オンリー対クラム クライマックス前
「わーい、今度は何?!」
オンリーの手から溢れる魔力を見てテンションを上げるラシアはオンリーに尋ねた。
「ビールだ。」
「っ?!母ちゃん!待って!!」
ラシアが飲もうとしている物を見てファイが止めようとしたが、それに気づいたラシアが取られまいと急いで飲んだ。
「アータ………」
「何よ。」
「アイツは人間か?」
オンリーを見たファイはオンリーが人の皮を被った別の何かに見えていた。
「人間よ。今はね………」
「おい、アータ。それだとオンリーがそのうち人間じゃなくなるみたいな事を………」
「なるんでしょう。」
アータの意見にクラムが反論しようとしたが、アータが遮った。
「アンタ達はなるでしょう。化け物に……なるんでしょう…」
「あ?どういう事だよ?俺がいない間に何があったんだ?」
「アンタには関係ない………そして、私も………これはクラムが一人で考えて決めないといけない。」
アータの話が分からないファイは怒りを凝らしながら言った。その返しは辛辣な物だった。
「あぁ?!どういう………」
更に追求しようとしたファイだったが、ラシアから感じる空気が変わった事によって言葉を閉ざした。
「カァァァァァァァォァ!!!身体に染みるねぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
「……………………………………………あれ……本当に…母ちゃん?」
「残念な事に………」
あまりにも変わり果てたラシアの姿にファイは本当に自分の母親なのか疑問に思い否定したかったが、アータは正真正銘自分たちの母親だと悲しそうに言った。
「あは!!!!はははは!!!!!ははは!!!!!!!!ねぇ!オンリーちゃん!なんか娘が二人に見えるんだけど!この魔力強すぎじゃない?!!」
「幻じゃないよ。ほら。」
また、笑い出したラシアがいつの間にか娘が二人になっている事に魔力の影響で幻が見えていると思ったようだが、オンリーによって視界を共有された事によって幻覚ではないことを知った。
「あら?ほんとうね。ファイちゃんもいるわ?なんでかしら?まぁ良いわ?!さっさと倒しましょう。」
「「「っ!!!」」」
さっきまでクラム達がいた場所に光の柱が深々と刺さった。
「なんだ?!この威力???!!!結界も壊れたぞ!!」
「さすが……母ちゃんと言いたいが、明らかにおかしいだろう!!」
「えぇ、人間界でこれだけの威力のある技を単体で起こすことは不可能。オンリーがさっき与えた魔力の影響ね。」
光の柱があった場所は大きな穴が出現していた。
その穴には壊れた結界の破片が落ちていっていた。
「あははは!!あれを避けるなんてすご〜い!!今度は邪魔がないから!次は!当たるわよ!!!」
「はぁ?!あの技を連続で打てるのかよ?!!」
「ファイ!防御!」
「分かっている!!!」
クラム達が間一髪でラシアの光の柱を避けられたのは観覧者を守るための結界によって時間を稼げたからである。それがない今、クラム達は避ける事を即諦めて防御に全神経、全力を注ぐ事にした。
「はぁ………やり過ぎだ……」
「いてっ!!」
そんなラシアにオンリーが挙骨を落とした。
「な〜にするのよ〜」
主人のために敵を滅しようと思ったのにその主人から怒られた事に抗議した。
「何をするじゃない。火力上げ過ぎた。私たちはクラムくんを殺す気はないんだよ。酔ってその事も忘れたのか?」
「忘れてないけど〜折角のお魔力なのに〜邪魔いるとね〜」
ラシアは純粋に魔力をオンリーと二人で楽しみたいという思いでいっぱいだっただけである。
「なぁ………あの厳格な母ちゃんが発情した猫のようになってるだけど………」
「私に聞かないでよ。私の困惑しているのよ。」
ラシアの攻撃に身構えていたクラム達は肩抜かしを食らったのだが、精霊二人はそれより自分の母親の変貌に驚き困惑していた。
「待ってしてろ。魔力を楽しむのはクラムくんを倒して優勝した祝杯にとっておいてね。」
「…………………それもそうね!!今回は私も参加して勝つんだから。美味しさも前回より上よね!!」
オンリーの提案により上機嫌になったラシアはテンションを上げていた。
「さぁ、クラム君。結界も直った事だし、クライマックスだ。全力でかかって来い。」
「あぁ、お前を倒して俺は更に上に行く!!」
クラムは強気な発言したが、内心はさっきの攻撃が来ない事に安心している自分に叱責していた。
そして、まだ、オンリーの全力を出させることが出来ない自分を情けなく思った。
「アータ!来い!」
「「………………はぁ?!!」」
今、纏っているファイもクラムの近くに待機していたアータも衝撃を受けていた。
クラムは霊衣を2枚重ね着しようとしているのである。
「クラム!待て!今なら間に合う!!」
「そうよ!!そんな事したら!!」
「大丈夫だ!!!」
「「どこにそんな自信があるんだ!!!!!」」
やっと2体を出すことができるようになったクラムに霊衣を2枚重ね着するなんて前代未聞な事をするなんて賭けにもならない事を2体は分かっていた。
それはクラムも分かっていたが、これを成功させない限り俺たちの勝利はない事も分かっていた。
「覚悟を決めろ!!!」
「やっぱり、面白いね。クラム君………ラシア。」
「はい。我が主。」
そんなクラムも見てオンリーも勝つ為の最善策を進めていた。




