第三話「5月19日」
今日は土曜日、前日の6時限目終了チャイムは全生徒にとって最高の効果音であろう
だが僕は学校に来ていた。しかも現在PM11:19分
もちろん動機は影谷のことでだ
彼のクラスを見つけること、何か彼についての情報を探すことが目標だがわざわざこんな夜中に来るのにはわけがある
一度学校に訪れようとしたが、運悪く彼に見つかってしまい・・・
というか、4回も休日に彼と出会うことがあるだろうか
僕は彼に尾行されていたのだ。まるで学校には行かせないかのように
以来僕は気味が悪くなり、休日も外へ出れない
夜はもちろん親が阻止するので不可能なのだが、父は出張 母は風邪でもう寝ている。今日がチャンスなのだ
と、すでに校門をうまく飛び越え昇降口に入ろうとしているわけだが
土曜日も3人ほど教師が仕事をしているため昇降口は開いている
僕は音を立てないように2学年の二階へと向かった
ここからが問題である
我が校はA組~L組、つまり12組ありさらに1組に30人もいる大型高校なのだ
計360人、そこから自分のクラス(B組)除いて330席を探さなければならない
教室の電気をつければ先生にバレる
かといって、この暗い空間で影谷の席を見つけるのも苦難だ
「どうしたものかな・・・・」
とりあえずA組から調べてみようと廊下を歩いた
「・・・・ん?」
その廊下の窓の向こう側に見えたのは窓が開いて外に出ているカーテンだった
この時間帯ならすでに教師の見回りが終わっているころだろう
だとすると考えられるのは1つ・・・・・・「誰かがいる」
あの窓の位置からしてI組、僕はその教室へと向かった
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「ここに来るって言ったのは本当だね・・・?」
「疑いが深いですね。反抗期ですか?」
「そんなに疑ってもいないだろ・・・?被害妄想が激しい神様だなぁ」
「被害妄想が激しい母親でもありますけどね」
「・・・それはいやかな。」
「ふふっ、そろそろ時間ですね。私は帰ります」
「うん。わかった、気をつけて」
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I組がある校舎は月の光があたっていて見やすく
案の定そこには人がいた、窓縁に座っている
誰かと話していた気がするが1人しかいないようだ
その人は僕が話しかける前に後ろを振り向く
「やぁ。君も学校探検かい?」
とても軽い声の人だ。とりあえず聞きたいことを聞かなければ、
「あの・・・誰ですか?」
「僕はアテ。外人ではないけどね
言っておくけど、僕はこの高校の生徒ではないよ」
「生徒ではない?じゃあなぜここに?」
するとアテはニコリと笑いこう言った
「君に会うためさ、瀬木島 照也くん。」
続く