だから!知らない!
「アリシアを返してくれ。」
「いや、誰だよ?」
私は今、学内の個室カフェに呼ばれて来てみればクラム君に誰か私の知らない人を返してと返却を要求された。
「私は君と人身貸借を行った記憶はないんだけど?」
と言うより、クラム君と話すこと自体片手で足りるくらいしかないんだけど。
「俺もそんな事した事は覚えはない。そうではなく、おまえの持っている奴隷にいるだろう。」
「?」
たしかに、私は奴隷を何人か所持している。孤高の私には一緒に組んでくれる人はいない為、自分に不足している力を持つ者を選んで買ったが、アリシアなんて名前の奴はいない。
「何度も言うが、そんな人知らないし、私の奴隷にもアリシアなんて人はいない。」
「そんな訳ない!」
「あっ!ちょっと!」
いきなり、個室の扉を開いて女性二人が入ってきた。
「なっ!ラナ!アミア!入ってくるなって言っただろう!」
やっぱり盗聴していた。
「あっ、すまん。盗み聞きなんてしまっていて………」
「別に気にしない。されてるのは分かっていた。さっきの話からして、クラム君ではなく他の多分その二人のどちらかがそのアリシアという人を探している。間違いないね。」
私は三人に今まで聞いたことと見ている光景からの推測を話した。
「えぇ、その通りよ。だから、私の妹を返して!」
私の推測に答えのはクラム君ではなく、最初に入ってきた赤髪の女性だった。
「さっきから何度も何度も言っているが、私の奴隷にアリシアなんて名前の人はいない。」
「そんなはずない!」
私の答えを完全否定する勢いで否定してきた。
そもそも……
「なんの根拠に私がアリシアを所持していると考えているのですか?」
この三人は明らかに私が所持している事を疑っていない。多分、何処からかの情報だろう。
「どうやってその結論に至ったか知らないが、それは間違いだ。もう一回調べ直してから来るんですね。まぁ、改めて調べたらもう私のところに来ても無駄だという事がわかると思いますよ。」
何度も同じ事を言わされて少し不機嫌な私は語気を強めて言った。
「すまない。オンリーこれは確かな情報元からの情報だ。100%おまえが所持している奴隷にアリシアはいる。」
これだけ行っても言ってくるので実物を見せる事にした。
「はぁ、わかった。なら改めて会おう。その時に私の奴隷を全員連れてくる。隠していることも疑われたら困るので、契約書も一緒に持ってくる。これでいいね。」
「……あぁ、それで良い。すまない、手間を掛ける。」
これだけ強気で否定する私に自分達の情報が本当に間違いではないかとクラム君は疑い出している。
そして、後日奴隷達を連れてくると………………
「アリシア!会いたかった!」
アリシアがこの中にいるようだ。