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三人娘

「リリスちゃん!武闘会優勝おめでとう!!」


「おめでとう、リリス。」


「ありがとう。マーゴ、カナイ。」


 リリス達、一年三人女子は行きつけの喫茶店で今回の一年生武闘会でリリスが優勝した事を祝っていた。


「でも、課題が残る優勝だったわ。」


 リリスは悔しそうに言った。


「私に勝ったのに悔しそうにしないでよね。」


「まぁまぁ、カナイちゃん。リリスちゃんも悪気があるわけじゃないから。」


 折角のお祝いなのに険悪になりそうになった二人をマーゴが宥めようとしていた。

 この三人が集まるとよくある光景である。


「でも、あれは運良く勝てただけよ。今度は確実に勝ってみせるわ。」


「それはこっちのセリフよ。来年は圧勝してみせるわ。」


 バチバチと火花を散らす二人を苦笑しながらマーゴは見ていた。


「それよりクラム先輩惜しかったですよね。」


「あぁ、オンリーさんは強かったな。」


 2年の武闘会は他学年でも一番な話題になっていた。


「オンリー…………」


 クラムとオンリーをそれぞれ賞賛する二人とは対照的に苦虫を噛んでいる様な顔をしているリリスはオンリーの名を憎らしく言った。


「ど、どうしたんですか?リリス?」


 いきなり憎しみの塊になっているリリスを困惑しながらカナイは見ていた。


「そう言えば、カナイちゃんは知らなかったね。リリスちゃんはオンリー先輩の事を凄く嫌っているの。」


 リリスのオンリーへの憎しみを知らないカナイに懇切丁寧に説明した。


「なるほど。そんな事があったのですね。」


 それを聞いたカナイは凄く邪悪な笑みを浮かべた。


「益々、欲しくなりますね。」


 それはまるで獲物を見定める獣様だった。


「えっと、もしかしてカナイちゃんってオンリー先輩の事………」


「好きですよ。」


 カナイの今まで見たことの無い表情にマーゴはまさかと思い聞いてみた。

 カナイから返ってきた答えは予想していた物だった。


「何が良いのよ。あんな奴。」


 いつもに増して不機嫌になったリリスがカナイにオンリーの良さを聞いた。


「何よりあの強さが魅力的です。その中でもあの巨大な肉体とその肉体からは想像がつかない繊細な力の操作。あの様な生き物は他にいません。」


 カナイは自分がオンリーに向けている感情は恋なのか、それとも珍しい生物を己がものにしたいと言う所有欲なのか分かっていなかった。


「それに凄く美味しそうです。」


 舌舐めずりするカナイは歪ではあるが、まるで恋をした少女の様だった。


「悪趣味な。」


 そんなカナイを見てリリスは悪態をついた。


「そう言うリリスはどうなのですか?クラムさんのこと好きなのでは無いのですか?」


「はぁ?!」


 悪趣味と言ったリリスへの意趣返しとしてクラムの話を振った。


「あっ!それ私も気になっていたの。リリスちゃんのクラム先輩を見る顔ってすごく綺麗だから。」


 マーゴはリリスのクラムと会った時に生じる機微な顔の変化を見逃していなかった。


「クラムのことをなんとも思っていないわ。確かに頼りになる事はあるけど私に向かって赤ん坊になる人とは付き合えないわ。」


「それってあのオギャリ事件の事ですか?」


 オギャリ事件とはクラムとリリスの模擬戦で起きた珍事件の事を指す事件の事である。

 カナイはその場には居なかったので詳細は知らなかったが、勘違いである事はあまり広まっていなかった。


「あれは勘違いだった気がするけど?」


「人は危機的状況に陥ると潜在的欲求が出てくるものなのよ。つまりクラムはそう言う性癖の持ち主よ。」


 断言するリリスにカナイはある疑問が生まれた。


「それなら尚のことお似合いでは無いですか。貴方の好みもああ言う幼児的な人ですよね。」


「だーれーがー!あんな赤ちゃんプレイ好きですってー!!」


「貴方の部屋から類似する書物があった気がするのですが。」


「えっ!リリスちゃん!そうなの!」


 カナイに怒り心頭になっていたリリスは怒鳴り散らかしていた。

 何を持ってカナイがリリスの事をそう思ったのかマーゴは不思議だったが、二人の話を傍観して聞いていたらカナイから衝撃的な事を聞いて驚いていた。


「なんで私のものを!貴方が知っているのよ!」


「この前リリスの部屋で遊んだ時に見つけました。」


 どうして自分の宝物の事をカナイに知られていることを顔を赤くしながら問いただしていた。


「そう言えばあの時のカナイちゃん途中から顔を赤くしていたね。」


 マーゴはその時を思い出してカナイの表情の訳を理解した。


「表紙以上の過激な事が描かれていたので……」


「どこまで見たのよ!!」


 行きつけの喫茶店にリリスの嘆きが響き渡っていた。

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