手紙
5月からは四作ローテーション投稿で投稿していきます。
次の投稿は5月4日です。
良かったら他の作品も読んでください。
「何を書いてるにゃ?ご主人?」
「教会に提出する論文です。」
「?」
ニナニナはオンリーがなんでそんなのを熱心に書いているのか不思議で仕方がなかった。
今までは出欠免除用の論文を書いている事はあったが、教会に手紙や仕送り以外で何かを送る事はなかった。
「聖女になるための論文です。私が聖女になる事を反対している人がいるようなので。」
「にゃ?!ご主人がっ!聖女に?!」
オンリーの聖術がトップクラスになっている事は屋敷の皆が知っている事だった。
だから、聖女になれることに疑問はなかった。ニナニナが疑問に思ったのはオンリーが聖女になる為の行動をしていることだった。
再三の教会からの聖女への勧誘・説得の手紙が毎年何通も届いていたのにその全てを断りの手紙で返事していた。
「私が聖女にならなかった理由は分かっているね。」
「そんなの面倒だからに決まっているにゃ。」
「まぁ、それもあるけど一番は縛られるからだよ。」
聖女としての地位を手に入れるとそれに伴い権力と行動制限も手に入れることになる。
オンリーは権力に対する欲求はなかった。
だから、行動制限のデメリットが目立って聖女になる気にはならなかった。
「だけど、師匠が教皇に許可をとってくれてね。聖女として一生分に値する偉業を成したら、聖女の行動制限は解除される事にしてもらった。」
これは何年か聖女として活動したのちに幾つかの条件を満たした者が申請出来るモノなのだが、オンリーには敬虔な信徒として聖女並みの活動を既に行っている上に毎年多額の寄付金も送っているためこの申請が異例として通ったのだ。
「聖女になった場合のデメリットは他にもありますが、そこは問題ないです。それよりも聖女になることによって読める書物の方が重要なのです。」
相変わらずの本好きな事を呆れるニナニナだった。
そこでニナニナはある事を思い出した。
「その事は誰かに話したかにゃ。」
「アンナは知っている筈です。クラム君との勝敗と一緒に手紙に書きました。」
ニナニナはそれで合点がいった。
アンナがフグを祝いの品としてあそこまで力を入れていたのはオンリーが聖女になる前祝いとしての品だったのだ。
ニナニナはやっとオンリーに友達が出来る可能性が生まれた事への祝品だと思っていたが違ったようだ。
「私はニナニナも知っているものだと思っていました。」
オンリーからしたらアンナとニナニナ宛に送った手紙に書いた内容なのだから。ニナニナがその内容を知らない事を不思議に思うのは当然だった。
「そんなの序盤の勝敗の衝撃で全部は見れなかったにゃ。」
ニナニナはクラムが大敗したか、ボロボロになりながら醜く喰らいつく姿かを思い浮かんでいたので、オンリーが最初から本気で倒そうとしていなかった事を踏まえても引き分けに追い込んだクラムに驚いていた。
「そうですか。それならもっと驚く手紙を見せましょう。」
オンリーはそう言うと、鍵のかかった机の引き出しの隠し二重底にある手紙をニナニナに見せた。
「なんにゃ?この手紙?凄く甘い匂いがするにゃ。」
明らかに女からの手紙だと言うことは手紙にから漂う匂いから推測できた。
オンリーは普通にモテる。
高身長、高収入、高戦力。
女にモテる要素を詰め込んだような人間なのだから当然だと言えば当然だった。
だから、ニナニナもこの手紙が求婚か、見合いへの誘いのものだと言うことは分かった。
問題は相手である。
オンリーが驚くと言うほどの人物である。
「誰にゃ?」
手紙と一緒に着いていた写真に写っている顔を情報通で有名どころからマイナーでも優秀者の顔を知っているニナニナも知らない顔が映されていた。
「手紙を読んでみてください。」
オンリーの返答は読めばわかるだった。
ニナニナは恐る恐る手紙の内容を読み進めた。
「……………………………………………っ!」
読み進めたニナニナは誰からの手紙なのかが判明した。
「まさか、聖女王がっ!」
「えぇ、私が欲しいそうですよ。」
微笑むオンリーにいや、笑えないとニナニナは思った。
聖女王と言ったら教皇と並ぶ教会の権力者であるそんな人物がオンリーに求婚するなど只事ではなかった。
「返事は…………」
「断りました。」
即答だった。
束縛が嫌いなオンリーはそんな大物と結婚する気はさらさらなかった。
「可哀想な人にゃ。」
絶対、聖女王は自分が断られるなんて思ってもないだろうとニナニナは簡単に予測できた。




