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曰く付きの品

「意外と人がいるんだな。」


「一定の猶予を持って開催しますからね。その間に参加しに来ますが、今回はいつもより多いですね。」


 オークションに興味がある人は忙しい身分が多い為、いつもはそんなに集まらない。

 不定期な年にない事がほとんどなオークションにこんなに集まるなんてそれだけ今回のオークション先が大きいと言う事である。

 ただ、そこに人がいるのは分かるが、聞こえてくる声も、姿も霧がかった物である。


「長らくお待たせしました。それではオークションを開催します。」


 オンリー達を案内した担当者とは別の担当者が現れてオークションの進行を担当していた。


「まず初めはコチラです!」


 オークション担当者が出した品は一見何の変哲のない剣だった。


「なぁ、オンリー。あれって……」


「えぇ、呪われています。」


 ただその剣は普通の剣っぽさを出しながら、実力者には明らかに分かる程度に呪われていた。


「言ったでしょう。この金庫の使い道は自分の近くで保管しとくのも、警備が不安な場所にも保管しとくの心配な物を預けておくのが主流な使い道です。大半があの様な曰く付きなものばかりです。」


「そんな物を買うのか?」


「俺は50!」


「なら、100だ!」


 そんなクラムの予想とは裏腹にオークションは熱狂していた。

 この50や100とは金庫内の通貨であり、預けている金庫の金から自動換金で引かれ、ない場合は一定の期間中に振り込見に行かないといけない。それを過ぎれば預けている品から同等な物が差し押さえされるシステムである。


「?………どう言う事だ。なんで他の奴らあんな品を争っているだ?」


「多分、これでしょう。」


 クラムの疑問に答えるためにオンリーは事前に担当者から渡されたオークションリストを見せてその剣の欄を見せていた。


「防呪の剣?」


 防呪の剣

 持ち主への呪いを溜め込む。

 溜め込まれた呪いはこの剣で切った者へ擦りつけられる。

 但し、溜め込む量は持ち主の致死量までである。致死量を超えた呪いは溜め込まれずに持ち主に降りかかる。


「王族、豪商、その他諸々、この金貨を使う人たちはよく呪われるからね。呪いを防ぐ物は一つでも多く護身として欲しいのでしょう。」


「確かに王族が鍛えまくる訳にはいかないよな。」


 クラムなら常人が死ぬ呪いでも普段から垂れ流されている力で防御出来るため、この程度の物は必要しないが、常人の金持ちには呪いを防ぐ護身物は必要なのである。


「今回の出展も貴族だからね。大半は護身用のもの狙いでしょう。」


 貴重な美術品とかは自宅に飾ったりするため、そう言う意味での貴重品はこんな所には預けられていない。

 合ったとしたらそれはとても暗い背景のある物である。


「続いての物はコチラです!大昔に火災に巻き込まれて消失されたと言われた名画!サンチェッタの泣く女です!」


「「「「………………」」」」


 会場に異様な静けさが漂った。

 どう見てもさっきオンリーが言っていた後ろ暗い品である。

 サンチェッタの生涯描いた絵画の数は少ないが、それら全てが国宝級の品として現存されている物は保管されている。


「本物か?」


「十中八九本物ですね。サンチェッタの作品は師匠に見せてもらった事がありますが、描き方や紙などから分かる年代も一致しています。」


 クラムは疑っていたが、オンリーは本物だと確信していた。

 いや、クラム以外のこの会場の者、全員が本物だと確信している。

 それでも手を挙げる事ができなかった。

 これが火災で消失したのは最近である。

 そんな物が此処にあり、その持ち主は一族郎党死んでいる皆が偶然だと思っているが、それでも皆が二の足を踏んでいた。


「ふむ。200です。」


「はぁ?!オンリー!」


 そんな中、オンリーが手を挙げて値段を提示した。

 クラムはまさかオンリーが手を挙げるとは思わず驚いていた。驚くあまりオンリーの名前を呼んでしまったことにしまった!と思ったが、名前は自動的に聞こえなくなっている事を思い出してホッとした。


「いえ、前々からサンチェッタの品は欲しいと思っていたのですよ。」


「そうじゃなくて、これからは何も感じないが、それでも明らかに不吉だろう?」


 クラムでもあの火災の事は知っていた。

 それだけ大々的に報道されていた。

 この世界には説明のつかない偶然が存在している事を知っているクラムはこんな品を持ちたくはないと思っていた。

 そんな中でのオンリーである。

 この者には怖いや不気味と言う言葉はないのかと思った。


「もう居ませんね。それでは53番様が落札で御座います。」


 見事不気味がる他の人達は手を挙げずオンリーが落札した。


「そろそろ模様替えをしようと思っていたから。丁度よかった。」


「絶対、当分はお前の家に行かねぇ。」


 何もない事が確認できるまでオンリーの屋敷には近づかない様にしようと固く思ったクラムであった。

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