メンバー
「……。えー、女子野球部サークル? を、サークルとして認める」男性オッサン教師が事務仕事のように淡々と二人のスタートを認めた。
「やったね! とりあえずキャッチボールができるようになるといいね!」
「そ、そだね」
実は舞子。捕る事に夢中で、投げる方は平均的女子以下だった。と、そこに。
「すみません!」
教員室を出たとこを声掛けられた。
「あの、昨日のピッチングに惚れました! 入部したいです!」
部活ではない。
「あの〜、ねぇ? 麻衣?」
「うん、そだね。えっと、名前は?」
「夕夏って言います!」
随分気合が入っている。
「ゆうか、君、男の子だよね?」
「そうですが?」
「えっと?」
「はい?」
これが混乱というものだ! 二人は【女子野球部】を作りたいのだが、男子がいては、色々とマズい。
キーンコーンカーンコーン。丁度良く? 授業の鐘の音が鳴った。
「とりあえず、後で!」二人は逃げるように教室に戻った。
「あっ……」夕夏はしょんぼりぼん。
授業中、ラインでチャットする二人。
「男の子はねー……」
「でも部員は必要だよ?」
「サークルでしょまだ」
「麻衣はサークルのままでいいの?」
「いやだけど男の子いたら着替とかどうするの?」
「部室の外で待たせる。あんど、覗きがいないか見張らせる!」
「舞子こわい」クスクス。
「こら! スマホ見てるだろ!?」
教師にバレた?
「【岡崎】!」違う人だったようだ。
「えー、いいじゃん!」
「良くない! お前、一年なのに野球部の一軍だろ? 勿体ないぞ! そんなことで野球人生終わるのは!」
どうやら、岡崎という男子、野球部みたいだ。それにしても一年で一軍とはすごい。ここは古臭い習性が残っていて、一年は球拾いが恒例なはず。髪の毛もボウズじゃなかった。
「彼も野球部から引っこ抜いてメンバーにする?笑笑」
と、舞子からラインがきた。