オンリー対クラム 火酒
「キャハハハハハハハ!!!!」
「くっ!」
ラシアの光のように速い攻撃の連続にクラム達は苦戦していた。
「どうしました?クラム君?わたしはまだ試合開始から動いていないよ。」
「くそっ!」
酔っ払っているのに正確無慈悲な射撃にクラム達は近づくどころか一つ一つの威力も高くて逸らすにも力がいた。
クラムが一歩でも進もうとすると正確に一歩目を潰しに来ていた。
「このっ!」
クラムは全範囲の風のバリアで光の弾幕を突破しようとした。
「無駄無駄!そんな私の攻撃を防げるわけないでしょう!!」
未だハイテンションなラシアはクラム達の作戦を笑いながら風のバリアを一時的に増やした光の弾幕で強引に破壊した。
「かかったな!俺は少しでも近づけたら良いんだよ!」
光の弾幕がクラム達を襲おうとした瞬間、ラシアの視界は氷で埋め作られた。クラム達は光ごとラシアとオンリーを凍らしたのだ。
魔法によって作られた光ならクラム達の氷で凍らせる事ができるのだ。
「ちっ!」
「大丈夫?!クラム!」
相手を凍らせる事が出来たが、クラムも無傷とはいかなかった。肩をもろに撃ち抜かれていた。
「だが、これで時間が稼げる。」
最初からこれでオンリーを倒されるなんて思ってはいなかった。
倒すための準備をする時間稼ぎが必要なのである。
「流石、お母様の攻撃…………なかなか治らない。」
クラムが集中する中アータはクラムの傷を治そうとするが、回復を阻害する効果もあの光には付与されていたのか、全然クラムの傷が回復しなかった。
「強くなりましたね。」
「早すぎる!」
クラムによって凍らされたオンリーが既に解凍されてきていた。
「嘘だろう!どうやったらそんなに早く!」
「まさかっ!」
明らかに火力と魔力消費が釣り合っていなかった。
アータは心当たりがあったのか視界を上空に向けた。
「何か分かったのか?アータ。」
「えぇ、オンリーはお母様の光に日光も合わせて火力を上げているのよ。」
日光を操作して魔力を節約しながらクラムの氷を完全に溶かしたのである。
「まさかあの一瞬で私を含めて凍らせるとは思いませんでした。」
オンリーは素直にクラムの成長を賞賛していた。
オンリーも常にクラムの射程に入らないように意識していたが、明らかに準決勝より冷却速度が上がっている事に気づかなかった。
「あっれ?わたし?何してたんだっけ?」
「酔いが覚めましたか?」
ラシアの酔いが氷の冷たさによって覚め出していた。
「今だっ!氷よ!舞え!」
酔っ払い中の事を覚えていないのか?ラシアが混乱しているうちにクラムはオンリー達を攻撃した。
溶けた氷が粉雪のように舞い上がってオンリー達に襲いかかった。
「あーきれい!魔力美味しい!!」
「これは………」
そんな粉雪を見てラシアが喜んでいた。
粉雪を見ながら雪見酒をしていた。そんな中、オンリーは冷静にクラムの技の効果を察した。
「体温低下ですか?低酸素より即効性はありませんね。」
この粉雪は目眩しによる時間稼ぎではなく、オンリーの体温低下による運動能力の低下を狙った攻撃である。
「ラシア、火酒だ。」
「うぐっ!ゴクゴク!ぷはっ!!」
オンリーは魔力を飲んでいるラシアに追加の魔力を無理矢理飲ました。
「なっ!」
飲んだ瞬間オンリー達を包む粉雪が一気に溶けたのだ。
ラシアの身体が灼熱レベルに体温が上がっていた。
「あははは!オンリーくんの魔力!美味しい!最高!!!」
今までのが可愛く見えるハイテンションになったラシアは光線を無差別にばら撒き出した。
「はっ!何考えてるだよ!」
「多分、何も考えていない。今のお母様は完全に魔力に溺れている。」
アータはラシアの暴走よりそれを起こしたさっきの魔力の方に驚いていた。
あれは魔力濃度を極限まで上げた魔力だった。言うなればアルコール濃度を上げた蒸留酒を作り出したのだ。
「がっ!」
「えっ!背後から!」
目の前にいるラシアの光線が背後から襲いかかってきたのである。
「ぐっ!反射してるのか?!」
クラムは止血する為、傷口を凍らせた。
そして、ラシアから放たれた光線を目で追ったら観客を守るための結界に反射されて縦横無尽に光線が飛び交っていた。
「まずい!」
一切狙いのない攻撃は予測不可能だった。
時間が経てば経つほど光線の数は増え続けていた。
「結界で反射するなら!これでも!」
クラムが周囲に氷を展開すると光線は反射してクラムに当たらなかった。
「これなら!」
これで回避できると思った最中。
「なにっ!」
「危ない!!」
クラムの氷が一瞬にして溶かされてクラムに光線がクラムに襲いかかりそうになった瞬間、アータの風によってなんとか逸らす事が出来た。
「私が攻撃しないとでも思いましたか?」
「オンリー!!」
今まで攻撃をラシアに任せていたオンリーがこのタイミングで仕掛けてきたのである。
「くそっ!」
オンリーとラシアの光線に見た目の違いはなく、氷での防御を諦めて避けるのに力を入れるしかなかった。
「アータ!あれをやるぞ!」
「えっ!いま!ここで!」
このままではジリ貧のクラム達は一か八かの賭けに出た。




