スカウト?
「何言ってんの舞子!」
今が授業中でなかったら叫びたい麻衣だった。
キーンコーンカーンコーン。授業が終わった。麻衣は鼻息荒く舞子に駆け寄った。
「ちょっと、舞子! ヤリサーみたいな事考えてないよね?」
流石にそれは言い過ぎ。
「キャッチボールって一対一が良いって麻衣が言ってたじゃん? 岡崎も夕夏くんも入れば丁度いいと思ったんだけど。それに、私しか麻衣の球捕れないよ」
「えっ?」
どうしたのか? キョトンとする麻衣。
「やだなー! これだから野球初心者はぁ」と、麻衣。
「あのね。捕るだけなら割と簡単なんだよ?」
「そうなの!?」舞子が珍しく驚く。
簡単にいうと、捕るには球筋を見る目と握力があればいい。だが、今回の場合、麻衣は構えたところへストレートで投げた。つまり舞子は手にゴムボールが入った瞬間握るだけで良かった。麻衣はコントロールもいいと言うことだ。
「はっ!!」授業が終わったと言う事は……?
「あの〜、僕じゃダメでしょうか?」
『ゆうかくん!?』
ハモった。
「えーとね、私達、女子野球部作りたいんだ」
「そそ、だから、男の子はちょっと……」
二人は傷つけないように丁寧にお断りしようとしたが、それでも。
「で、では、マネージャーやります! こう見えて、管理とか得意なので!」
「うっ!」
圧がすごい。麻衣は参ったと言わんばかりに。
「そこまで言うなら、いくつか条件つけるけど……。ねぇ? 舞子?」
「そうだね! 夕夏くんには、マネージャー以外に、女子の着替を盗撮しないように徹底的に警備してもらおうかな?」
と、いうことは?
「じゃあ、ぼ、僕、入っていいんですか!?」
「仕方ないなぁ」
三人目のメンバーが加わった。
「あの、僕、中学の時ソフトボール部だった女の子友達いるので声掛けてみます!」
これは僥倖。もし、その子が入れば四人!
「舞子、メンバー募集のポスター書こうよ!」
麻衣の案だが、問題が。
「誰がポスター書くの?」
「皆で!」
「麻衣、美術の成績は?」
「えーっと、2だったかな?」
体育会系あるある。美術には乏しくポスター制作が難易度高い件。
「あ、【みっちゃん】ならこういうの得意じゃない?」
「そだねー。たしか【マン研】だよね?」