第四話「5月20日」
時計の針が長針、短針両方とも12を指している、日が変わった
「君に会うためさ、瀬木島 照也くん。」
作者よ、いくら彼女ができないからって同性愛に目覚めたか?
このままBLエンドに持っていくつもりなのかと思ったが、そうではないらしい
「・・・なぜ僕の名前を知っているんです?」
僕は気味悪さを抑えながらこの某SF漫画のゲイ使徒野朗に問う
すると彼はそれ以上に恐ろしいセリフを発した
「照也くん。君は今、大きな問題を抱えているんじゃないかい?」
「はい?」
「・・・・主に暴力関係かな?」
「・・・・っ!」
また気味悪さがこみ上げる、しかしこれは先ほどのものではない。
これは・・・まぎれもない恐怖、まだ涼しい季節だというのに、腕の汗が止まらない
「・・・どうしてそう思うんです?」
「あはははっ!だって、そう君の顔、いや心に書いてあるからねぇ」
何を言っているのかが分からない、メンタリストみたいな嘘臭いものではない
僕はとうとう思い切ってこの質問をしてみた
「あなたは・・・・何者?」
「僕は火の鳥の羽さ」
火の鳥の羽?ふざけているのだろうか?あれは架空生物だ
その架空生物の羽ときたものだ、やはりこいつは頭が
「実話さ、火の鳥はいるよ。」
「っ!?」
アテはまるで僕の心を呼んだかのように話した
「別名「不死鳥」宇宙が誕生したと同時に生まれたって聞かされたよ」
「つまり、宇宙の双子の兄弟ということですか?」
「物分りがいいね、助かるよ・・・・」
「恐縮です。それで、あなたの読心術が火の鳥と関係が?」
「・・・火の鳥って聞くと何を思いつく?」
例のマンガを少ししか読んだことがないのだが僕は思いつくことを指折りで数えた
「不老不死、その血を飲むと同じく不老不死になれる、焼死からの再生・・・」
「あとは、涙で傷を癒せるってところだね。だけどそれだけだと思うかい?」
「ほかにもあるというのですか?」
「よく考えてみてよ。宇宙とともに生まれたのに、それ以外に何もできないなんておかしいじゃないか?念力を使う人間だって発見されているのに」
不老不死って時点で念力なんかよりも数億倍違う気がするのだが、確かにそうかもしれない、僕は黙ってアテの話を聞く
「火の鳥・・・彼女とよぼうか。彼女はあたらしく知能を持った人間に期待した。だけどくだらないことで戦争をし、大してすごくないことに喜ぶ人間にあきれてしまった。そこで彼女は自分の能力を羽に与え、地球へと落とした、それが僕たちなんだ。」
アテの話はそれからも続いたがアテの話が分かりやすいこともあって15分ほどで終わった
「何か質問はあるかい?」
「君たちのような人は今何百人といるのかい?」
「何十もいない。8~9人ぐらいじゃないかな。あくまで羽、落ちればそこに生命が誕生するとは言ったけどね。タンポポの種が水の中に落ちても咲かないだろう?」
「年はとるのかい?不老不死の羽なんだろう?」
「少し長生きするぐらいかな。怪我も少しすれば治るけど心臓を刺されればもちろん死ぬさ」
僕はその言葉を聞いてハッと思い出した
・・・・これを聞いておかなければならなかった
「ねぇ。僕も人とは違」
「あぁ・・・そうだよ。
その能力も君が火の鳥の羽だからさ。」
僕は次第に手が震えた、唇も震えてくるが平常心を保とうとした
「その読心術、すごいね。僕の能力はすでに知ってたんだろ?」
「君にあったときから知ってたさ。多分、再生能力だろうね。
僕たちは5分はかかるけど、君は40秒といったところかな」
「その読心術はすごいなぁ。僕が今思っていることも当てることができるんだろう?」
「・・・火の鳥の羽とそれを見た人間は互いに親子だと認識する。
君の両親もカッコウにだまされているようなものさ。」
「本当に・・・ずるいよ・・・その能力・・・・」
声が震えているのが分かる、涙も出てきたが何とかこらえようとした
「まぁ実の親は死んでるわけじゃないし、たくさんの兄弟ができたと思って楽になってくれるとうれしい・・・かな。」
すこし笑ってしまった、慰めてくれているのだろうかすこし心も落ち着いてきた
「人間じゃない親かよ・・・はははっ」
自分で言った言葉に笑い、アテも笑ってくれた
「・・・さて、そろそろ帰ろうか。また会おうよ、場所は教える」
「できればこのまま関係を切りたいんだけどね」
「そうはいかないさ。君の抱えている問題を解決しないといけない。
僕も協力するさ。」
「・・・ありがとう、そうだったね」
僕は影谷との関係も解決しなければならない、今ではアテは信用できる人だ
「じゃあ、帰ろう。」
「そうだね。」
アテとは家が正反対らしく、帰宅路は一人だった
街灯がついていなくすこし怖かったが清清しい気持ちで帰れた気がする
朝になったら母の手伝いをしよう、僕を育ててくれた母だ
AM1:00 今日は日曜日だ
読んでくれてありがとうございました^^
彼女ができないのは放っておいてください