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金庫

「そういえば、報酬には何があるんだ?」


「急にどうしたんですか?」


 クラムとオンリーは聖都の修繕を手伝った帰りにカフェによって一息ついていた。

 ここに来てから男だけなんてことがなかったので少し肩の力を抜いて休むことが出来ていた。

 そんな時にふとクラムはあの報酬カタログには何があるんだろうかと思ったのだ。


「本当は私の依頼を受けてくれた人にしか見せないようにしているんですけど、今回の件ではお世話になりましたので特別ですよ。」


 クラムは今回の誘拐未遂事件で役に立った記憶がなく、首を傾げていたが、あっ!と思いついた。

 あの写真報酬のことか!と思ったのである。


「そうだよ。あれは何なんだ?」


 クラムはガリー達のコレクションを奪い取り見た後でガリー達の目の前で燃やし尽くしたのである。

 その時のガリー達は血涙を流しながら怨嗟の念を送っていた。


「あぁ、あの夜ですか。通りで不出来な呪いがわんさか送られてくると思いました。」


「いや、マジで送っていたのかよ。」


 ガリー達がこんな事になったのはオンリーのせいだと責任転嫁している事は鈍いクラムでも分かっていた。

 まぁ、素人の呪いなんて上手くいかずに送られる前に呪いの怨嗟が霧散して届かないだろうと思っていた。

 それが届くほどの怨嗟となると末代まで呪うほど強烈ではないと無理だと知っていた。


「あの程度の呪いなんて無に等しいので何も問題なくぐっすり寝ました。」


「それで寝れるなんてやっぱり凄いよお前。」


 自分なら呪い自体が問題なくても少しの不安でぐっすりは眠れないと考えた。


「それよりカタログでしたね。今、持っていますから。見せますよ。」


「おう、ありがとう。」


 オンリーが懐から出したカタログをクラムは受け取り中身を確認してみた。

 そこには様々な種類の名称と物によっては写真が貼ってあった。


「マジか、アイツら…これだけ良いもの揃っている中で俺の写真を選んだのか………」


 クラムにはカタログに載っている物の価値の大半は分からなかったが、武器系は聞いたことのある鍛治師の名品などがあり、他のものもそれ並みだと考えたら、こんな名品揃いの貴重な物品の中で俺の写真を選んだのかとガリー達に呆れていた。


「ここに載っているのは全部、持っているんだよな。」


「そうだね。食材などの保存が効きにくいものや鮮度が大事なものを除いたら持っているよ。」


 そう言うものが報酬になった場合は現地まで取りに行くのだ。


「それにしても豪華すぎないか?」


 この武器なんて自分が使いたいと、クラムは思って、オンリーは使いたくないのか?と思った。

 オンリーは常備している剣は毎回違う。

 オンリーの素の異常さに誤魔化されて思いにもしなかったが、オンリーが何を基準にして武器を選んでいるのか気になった。


「なぁ、オンリーって何を基準にして剣を選んでいるんだ?」


「うん?どうしたんですか?」


 カタログを見ていると思っていたら、急にクラムにそんな事を聞かれてオンリーは少し疑問に思った。


「いや、カタログを見てこんなに良いものがあるのに自分で使いたいと思わないのかって思ったんだ。」


「あぁ、そんなこと。使ったよ。」


 オンリーはよく見てとカタログのある部分を指差して見せた。


「あっ!感想が書いてある。」


 名前や性能ばかりに目を向けてしまってクラムはその一番下に書いてある感想部分を見逃していた。


「そこに載っているのは私のコレクションのほんの一部だよ。」


 それを聞いてこれが一部?と疑問に思った。

 いや、オンリーならこれ以上のものを持っていても不思議ではないが、そもそもオンリーの屋敷に生鮮食品以外と考えても貯蔵しているスペースを見たことがなかった。


「クラム君。君、私がそんだけ大量の物品を何処に貯蔵しているのか気になったね。」


 クラムは今考えている事をズバリと当てられてドキッとした。それを見たオンリーはやっぱりと微笑んでいた。


「クラム君はコレクション趣味がないから。教えられなかったんだね。でも、これからは高価な物が要らなくても手に入る機会が増えるだろうから。この旅行が終わったら次はあそこに行こうかな。」


「あそこって何処だよ。」


 オンリーが変に濁すからクラムはモヤっとしたままは嫌なのでちゃんと言えと言う思いを込めて言った。


「……………」


 オンリーはそれを言葉にする事を躊躇しながら盗み聞き防止の結界を常人どころかそれなりの達人では気が付かない程の精度の結界だった。

 友達の内緒話にしては厳重すぎるものだった。


「そこの名はツェルビス金庫。世界一安全な金庫さ。」


 ツェルビス金庫。

 その名にクラムは聞き覚えがなかった。


「知らないのも無理はない。世界一安全で世界一知名度もない場所でもある。都市一つが金庫である特殊な都市だ。そこの住人は何があっても外へ出る事は禁じられている上にその場所を知る人も無闇にその名を口にする事は禁じられている。」


 場所も知らないとオンリーは言った。

 特殊な方法でその場所に行ける完全紹介性の金庫なのだと言う。

 今後のためにクラムにも会員になる事をオンリーは勧めていた。自分は要らなくても他の人は必要なものである可能性は大いにある。そんなのに一々命を狙われてもキリがない為、世界の実力者はその金庫をこぞって使うそうだ。


「どうです。クラム君も会員になりませんか?」

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