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ふふふ、計画通り。

「色々と大変だったんだな。」


「そうですよ。大変だったんですよ……」


 ガリーが疲労困憊な顔で言った。


「いや、ガリーは本当にお疲れ様。それにしてもあんな化け物とどうやって渡り合ったんだ?」


 クラムはオンリーからの依頼で疲れているガリーを本気で労っていた。

 疑問なのが、後から来た2人の悪魔はガリーと明らかに戦ったような言動をしていたので、確実にガリーが2人の化け物と戦った事は確定していた。

 クラムの見立てではあんな化け物相手を複数回行えるほど自分の知っているガリーに力はない事を知っていた。


「もちろん、真正面から戦っていません。挑発などをしながらヒットアンドアウェイで回避に立ち回りながら結界の要を壊しては逃げてを繰り返しました。」


 ガリーが一番今回の依頼で安堵したのは結界の要になっているものが、自分でも壊せるものだった事だ。

 そのお陰で化け物相手に生きて帰って来れることが出来た。


「まぁ、でも、報酬は色付けてくれましたので結果は上々です。」


 オンリーは今回の依頼難易度が自分の想定より上だった事を加味してガリーへの報酬をアップして渡していた。

 その封筒の中を見た瞬間、文句の一つや二つでは足りないと思っていたガリーの怒りは一気に沈んで、またお願いします!と頭を下げ仕事の疲れも吹っ飛ぶくらいだった。

 それだけオンリーが渡したものはガリーにとって宝物確定の品だった。

 その事を思い出したガリーは途端に上機嫌になった。

 それを見たみんなは不気味にガリーを見ていた。


「あぁ………その報酬なんだが………」


「どうかしたんですか?クラムさん?」


 クラムらしからぬ言い方に疑問を思ったガリーはなんでも言ってくださいと胸を張り上機嫌を身体で表していた。


「それを俺に渡してくれないか?」


「ど、ど、ど、どうしてですか?」


 この中身を決してクラムに見せるわけにはいかないと物凄く居取りながらガリーは言った。


「ガリーはなんで隠す必要があるんだ?」


 クラムの仲間の中で新入りであるクランベリーはオンリーからの報酬=あれと言う図式を知っていなかった。

 その事をクラムにバレない様に他の仲間がクランベリーの耳元で小声で教えた。

 それを聞いた途端、クランベリーを顔は真っ赤に染まった。


「な、な、な、な、な、な、な、」


 純情なクランベリーは完全にバグってしまった。


「それは犯罪だ!」


 やっと復活したクランベリーはガリーから封筒の中身の正体を確認しようとして奪いにかかって行った。


「危ないですね。」


 クラムの目の前で封筒の中身を確認されるわけにいかないガリーはまっすぐ奪いにかかったクランベリーをひらりと避けてみせた。


「皆、隠さなくてもオンリーから報酬の内容は聞いた。」


 その言葉をクラムの口から聞いた瞬間、部屋の空気が凍りついた。

 時が止まった様に一切音のしない時間が流れていた。

 そして、皆がクラムの言葉を飲み込んだ瞬間風の様に行動が早かった。


「逃すか!」


 クラムが窓側にいたので、皆が部屋に一つしかない出口である扉に向けて殺到したが、そんな事はクラムでも予想ついていた最短距離で回り込んで扉を塞いだ。


「扉も氷で塞いだ逃げ場ない。さぁ、話を聞こうか。」


 顔は笑顔だが、明らかに怒っている事は確定だった。


「違うんだ!クラム!あれはオンリーが報酬はこれしかないと言うから!確かに誘惑に負けた私たちも問題だが!全てはオンリーの話術のせいなんだ!」


 こうなったら全ての責任をオンリーになすりつけるしかないとワヤが叫び、皆がそれに便乗した。


「オンリーは最初に報酬カタログを渡してから報酬を決めていると言っていたぞ。」


 オンリーは初めての依頼には報酬カタログを渡してその中で欲しいジャンルをその依頼に合った報酬として渡していた。

 例えば、武器というジャンルを選べば槍や剣など報酬にする。

 その事をオンリーから聞いていたクラムはあっれれ〜おかしいな〜?とでも言いそうな表情で告げていた。


「確かにその中からクラム写真を選んだのは私達です!でも、貴方へのおすすめと最初のページに見本品と一緒に載っていたらつい選んでしまったんです!」


 あれは悪意のある掲示の仕方だとあくまでも悪いのはオンリーだとカハナはクラムに悲痛な顔で訴えた。


「ふぅ、そうか。」


 クラムのその言葉を聞いて皆がよし!と心のガッツポーズを上げようとした。

 自分らが無罪放免になる事はないと分かってはいるが、これで少しでも怒りがオンリーに迎えば良いと思っていた。


「じゃあ、最初に俺の写真を報酬として提案したのは誰だ。」


「「「「「「…………………………」」」」」」


 皆が再び沈黙した。

 報酬カタログに最初からクラム写真が載っていたわけではないのだ。

 誰かから提案があったので、それからもカタログに載せる様にしただけだとオンリーから証言されたクラムはそれは誰だと問い詰めたが、それを守秘義務として口を閉ざしたオンリーだったが、クラムの仲間の中にいるとだけ告げて事件の後処理があると言って去ったのだった。


「さぁ、誰だ?」


「「「「「「あの人です!」」」」」」


 全員が全員、別々の人を指を刺して責任逃れを図った。

 その意気のあった行動によって全員が犯人の様になってしまった。


「なるほど、全員か、じゃんけんで決めろ。」


 クラムはもうこの醜い争いを見る気はなかった。

 全員お仕置きすると言って、順番はお前達で決めさせると言ったのだった。

 その晩はクラム達の部屋からは生々しい声が朝になっても続いていた。

 それによって他の客や従業員から誤解を招いたのだが、悲しいことにその事をクラムが知る事はなかった。


 因みに、クラム写真を最初に提案したのはアータであった。

 それをオンリーが後々に面白くなるのではと写真を報酬にした全員に別々の人の提案だと自然な会話の中で言っていたのだ。

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