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幻想奇譚

盆に海原

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

雰囲気がほんのりホラーな幻想奇譚です。

お盆に海水浴禁止な理由が分かりました。

葉月の初め。もうすぐお盆の季節で御座います。延々と続く真夏日。三十度を超える日々は今では珍しくなく、肌がこんがりと焦げてしまいます。そんな中、私の父さんはこの様な事を仰りました。

「母さんが昨日お花買ってくれたし、親戚一同来る前にお墓参りしてしまおうか」

「という訳で渡、明日予定開けとけよ? 来ないとは言わせね……はらふぁ」

母さんの頬を父さんがむにっと摘み上げるのを、ころころと声を上げて笑います。相変わらず、言葉遣いには物凄く気を使うお方。

「はい。お供致します」


そうして車に乗り込んで、車を止めた時の事で御座います。フロントガラスに水滴が幾つか落ちて参りました。ぽたぽた、ぽたぽたと。それは直ぐに数を増し、一瞬にして豪雨へと変貌なさいます。全ての穢れを流れ落とす大量の水。それをぽかんと眺めておりますと、お隣からぽつりと一言が。

「あらら……今日暑いからね。蒸発しちゃって……」

「?」

「地面をご覧」

父さんの物静かなお声と共に、地面を覗くと思わず目を丸くしてしまいます。

焼けた混凝土に大粒の雨が降り注ぎます。沢山、沢山、滝のように地面に刺さるのです。そうして突き刺さった矢は直ぐに地面に馴染み、あっという間に、蒸発してしまいます。ふわり、ふわり、ふわり。一つ一つが真っ白な湯気となり、小さな波を生み出すのです。それが幾重にも重なれば、海原の水面から立ち上がった波の光景。神様の視点で海を見た光景。

「今出ちゃ行けねぇな。御先祖なら此処に留めてくれっかも知れねぇが、他の悪霊なら足引っ張られてあの世行きだ」

甲高い母の笑い声が、冗談だと粧しております。それでも、先程まで白い波だったものが、今は小さな手に変貌したように思えました。まるであの世への旅路を共にする伴侶を求めて居るようで、思わず息を飲んでしまいます。

「うん。だから今は待とう。このお盆の季節が終わるまで」

ただ物静かな父さんのお声が、今はひんやりと車内を冷やしました。

じゃがバターが食べたいです。


何時もよりも短い感じがする幻想奇譚です。

初めてかもしれない。渡一家フル登場なの。


湯気が小さな波のようで綺麗ではありました。

小さな海を見ている様でした。

でも視点変えれば、その小さな湯気が手に見えて、連れ込もうとしてる様にも思えました。


故、何となくホラー感ある終わりになりました。

あんまり綺麗なオチを付けたくはなかったので。


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