オンリーvsガリー 前編
「さぁ!観客の皆さん長らくお待たせしました!ついに本戦一回戦が始まります!」
あれから2日経ち武闘会は予選が終わり、本戦に突入した。
「まず本戦最初のカードは!病弱だった身体から奇跡の復活を果たして!武闘会を快進撃を見せるこの学園のダークホース!ガリー!!」
最初に闘技場に入場してきたのは前にクラムとオンリーに助けられた健康体のガリーだった。
「続いて!登場するのは!優勝最有力候補であり、未だこの武闘会でただ一人!傷を負っていない男!オンリー!!」
ガリーに続いて入場してきたオンリーはガリーの前で立ち止まった。
「久しぶりで会っていますか?」
オンリーはガリーをぶん殴ってから一度もガリーに会っていない為、精霊とは会っているがガリー本人にはこの場が初めてだから。どう挨拶して良いか分からなかった。
「久しぶりで会っていますよ。カーラを通して貴方とクラムを見ていましたから。」
どうやらあの戦いでガリーは表面に出れていなかっただけで深層意識には起きていたようだ。
「そうですか?あの精霊の名前、カーラって言うですね。」
「あぁ、そう言えばカーラはあの時名乗っていませんでしたね。」
場に流れる空気に反して和やかそうに会話が進んでいた。
「そんな事は!どうでも良い!オンリー!貴様の命は今日で終わりだ!!」
いつの間にかカーラが勝手に召喚されてオンリーに宣戦布告した。
「これは…………驚きました。ノータイムで精霊を召喚出来るんですか?」
「その通りです。不幸中の幸いです。あの研究の副産物の様です。私は通常不可能と言われている交信なしのノータイムで精霊召喚を行う事が可能になりました。」
ガリーはそれが嬉しいのか?笑顔で言った。
「そうですか。それは、それは良かったですね。まぁ、関係ない事です。」
「ガリー、もう話はいいだろう。もうやるぞ!我は!我らは!もう怒りが溢れきっているのだ!」
オンリー達がこれ以上会話が長引くのが嫌だったカーラは会話を断ち切った。
「カーラ、我慢も大事だよ。」
「私は良いですよ。元から貴方に聞こうと思った事はなかったので………」
「そうですか………なら、最後にこれだけで言いますね。」
ガリーは本当に言いたかった事をまだ言っていなかったのでさっさと言うことにした。
「私を助けてくれてありがとうございます。」
それは感謝だった。カーラが身体を好き勝手に操る中ガリーは見ていたオンリーが自分を救ってくれた事を。
「?あれは依頼でした事です。それに貴方を救おうとしたのはクラム君です。」
「それは知っています。もう感謝は言いました。貴方にはまだ言えていなかった。」
ガリーにはそれがどうしても嫌だった。相手が感謝など欲していないことなど分かっていたがどうでも良いことである。感謝など所詮一方通行なのだから。
「さぁ、会話は終わりです。早く始めましょう。」
「そうですね。それでは終わらせましょう。」
ガリーがそう言うと、オンリーの地面が盛り上がり木が生えオンリーに巻きついた。
「おや、これは………」
「我らの攻撃は既にしていたのだ!油断したな!!」
カーラが高らかに上機嫌に言った。
「すみません。私達は時間稼ぎしていました。」
「いえ、謝る必要はありません。闘技場に二人が揃えば試合開始。それがこの武闘会のルールですから。」
ガリーが申し訳なくしている事を気にする必要性がない事をオンリーは懇切丁寧に説明した。
「それにしても面白い技ですね。呪術ですか。」
「流石ですね。一度喰らっただけで分かるんですね。」
呪術とは怒りや憎悪などの負の感情を乗せることにより魔法などの技が変化したものを言います。
「木にしては刺々しいですね。木魔法からの呪術ですね。」
「その通りです。木魔法 ツリートラップです。」
通常のツリートラップは相手の地面から木を発生させて相手を拘束するだけなのに対してこれは絡みつく木に棘が返しになっている為、より拘束力を上げている。
「その上、毒ですね。」
「我らの恨みを乗せた呪術より生まれた毒じゃ!いくら貴様でも流され続ければ戦闘不能だ!!」
カーラの人への恨みは完璧にオンリーへの恨みへ変換されていた。
「我らが受け続けた痛みを少しでも思い知れ!!!」
カーラの恨みが爆発したのか。オンリーへの締めはより強くなっていた。
「降参してください。オンリーさん。貴方の負けです。」
「…………ふふ。」
「何が可笑しいんですか?」
圧倒的なピンチのはずなのにオンリーの顔には何の悲壮感も敗北も見えなかった。
「いえ、すみません。この大会で私を傷つけるのはクラム君だけだと思っていたので。」
「貴方はここで私に負けます。貴方を傷つけたのは私だけになりましたね。」
何か分からない感覚がガリーに芽生えてきていた。
「いやー嬉しいですね。ヨーサもそうですが、クラム君だけでなく周りも育ってきている。本当に……………前哨戦にちょうど良いです。」
「っ!」
「ガリー!集中しろ!オンリーへの拘束が解かれ始めている!」
オンリーに巻きつかれている木にヒビが入ってきていた。
「そ、そんな……」
ガリーはオンリー対策として何回も対策していただが、これはそのどれとも当てはまらない現象だった。
「呪木が枯れた……………」
「この木の名前は呪木と言うのですが、良い名前ですね。」
枯れて粉々になった木を見ながらオンリーが笑顔で言った。
「それでは今度はこっちが見せてあげましょう。私の魔法を………」
圧倒的な魔力のオンリーから溢れ出していた。
それはまるで決壊したダムのようだった。




