るんるん…あとがき+
4の10「佐々木マユ」または最終話まで読んでくれた方、どうもありがとうございました。
呼んでくれる人がいるというだけで、物凄く励みになりました。感謝します。
この作品は、長い文章を書くためのトレーニングとして始めました。
当初は、2千~4千文字程度のショートショートをいくつか組み合わせていく形式と最終話のラストシーンを基に設定ノートを作りました。
「教室」「コンビニ」「戦場」「国会」「宇宙」「汚部屋」「家族」…
設定メモにあったタイトルです。でも、「家族」編の主人公「田中」の職業を教師に決めた瞬間、「教室」編と絡めて長編にしたほうがラストシーンを強くできると思い、設定を変更しました。
(一部は「断章」という形で本編に組み込んでみたのですが、話の流れから「戦場」は外して、「宇宙」は除外しました)※「戦場」の原案は一番古く、中学の卒業式前夜に仲のいい子に「何か書いて」と頼まれてB6版のカード両面に書いたものが「戦場のるんるん」でした。「ナニコレ、変な話」って辛口のコメントをいただきました。
〈日本で、世界で、どこかで、宇宙で…行き場を失った人たちがつぶやく「るんるん」〉
設定メモのタイトルに書いてあった言葉です。本編では、「僕」の叔父さんに似たようなことを語らせたのですが、コミュニケーションツールが発達したこの社会で、いや、この社会だからこそ孤独であり、孤立している人を多く目にします。それでも、人は生きているし、生きていて欲しい、と日々思っています。
怒りに震えたり、物凄く落ち込んだり、イジワルされて悲しみに包まれたり、生きていくのがしんどくて絶望しそうになった時、「るんるん」と嘘でもいいから騙されたと思って呟いて欲しい。タイトルと作品の概要にはそんな気持ちも込めています。これがこの作品のテーマの1つです(皆さんは、呟いてくれましたか?)
〈ここからは作者の意図の説明になるので、必要のない方は読み飛ばしてください〉
第1章と第4章で「君は~」とサブタイトルで使ったのは、読者のみなさんへの問いかけでした。
主人公として「僕」を設定してありますが、あくまで彼はカメラ的な役割で、最終話を除いて「僕」のキャラが立たないように意識して書きました。ですから、「僕」=読者であり、みなさんは、自分以外の人間が別物(異質な存在)になり、「絶望的な孤独」という状況に直面したらどうしますか?という問いとその答えが、最初に設定した「るんるん」のテーマの1つです。
(個人的に4の10「佐々木マユ」で終わるのが好きだと、あとがきで書いたのは、読者である自分が「僕」ならどうするだろう? と考えられるからです)
「僕」は叔父さんともサカモトとも山田とも違う…だから、呟きました。
叔父さんはどうなるのか、サカモトは呟いているのか、山田は?マユの母親は?
これを考えるのも、読書の楽しみの1つです。
そして最後に、
君は呟きますか?呟きませんか?
〈最後に〉
これから、十数年ほったらかしにしていた「curry」の完成と次の作品の準備に入ります。
日本を舞台にした近未来社会の物語です。
また、秋に投稿しますので興味がありましたら読んでみてください。
どうも、ありがとうございました。