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だから、驚くっていたのです。

「でも、そんな珍しい情報なかったわ。」


 カハナの特異体質みたいな厄介な情報が広まっていない理由が夢魔には分からなかった。

 隠しているわけではない事は分かる為、より訳が分からなかった。


「当たり前ですね。彼女の体質は最近発現したものです。今のところ仲間以外で見たものは死んでいる様なので知るわけがありません。」


「いや、何でお前が知っているんだよ。お前にも見せていないだろう。」


 クラムは目覚めたばかりのカハナに状況説明をしながら、オンリーがカハナの体質を知っている事にツッコんでいた。


「私は見る目があるんです。彼女が何らかの能力に目覚めていない事は初めて会った時から気がついていました。」


 それがこの旅行でカハナに会った時に覚醒している事を知った。

 その上、彼女にかけていた魔術が解けている事に気がついたオンリーは無害な魔術などで試して考察し、結論づけたのである。


「…………もうお前が何を知っていようと俺は驚かない。」


「それは無理ですね。」


 クラムは相変わらずのオンリーの常人外れの芸当に呆れながらボソッと声に出した。

 それをオンリーは微笑みながら否定した。


「それはどういう……」


 それはどういう事だ。と言おうとしたクラムだったが、パリンっというガラスが割れる様な音に遮られた。


「嘘でしょ?!結界が壊された??!一体誰が?!」


 どうやら、夢魔が作った結界が壊された様だ。

 しかし、結界を壊せそうな人間はこの街には此処にしかいない為、驚くとともにオンリーを睨んだ。


「正解です。」


「どうやって解いたのよ!あれはそう簡単には解けない上に、私の仲間が見張っているのよ!」


 結界の要には夢魔の仲間が警備していた。

 情報にない実力者が結界を壊そうとするのを防ぐ為の予防策だった。

 だから、仲間の中でも武闘派から遠隔で解かれないために人間の魔術にも詳しい者達を連れて来たのに結界を壊された訳がわからなかった。


「こっちも知り合いにお願いしていました。」


「……貴方の知り合いはこの場に全員いるわよ。」


 周囲を見ても不自然にいなくなった者はいなかった。

 間違いなくこの場にオンリーの知り合いは揃っている。


「いえ、よく見てください。居ませんよ。」


「!チッ!まさか!」


「………ガリー?」


 2人がガリーの方を見ている事に釣られてクラムもガリーを見てみた。

 そこでガリーの違和感を感じた。


「貴方、精霊二体持っていたの?!」


「いえいえ、私は持っていません。ただ、お願いしただけですよ。何でも私の精霊と親子の様なので。」


「えっ!」


 オンリーの発言でガリーに化けている精霊の正体をクラムには分かった。

 なぜなら、それは己の精霊なのだから。


「フラレースなのか?」


「やっと気がついたの?本当に平常時は勘の鈍いご主人様ですね。」


 ガリーの姿から霧が風によって無くなる様に元の姿に戻ったフラレースと言われた精霊は自分の主人ならオンリーがほぼ答えなヒントを出さなくても分かって欲しいと思いながら微笑んでいた。


「それは本当に貴方の精霊なの?」


 夢魔はこの精霊の顕現させている力の出どころはクラムではなく、オンリーである事から。

 2人の会話を聞いても信じられなかった。


「確かに俺は出していないぞ。」


「ちょっとした抜け道ですよ。精霊持ちを介してその精霊を顕現させることが出来る事を最近知りましたので、試してみたんです。」


 オンリーは魔道具を使う要領でクラムを魔道具に見立ててフラレースをクラムが寝ている内に召喚していた。

 因みに、旅行にはオンリーとクラムしか男子がいなかったので自然と相部屋に出来たので誰にも気づかれずに召喚するのは簡単だった。


「後は私の中に仮住まいしてもらって式典前にガリーと入れ替わってもらいました。」


「私がこの式典に来るって分かっていたの?」


 オンリーの発言から自分の事は知っていなくても襲撃の情報が何処かから漏れたのかと疑った。


「心配しなくても裏切った愉快犯はいませんよ。貴方が教会を下見した帰りを偶々見ただけですよ。」


 人に化けた悪魔がいる事を知ったが、悪魔だから教会に祈りにきてはいけないなんてものは持っていないので、何もしないならとその場は見逃したのである。

 でも、後日何かするならこの教会のトップである教皇から上位陣がこぞって参加するこの式典を狙うだろうと当たりをつけていたのである。

 その対策として対応力がオンリーを除いて最も高いガリーを伏兵として配置していたのである。


「それでも他人の精霊を使うなんて無茶をするわね。」


「相手が了承をすれば可能です。交渉は私の精霊に任せました。」


 精霊の本体がある世界で直接交渉してフラレースに協力してもらったのである。


「フラレースの能力もそれで知ったのか?」


 フラレースの変身能力は便利なのではあるが、バレたら対策しようはいくらでもあるのが、現状なので仲間であっても極力隠しているクラムの数少ない秘密であった。

 だから、フラレースやアータ達の母親であるオンリーの精霊が今回の作戦に最も役立つと思って教えたのかとクラムは考えたのである。


「何言っているんですか?ガリーを助ける時に言っていたじゃないですか?」


「あっ………」


 敵を倒す為の作戦としてフラレースはアータに化けてもらって相手の意表をついたのである。

 その甲斐あってあの時は相手に勝つことができたのだが、まだ精霊持ちとして未熟だったクラムは精霊の送還、召喚にも力を無駄遣いしていた為、フラレースとアータを入れ替える事をやめて、そのままアータとして続行しようとした。

 戦闘の緊張が抜けてしまい、ポロッと一回だけ名を言ってしまったのである。

 クラム自身も後になって気がついた為、自然と流れる形になって安心していたのだが、オンリーはきっちり覚えていた。

 オンリーはクラムが精霊複数持ちである事を知ったのはこの時であった。


「本当にあの時はひやっとしたわよ。」


 あの時は平然としていたフラレースも内心焦っていたが、化かすことが得意な為、ポーカーフェイスも得意なのである。


「そんな事より、報酬の件は本当なのでしょうね。」


「前金を渡したのにまだ信用していなかったんですか?」


「え?フラレース、金で雇われていたのか?」


 2人の会話からフラレースが金で了承したのだと勘違いしたクラムは意外そうにフラレースを見ていた。


「違うわよ。」


「私が報酬として差し上げたのはクラム君の秘蔵生写真ですよ。」


 オンリーが懐から出した写真にはクラムのあられもない姿がそこにはあった。


「ちょっと待て!何でオンリーがそんなものを持っているんだよ?!!!」


「クラム君には知られたくない人もいるので詳細は言いませんが、需要があるんですよ。」


 クラム君の仲間には効果覿面なので何かお願いする時の報酬として常に数枚持ち歩いているのである。

 ガリーもこの写真によってオンリーの依頼を受けたのである。他にもクラムが知らないだけでクラムの写真目当てにオンリーの依頼を受けるケースはいくらでもあったのである。


「需要ってなんだよ!ふざけんな!速攻燃やせ!」


 クラムの悲痛な叫びを受け入れた様にオンリーは手元の写真を燃やしたが、それはフェイクで本物は他にある事をフラレースはわかっているので、それを黙って見ていた。

 クラムのそう言う純粋なところが好きだが、自分がしっかりしないと改めてフラレースは思った。

 そして、クラムの相棒は私こそ相応しいと考えていた。

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