところで導火線が発火したりするものだよ?
そして君の能力を知ってるんじゃないのかな?」
「つまり火の鳥のことについてか?」
「そうなるねぇ。でも君の能力を見たところで火の鳥の羽なんて気づくはずがない。相当研究したのかあるいは・・・」
他の火の鳥の羽からの情報提供
この2つの選択肢が可能性は高い
「じゃあ僕はできるだけ影谷と話してみればいいんだな?」
「暴力を受けているときじゃ駄目だからね?
彼が暴力をできないところでやるんだ。
僕は他の"羽"を探す」
「わかった。早速予定を立ててみる、今日はもう寝るよ」
おやすみと掛け合い電話を切った
とりあえず予定を書く紙を・・・と鞄をあけたときとんでもないことに気づいた
今日の昼放課、その後の放課
彼の暴力がなかった。
これからこのような延期があるかもしれないですが
気長に待っていただけるとうれしいです!