オンリーvsヨーサ
「ただいまよりEブロック二回戦を始めます!」
司会のアナウンスが闘技場に響き渡った。
「さぁ、このブロックの目玉!優勝最有力候補!オンリー!!」
司会の掛け声と共にオンリーが闘技場に入ってきた。
「対戦相手は一回戦を瞬殺で終わらせたクラムハーレムの一人ヨーサ!!」
男司会の怨さが聞こえそうな掛け声でヨーサが登場した。
観客席から、ハーレムなんて作って覚えはねぇ!という抗議の声が聞こえた気がするが、誰も気に留めなかった。
「よぉ、オンリー。久しぶりだな。」
「そうですね。こうして話すのは久しぶりでしょうか。元気でしたか?」
ヨーサは殺気混じりに話し出すのに対してオンリーは和やかに話していた。
「あぁ、元気だぜ。お前は言わなくて良いぜ。これからアタシに倒されて元気を失くすんだからな」
「おや、それは頼もしいですね。去年みたいにつまらない勝負にならなそうで良かったです。」
和かに本当に安心したような安堵の表情をするオンリーにブチギレそうになっているヨーサであった。
「アタシはこの一年アンタに勝つ為に技を磨いてきたんだ。今日こそ勝ってみせる。」
ヨーサがオンリーに宣戦布告していると……
「それでは時間になりましたので、試合開始の鐘を鳴らします。」
定刻が来たので、鐘が鳴った。
「あぁ?どう言うつもりだ?」
「どうとはなんですか?かかってこないのですか?」
ヨーサは速攻でオンリーが聖女護身術 聖縛をやってくると予想していた。
その為、捕まらないように勘で避けながら動き続ける作戦でいた。
「なんで、聖女護身術を使ってこないんだ。」
「ごめんなさい。」
「は?」
聖女護身術を使わない理由を聞いたら、いきなりオンリーに謝られてヨーサは意味がわからなかった。
「もう、格下に使う気はないんだ。」
「っ!そうかよ……なら、何がなんでも使わせてやる!」
ヨーサはオンリーから告げられた理由に衝撃を受けると同時に納得してしまった。
そして、必ずこの試合でオンリーに自分が同格と認めさせてやると決心した。
「おら!」
動かないオンリーにヨーサは殴り掛かった。
「去年と変わらずの徒手空拳ですか?」
「馬鹿が!言っただろう!去年のアタシとは違うんだよ!」
確かに速度も威力も技の練度も増していたが、他の変化が見られなかったので取り敢えず受けてみることにした。
「ほう、これは……気ですか?」
「ちっ!知っていたか、相変わらずの博識だな!」
気とは魔力、聖力とも違う力であり、これは他の力と違い誰もが細胞から出しているものであり、ヨーサはそれを増幅と操作で徒手空拳の威力を底上げしていた。
「珍しいですね。それは東洋の技術ですから。この国ではマイナーな技術のはずですが?」
「ある依頼で一緒になった人が教えてくれたんだよ!つーか、さっきからなんで当たらないんだ!」
ヨーサはオンリーがわざとあった一回しか当てることが出来ていなかった。
「それは簡単な話です。気の流れが不自然なのでどこから攻撃するのかが分かりやすいからです。」
「なっ!」
オンリーの発言は知識として気を知っている人の発言ではなかった。
「そして、私の方が上の使い手だからです。」
「ぐはぁ!」
オンリーが攻撃してくると分かったヨーサはアタックポイントに気を集中して防御力を上げたのにオンリーの拳はその防御を遥かに上回る威力を秘めていた。
「分かりますか、その程度の気では避けてくださいと言っていると同然なのですよ。」
「くっ!ま、まだだ!」
ヨーサはなんとか立ち上がることが出来ていた。
「………確かに去年の貴方とは違うようですね。去年の貴方ならさっきの一撃で終わっていました。」
「あ、あたり…まえだ。アタシはこの日の為にクラムと、みんなと、努力してきたんだ。まだ、全てを出して切ってないのに倒れるわけに行かないんだよ!」
ヨーサは自身に気合いを入れると、魔法を使い出した。
「雷系の魔法ですか?それで今度は遠距離からですか?」
そんな事しても自分にダメージを与える事が不可能と分かっているオンリーは静観していた。
「はっ!そんな器用な事アタシが出来るかよ!アタシに出来るのは殴る蹴るだけだ!」
そう言ったヨーサは自身に雷を纏いオンリーに殴り掛かった。
「なるほど、魔衣ですか。」
「へぇ、これってそう言うのか。」
魔衣
昔の人が霊装を見て魔法で再現した技である。
ヨーサはそれを自身でクラムの霊装から見つけたのである。
「分からずに使える魔法ではありませんよ。凡人では思いついたとしても扱えず死ぬか後遺症が一生付きまといますよ。」
ヨーサもまた天才であった。
「ですが、我流。荒いですね。それでは無駄に消耗して長続きしませんよ。」
「分かっているよ!そんな事!」
ヨーサも自分の魔法の特徴を理解していた。
「くそ!相変わらず当たらねぇ!余裕で避けやがって!」
魔衣によって攻撃範囲も速度も上がっているのにオンリーには届いていなかった。
「そんな事ありませんよ。我流だからこそあなたに纏っている雷の動きが読みずらいです。」
「なら!当たれよ!」
そんな事を言うオンリーであったが、ヨーサの攻撃が当たる事はなかった。
「避けづらくなっただけで問題はありません。まぁ、でも強くはなりましたよ。格下であることには変わりませんが。」
「く、くそ………」
ヨーサには明らかに疲れが見えてきていた。
「こうなったら!」
ヨーサはこのままではオンリーに一撃も与えることもなくこちらが疲労で倒れる事が分かりきっていたので、賭けに出ることにした。
「食いやがれ!これがアタシの全身全霊!雷光気拳!」
ヨーサの体が輝くと、一瞬にしてオンリーを殴っていた。
「なるほど、気と魔法の融合ですか、それに伴う身体への負荷を無視した攻撃。流石の私も攻撃を受けしまいました。」
「それなら……少しはその場所から動きやがれ………」
オンリーはこの試合一歩もその場から動いていなかった。
その事を分かっていたヨーサは吹き飛ばすように殴ったのにも関わらず、オンリーが動く事はなかった。
そして、ヨーサは気絶した。
「勝者!オンリー!」
審判の判定が告げられた。
「貴方は本当に強くなりました。」
オンリーは本当にヨーサの成長に感心していた。
そして、クラムの成長に期待した。自分の恐怖を完全に無くすにはそれしかなかった。




