熟睡
すみません。
「失礼します。オンリー様。お食事をお持ちしました。」
「ありがとうございます。そこに置いておいてください。」
「あの〜何をしていらっしゃるのですか?」
女将さんがオンリーの部屋に夕食を持ってくるとそこには縛り上げられた者達がいた。
それを不思議に思ってつい好奇心で聞いてしまった。
「この子達も聖呪で呪いを解いたんだけどね。私の手を煩わせたことを謝り出したから。ウザくなって縛った。」
あまりに土下座して続ける自分の奴隷達にクラム達の二番煎じ感があって飽きたのである。
ニナニナ達呪いに掛かっていない組は寝ていた。
よくこんな状況で眠れるものだ。
「ニャ、ニャ………やっぱりご主人様の近くだと快眠度が違うにゃ。」
絶対な強者がいるという安心感が皆の快眠度を上げていた。そもそも、オンリーの奴隷はクラム達より訳ありが多い上満足に眠れない日々を過ごしてきた者も多い。
だから、オンリーの庇護下にいるというのは快眠さにおいて全然違うのである。
ニナニナ達が旅を嫌がるのは此処にあった。
「まだ、やっているのかにゃ?飽きないにゃ。ご主人様は気にしていないと言っているんにゃから。さっさとやめるにゃ。」
「気にしていないとかじゃない。私達がオンリー様の予定を狂わす事は許されない罪なのよ。」
「…………………」
オンリーの奴隷はそれぞれがオンリーの興味を惹くものがあるからだった。
其々様々な思いはあるが、等しくオンリーを慕っていた。
だからこそ、元々予定のなかったこの湯治を入れてしまった事は奴隷達にとって許されざる大罪なのだ。
その気持ちもわかるのでニナニナは放っておく事にした。
「おい、オンリー。あの後遺症、どうにかならないか?」
「クラム君、あれは罪悪感から来るものだから。それを無くせば少しは治るのも早くなると思いますよ。ただ、後遺症が強いと話を聞かないと思いますよ。」
今、オンリーの目の前で縛られながら土下座している者達を見ながらそう言うことかと納得したクラムはオンリーの部屋で避難しておくことにした。
このままだと何をしてくるのか想像を超える可能性もあるので明日になれば治るかなと現実逃避する事にした。
「女将さん、すみません。俺の食事はこっちに運んでください。」
「承知しました。お布団もお持ちしますね。」
話の内容からクラムがこの部屋で寝るのだと判断した女将さんは布団の用意も始めた。
「不埒な事をするにゃよ。クラム。」
「する訳ないだろう………」
勝手にホモ疑惑を出すな。
誰かに聞かれてこれ以上の誤解が広まったらどうするんだと頭を抱えていた。
「ニナニナ、冗談もそろそろにして皆を連れて部屋に戻りなさい。」
「……………はーい。」
土下座組と熟睡組を引きずって部屋に出て行った。
「あっさり出て行ったな。」
「ニナニナは空気の読める女性です。」
オンリーがクラムに重要な話がある事を察したニナニナはごねることなく出ていったのである。
「ある重大な情報を手に入れた。」
いつにないオンリーの真剣な顔にクラムも真剣に話を聞くことにした。




