表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/95

修行とは爆発だ

「これが………」


「神の炎……………」


 ワヤ達は儀式に則って髪を切り燃やした。

 するとさっきまで普通だった炎はワヤの髪が完全に燃え尽きた瞬間に変わった。


「なんて言うか?」


「不自然な色合いです。」


 生まれた炎の色は着色料をガンガンに入れたお菓子のような自然には無さそうな色をしていた。


「ですが、どこか神々しいですね。」


「だな。不思議すぎて頭がバグりそうだけど。」


 その炎から感じる肌感覚が言っていたこれは神の炎だと。

 少なくとも人間が、生物が作り出せるものではない事が感じれた。

 神工(じんこう)の炎。その圧倒的な迫力に冷や汗をかいていた。


「じゃあ入るわね。」


 ワヤはそう言って炎の中に入って行った。

 すると、神工の炎は蔦が建物にまとわりつくようにワヤの体に巻き付いた。


「くっ!」


「大丈夫か!?ワヤ!!」


 ヨーサは明らかに苦しんでいるワヤの表情に心配になった。

 ワヤは自分の炎で神工の炎を防御していたが、そこからでも感じる熱さに苦しんでいた。


「はぁ……はぁ…………」


「疲れているな。」


「えぇ、まだ一分も経っていませんのに、明らかに疲れています。」


 ワヤが神工の炎に入って一分も経っていないのに、ワヤは玉の汗をかいていた。

 魔力、体力共に決して少ないどころか歳からしたら多い方のワヤが既に疲れる。

 この現状が神の炎のヤバさを表していた。


「ワヤ!!!一旦、辞めた方が良くないか?!」


 こんな状態では1日どころか一時間ももつとは二人には思えなかった。

 なので、二人は助けようとしていた。


「いら……ない…………わ………………これ、くらい…だ、いじょ、ぶよ。」


 返事するのも辛そうなワヤを今にも助けたい二人であったが、その気持ちをグッと堪えて見守る事にした。


「そう…よ。これ、くらい、、だいじょ、ぶ。」


 ワヤは大量の汗と熱さに熱中症になっていた。

 そのせいで、思考が鈍ってきていた。


「おい、ガリー。」


「なんですか?」


「ワヤが倒れたら、すぐに助ける。いつでも行けるように準備をしておいてくれ。」


 ワヤの状況から見てもいつ限界が来てもおかしくなかった。

 身体能力が高く気を使えるヨーサが直接ワヤを助けて、その間本調子ではないとは言っても様々な魔法を使えるガリーが炎の対処をする事にしていた。


「ま、ぜ、る。ま、ぜ、る?」


 真っ白になっている思考の中、兄がこの儀式をしているときに父親から聞いた時の事を思い出していた。

 良いかい、ワヤ。この儀式で重要なのは神の炎を異物と捉えない事。そして、自分の炎の起爆剤にする事が重要だ。よく覚えておくんだ。

 父親はこの後、兄を助ける為に会話を打ち切ってしまい詳しい事はその後も聞く事は出来ずに記憶の奥底に仕舞われていたが、走馬灯のようにその記憶が呼び起こされていた。


「まぜ、る。まぜる。」


「おい、炎の様子がおかしくないか?」


 最初に気づいたのはヨーサだった。ワヤの限界をいち早く気づく為に身構えていたヨーサだからこそ少しでも助ける為に魔力回復に集中していたガリーより気づく事が出来た。


「確かに色が変わってきていますか?それに対流してきています。」


 ヨーサの言葉にガリーも炎をよく見るとさっきまで赤の着色料色だったのに、今では少しピンクに近い色になってきていた。

 それにワヤに巻きついているだけだった炎の内部が少しずつ全体的に対流しているのが見えていた。


「それに少しずつワヤの魔力が回復してきていないか?」


 底が見えてきていたワヤの魔力が時間が経つごとに少しずつ増えてきているのを感じれていた。


「そう、あの後、たし、か。」


 ワヤの思考はその後の妹の儀式を思い出していた。

 妹は一発で成功していたが、明らかに体がボロボロで今回見届け人にならなかったワヤには分からなかったが、成功した兄との共通点があった。

 それは………


「ばく、はつ。」


「おい、ガリー。明らかにワヤが不穏な事を言った気がするんだが?」


「聞き間違えではありません。確かに爆発と言いました。」


 今のワヤから嫌な予感をしたヨーサは自分が聞き間違いをしていると思い、ガリーに確かめた。

 だが、ヨーサは間違っていない事がガリーの口から告げられた。


「きん、いつにまぜる。」


 より早く炎が対流し始めて二人はいよいよ嫌な予感が確信に変わっていた。


「やばっ!」


「えっ!」


「よりはやく、いっきに、まぜる!」


 その瞬間、炎が渦になったかと思うと一瞬にして大爆発した。


「ワヤ!!」


「ヨーサさん?!」


 目の端にワヤが吹っ飛んでいった姿を見たヨーサは反射的に駆け出していた。


「あつっ!?」


 なんとかワヤを受け止める事ができたヨーサだったが、ワヤの身体は炎のように熱くなっていたが、反射的に離しそうになったヨーサの手を気合いで掴んでいた。


「やばっ……」


 助けることしか考えなかったヨーサは着地を考えてなかった。爆発によって上空に打ち上げられたワヤを捕まえたヨーサに今も連鎖爆発している炎の渦が襲いかかっていた。


天気は雨(ザ・レイン)!」


 追い討ちの炎がヨーサ達に襲い掛かろうとした瞬間、凄まじい豪雨がヨーサ達を襲った。


「大丈夫ですか?!」


 背中から地面に墜落しかけたヨーサだったが、ガリーが用意していた空気の布団により怪我をする事はなかった。


「なんとかな……」


 手が大火傷になっていたが、他に目立った負傷はヨーサにはなかった。


「ワヤさんは?」


「大丈夫だ。今は疲れて寝ている。」


 爆発の衝撃で緊張の糸が切れてしまったワヤは気絶していた。


「これは?成功でしょうか?」


「さぁな。そんなのワヤを起こせばわかることだ。」


 開始から三十分

 ワヤの修行は一時休憩に入った。

 この後、起きたワヤにまだやると言って修行が継続する事になって、ヨーサ達の爆発救助が上手くなるのだがそれはまた別の話である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ