表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【電子書籍化決定】悪役令嬢の妹ですが幸せはくるのでしょうか?  作者: まるねこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/46

41

 王宮や貴族の庭園はシンメトリーを意識した庭が多い。


 けれど、ターナ様に案内されて向かった中庭はアシンメトリーで設計されており、妖精が住んでいそうな色とりどりの花が咲いている。


 よく見ると、草花の背の高さや配色など全てが計算し尽くされた素晴らしい庭園だった。


「ターナ様、なんて素敵なお庭なのでしょう」

「トレニア、気に入ってくれたかな? この足元に咲いている花はよく知っているよね?」


 ターナ様は庭の植物の話をガゼボでお茶を飲みながら話してくれた。この庭園はとても素晴らしい。これは絶対目に焼き付けて帰らないと。私の様子を見ていたターナ様はクスリと笑った。


「トレニア、結婚すれば毎日この庭でお茶が出来る」

「まさか初デートで結婚の話が出るとは思わなかったです」

「トレニアにとっては驚いただろう。だが俺は一年以上も待っていたんだ。君を是非妻に迎えたい。生涯君だけを愛する事を誓う」


 ターナ様はそう言って私の指にキスを落とした。


 急転直下、世界が一変するとはきっとこのことを言うのね。


 妖精の森に迷い込み、王子様からのプロポーズ。


 婚姻という言葉。

 憧れては心を痛めてきた。

 もう一生ないと思っていたの。

 私には縁がないと。


 誰もが姉妹を優先する。

 苦しい思い出が、蓋をしていた黒い感情が暴れ始め、涙が出てくる。


「トレニア? 嫌だったか?」


 心配そうにターナ様は顔を覗き込み聞いてくれた。


「……いいえ。私は幸せになっても良いのかなって、こんなにも人に想われていたことがなくて、また姉や妹に大事な人を取られてしまうのかなって……。怖くて、不安で。上手く言えなくてごめんなさい」


 ターナ様はそっと私を抱きしめた。


「大丈夫だ。俺はトレニアしか見ていない。どんな美女もトレニアには敵わない。この二年トレニアのことをしっかりと見てきたつもりだ。俺はトレニアが好きだ。それでは駄目か?」


「……ターナ様、嬉しいです」

「トレニア、今度の休みに復籍届を侯爵家に出しに行こう。俺も一緒に行く。何も心配しなくていい」

「……分かりました」


 心のどこかで信じていいの?

 またあの時のようになってしまうのではないの?


 嬉しいという気持ちがあって、同時に不安も感じているの。


 忘れようと必死になっていたあの時の痛みがまだ僅かに残っているのかもしれない。



 そうして私は婚約のための書類や手紙を受け取り、ターナ様に送られて寮へと戻った。


 初デートでまさかのプロポーズにローサはとても驚いていたけれど、「流石はお嬢様! 巷でいうチョロインですよね。あぁ、すぐに侯爵家へ知らせを出さないといけないですね!」と上機嫌で夕食を作っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
チョロインだからこそマード薬師長チョイスにお任せした方がマシなのかもしれない。 見る目無いなら信頼できる人に選んでもらった方が失敗しにくいよね。
本当に彼で良いのか? 同級生の彼だって2年間、主人公の人となりが気に入って、領地でも好感を抱いてプロポーズしたのに 一瞬で心変わりしたぞ? もう少し慎重に見定めても良いのではないか?
ローサさん!? そんな読者が皆思っていても言わなかったことを!(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ