普通になりたい女の話
普通になりたい女の話
ガサゴソガサゴソ
「う〜んやっぱりないなぁ私の日記久しぶりに見てみようと思ったんだけどなぁ……確かこの、あたりに……しまったは……ず、なんだけど」
ガン!!
「いだっ!!」
ドドドドド
「あわわわわ!! 本がめっちゃ落ちてきた〜!!」
私は落ちてきた影響で床いっぱいに散乱している本をなおしていると
『マジかな私の不思議な人生ア〜ンドカラダ』
合った合った私が超眠いのに『あっ日記書きたい!!』って午前三時四十三分十九秒に深夜テンションで考えて油性マーカーで書いた意味不明なタイトルだけの日記
確か覚えてる限りだと中身はまともだった気がする。
いやぁでもほんと懐かしいなぁ、どれどれ
ペラ
『最初の一文はやっぱこれかなぁこれ読んでる人〜私の身体っておかしいんだよ〜とふざけるのはこの辺にします
どうせ読んでるのは私だからね
いつ記憶がなくなるか分からないからなくなっても驚かないように一応書いておく
最初に言っておくが私は周りと比べるとだいぶおかしい!!
なぜなら理由は下記の記述の通り
私は『ホシナ』と書かれた紙を置かれたカゴに入れられ捨てられていた
そう"親"に聞かされたのは十四歳の時だ。
私は聞かされた後『すまない』と言われ追い出された
理由はわかっている、それは私の身体がおかしいからだ。
私が自らの身体が"普通"と違うことに気づいたのは八歳の時の八月四日夏祭りでスイカのタネ飛ばし大会があり私は一粒誤って飲み込んでしまった。
私はタネを飲み込んだら身体から芽が出るというは迷信だと思い信じていなかった
だが四日後私の腕から芽が出た。
それだけでおかしいと思うだろうが、それからさらにおかしなことが起きた。
発芽した次の日には激痛というには生ぬるいような痛みが私を襲い意識を失った
意識を取り戻した私の身体横には大きなスイカが出来ていた。
私は恐る恐る割って食べてみると絶品だった。
私は他にも試してみようと様々なタネを飲み込むとスイカ同様生まれた。
しかし私の身体は植物だけではなく……金属も生み出せることをスーパーでの異物混入でネジを飲み込んだ時に知った
しかも私の考えた通りの形で金属は生み出された。
その上私の身体回復能力は凄まじく、なくなった腕は一時間も経たず再生することもバイクとの交通事故で分かった。
私の身体は痛みはあるが損傷した箇所は必ず治る
自分の身体を傷つけたことで分かったことだ。
ついでに私の身体は美味かった。
これなら食べ物には困らなくて済む
特に焼肉にしたら美味かったぞ、ナイフか何かで自分の身体の肉削げばいいから材料は簡単に手に入る』
「ふむふむ」
ペラ……ペラ
『住んでいる場所が変わっていなければ近くに川があるはずだから魚獲ってちゃんと喰えよ。また魚に喰われるなよ絶対!! ここは日本とは違うんだから』
……よし今日はここまでにしよう!!
だってお腹すいたもん
さて今日はドラゴンでも食べよっかな
前に狩りすぎて"ドラゴンスレイヤー"なんて呼ばれたけど、あの時はこっちの世界に来たばかりだったからお腹空きすぎて称号とかそんなのクソよりどうでもいいって思ってなぁ……まあ今も称号はどうでもいいんだけど。
そう私は所謂転生者というやつだ。
転生した経緯はというと簡単に言うと
私は自分の身体のことで病気だと思い、病院に向かって先生から『普通になれる薬だよ』と言われて私は藁にもすがる思いで飲んだ。
そして目が覚めると身体はそのままで世界だけが変わっていたと言うわけだ
結局転生というより転移って感じがする
もしかして本当は転移なのかも?
まっ気にしない気にしない
転移だろうが転生だろうが日本より過ごしやすいことに変わりはないのだから!!
私の変な身体には"創造する身体"と名付けた。
理由はなんかかっこいいから!!
コツコツコツ
「いや〜今日も眩しいな」
「テメェ……あの洞窟から出てきたな……つーことはよぉテメェがツィラたちを殺した"輪廻の魔女"だな!!」
「もうまたそれ……違うよ私じゃ……」
「んなこたぁ知るかよ!! この洞窟に住んでんのはおとぎ話に出てくる時代からテメェしかいねぇんだからよぉ!! 死に晒せ!!」
ブン!!
「あぁもう……これだから人間は苦手……勝手に決めつけて私刑……ねえ私はただ生きたかっただけなの、それの何がいけないの!?」
「生きてぇてっのは誰だって思うんだよ!! テメェはその生きてぇって思った奴らを数えきれないほど殺したのはテメェだろ!!」
この人も私の声を聞いてくれない、なら姿も声と変えたら聞いてくれるよね
記憶も取り込んでくれるからこの人が誰かのか分かるから助かる
「ねえヨシュアまた会いに行くから帰ってくれない? この子は本当にただ生きたいだけなの、それに誰も殺してない……ほら私も生きてるでしょ、触って確認してみて……ダメ?」
「…………ツィラの声と姿で俺の前に現るんじゃねぇ!!」
何がいけないんだろ? 死んで会えなくなった人の姿に会えるんだから喜べばいいのに怒る理由あるの?
するとこの男の人が持っていた剣を私に振り下ろした。
シュッ
「もう危ないでしょ、当たったら怪我じゃ済まないでしょ!!」
「はっ? 何言ってんだテメェ『怪我じゃ済まないでしょ』だと何人も殺しておいて……こんなやつにツィラたちが……クソッタレぇぇぇ!!」
この男の人は何度も何度も私に剣を振り翳してくるので
「もういいや面倒くさい貴方この子たちの餌になって"寄生植物"」
千三百五十四年前に私の身体に寄生した植物……まあ寄生された理由は私がたまたま食べたのが寄生植物だったってだけなんだけどそれからは生きている人間や魔物などを餌にして育てている。
見た目はハエトリグサみたいで最初は怖かったが育てているうちにもう超超可愛くて他の人間がこの子の餌になれることを光栄に思ってほしいと思うほど……私も餌になりたいと願ったところでもうなってるんだけどね
「なっなんなんだこの化け物は!? 驚いたが……もう慣れた!! こんなやつに殺されるほどやわじゃねえんだよダボが!!」
男はあの子をズタズタに切り裂いた。
「あっあぁぁあぁあ……絶対に殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!」
私は我を忘れ男を殺した。
これがあの男の気持ちかと殺した後に気づいた。
だけどあの子の種が残っていることが唯一の救いだなぁ
さてその種を食べてまた寄生させよう
パクン
よし寄生された感覚がある
どうしようあの子が殺された時……怒りと同時少し興奮した感覚を覚えている
ちょっと複製出来るかやってみよう。
そしてどうせまた誰か来るだろうから……生き物は殺してもらおう
もしかしたら大切なものを壊されることに興奮するのかもしれない
今度街に行って『ストレス発散ぶっ壊し大会』でも開催して物は壊してもらう。
そして私は襲いにきた人を殺しながら時折遠くの方の街に出向き壊してもらってもらう日々を送っていた。
そんなある時ある男の子との出会いで私の運命は大きく変わった。
その男の子は私の洞窟に来るなり『輪廻の魔女さんどうか妹を助けてください!! 貴方がどんなことをしてきたかも聞いています……だけど助けるためなら手段を選んでいられない……どうか、どうかお願いします!!』
私はその男の子を助けるのはきまぐれぐらいの気持ちだった。
まさか私の呼び名が"輪廻の魔女"から"救世の魔女"と変わって恐れられず崇め奉られるようになるとは思ってもみなかったが、それはまた別の話である。
おしまい
見つけて読んでいただきありがとうございます!!
みかんの種を飲み込んでしまった時に思いつきました