発足!
「すごい! 舞子捕れたじゃん!」
ジーンと痛む左手を堪えながら麻衣に近寄り。思いの丈を言う。
「麻衣、こんなすごい球を投げれるのに、野球部入らない、じゃなくて、入れないのはおかしいよ! 作ろう! 私達で【女子野球部】!!」
呆然としている麻衣に更に畳み込む。メンバー募集やらなんやら兎に角考えさせないで、いい雰囲気を出す。そして、それは報われる。
「私も、野球やりたい! 女子野球部、一緒に作ろう!」と、麻衣。
「ダメだ」
その足で職員室に行ったが断られた。しかし、火種は点いた。麻衣は「今日は出直した方が良さそうだね」と言い、帰ったが、早く帰りたかった。押入れに入れておいた野球道具。
それらを引っ張りだし、手入れを始める。
「ねぇちゃん夕飯だよー」弟に呼ばれても気づかなかった。麻衣が食卓につく頃には弟は食べ終わってゲームをしていた。
舞子は「ダメだ」と一蹴されたのを悩んでいた。(もしかしたら部活は無理かも)と。どうすればいいか生徒手帳を読む。
廊下でキャッチボールを見ていた【加藤夕夏】は、明日は、明日できたら、話し掛けようと心に秘めていた。
ー翌朝ー
「麻衣!」
「舞子! おはよー」
「おはよー!」
眠たそうな二人がばったり登校中に会った。麻衣は野球道具の手入れをしたあと、シャドウピッチング百回していた。舞子はなんとか部活創設の為に考えて考えて考えて考えてみた。その為、眠かったが、二人とも元気だ。と、いうことは?
「麻衣! 見つけたよ! 部活作る方法!」
やはり、そうきたか。
「えーーー! ホント!?」
「校則で、【部活は三人以上の生徒と担当教師一人以上がー】ね?」
「え? でも、私達二人じゃん?」
「一人くらいなんとかなるでしょ!」
と、騒いでいると夕夏が遠くから眺めていた。
麻衣と舞子は同じクラスだ。
「ねぇ先生! 顧問になってくれない?」
「ちょっと麻衣! なんの説明もなしに強引すぎる!」
担任の【小金沢芽衣】は驚き対応に苦慮している。
「えと、部活作りたいの?」
ホームルーム前なので小金沢先生は早く終わらせたかった。しかし、生徒第一のこの教師は話を聞くだけならと、話させた。
「なるほどね。女子野球部を。……考えておくわ。さ! ホームルームよ!」
これは、思ったより好感触なんじゃないか? と、二人は思ったが、小金沢先生は一筋縄ではいかなかった。その理由が……。
「私、【天文部の顧問なの】」である。二人は知らなかった。いや、だいたいの生徒が顧問の先生など興味ない。仕方ないのだ。
「でも、二人とも知らないのね? 【この学校のサークル制度】。サークルなら二人でもできるわよ?」
「え! そうなんですか!?」
「でも」舞子が切り出した。
「サークルって大会とか出れませんよね?」
「ええ、でもね、サークルから部活を作る事もできるのよ?」
つまりだ。まずは作ってしまえというのが小金沢先生の言い分なのだ。二人は考えて、昼休み。
「作ろうよ! サークルでもいいよ!」と麻衣が言い。ここに、女子野球部サークルというサークルが発足した!