金庫オークション
「オンリー様、ラッカア様から贈り物があります。」
「ありがとう。」
「そんな事をしてくるのか?」
クラムは担当者がそんな事をしてくれているのかとサービス良いなと思っていた。
「こちらがラッカア様の贈り物です。」
「はい、確かに頂きました。」
「?何しているんだ?」
クラムはオンリーと担当者が握手した様にしか見えなかった。
担当者は何も持っていないし、オンリーが今、何か持っている様に見えなかった。
「贈り物は情報ですよ。」
「情報?」
「私達が預かる品は物体のある物だけではなく、情報などの非物質も預かるのです。」
さっきのも接触による情報譲渡を行なっていた。
それらを紙などの媒体として管理する事はなく、全て担当者が記憶することによって管理している。
「ここに来てからの会話も記憶されているんだよ。」
「マジで?」
「はい、一言一句再現しましょうか?」
オンリーとクラムの会話から服装や身体の状態までありとあらゆる情報を担当者は即時に保管していた。
これは情報として永久保存されるが、契約者が自由に取り出すことが出来る。
「だから、保管したくない情報は取り出して貰うことで、実質的な消去をする事が出来るんだ。」
「契約の立会いの場合は契約者様達全員の承認が必要になります。」
この機密性から担当者を極秘契約の立会任として使う事もあった。
契約書だけではなく、言葉としてもどんな契約をしたのかを残す目的でもある。
「へぇー、意外と色々あるんだな。」
ただ物の保管のみをしているのだと思っていたので、クラムは驚いていた。
「中には人を保管する人もいるらしい。」
「え?人?」
オンリーの発言にクラムは疑問を思った。
「外にはバレたくない要人だったり、隠し子とかね。バレたらやばい人をこの場に保管する事もあるんだよ。」
まぁ、奴隷でもない限り、その人の同意がないと保管は無理という一方的な保管は不可能ではある。
「?契約者が死んでしまった場合、その人や物はどうなるんだ?」
人も預けれるのはまぁ、良いとして契約者が死んだ場合、どうなるのかを確認したかった。
「契約者様がお亡くなりになった場合は契約者様が事前に指定しています人に権利が移ります。その方もお亡くなりになっている場合は全てオークションにかけられることになります。」
「オークション?」
この街にはオークション会場はない。
だから、その契約者の金庫の前で物品を出しながらオークションを開催するのだ。
「滅多にないらしいけどね。」
「はい。百年に一回あれば良い方です。」
この金庫を使用する人達は各国の大物貴族や王族、ラッカアたちのようないわく付きな物に縁があったりする人が使う。
オークションに出されるのは後者が多い。
「クーデターや革命が起きたりしない限り、貴族たちの物がオークションに出される事はないよ。」
「それはそうか。」
貴族や王族が後継人を立てずに死ぬなんてあり得ないので、自ずと全ての血族が死ぬような事件がない限りそんな事態は起きないのである。
「ですが、この度、とある貴族のオークションが開かれます。」
「え?マジで?」
「凄いですね。クラム君、ラッキーですよ。」
オークションの開催は未定なので、開催期間中にこの場に来れるのかすら分からないのに、偶々、来れるなんてラッキーでしかなかった。
「オンリー様達も参加なさいますか?」
「クラム君が参加するなら私も参加します。」
元々、クラムにこの金庫を紹介する為に来たのであり、オークションは目的ではない為、クラムが参加しないのならオンリーは参加するつもりはなかった。
「参加しよう。珍しいんだろう。」
そんなすぐに自分の金庫を決めたいわけではないクラムはそんなに珍しいのなら見たみたいと思った。
貴族がどんな物を預けていたのか興味もあった。
「それでは会場となる金庫はこちらです。」
担当者の案内でオンリーとクラムはオークション会場に向かった。




