ゲテモノ2
「アリシアいる〜!!」
「またですか……」
「あら?元気がないですね?」
お姉ちゃんですよ〜とまるで幼児をあやす様に言うアミアは明らかに元気のないアンナに問いかけた。
「なんですか?その話し方は馬鹿にしてるんですか?私には貴方のご主人様と違っておぎゃる趣味はありません。」
「クラムにもそんな趣味ないですよ?あれは誤解らしいですね。」
この前、幼児グッズを持ってクラムの帰りを待っていたら誤解だと熱弁された事をアミアは思い出していた。
「恥ずかしがっているだけでしょう。もっとしてあげたら本性を出しますよ。」
「そうなのですか?」
「えぇ、私は嘘はつかない主義なので。」
オンリーに気に入られるクラムの事を前々から嫌っていたアンナはここぞとばかりアミアに嘘を教えて困らせようとしていた。
「うちに正直者はいないにゃ。」
ニナニナは小声でアンナの言ったことを否定した。
ニナニナもクラムのことは嫌っていた為、アミアに真実を教えるつもりはなかった。
「あら?ニナニナも元気ないわね。どうしたのよ?」
「お前のせいにゃ。」
「私?何かしました?」
自分達が元気がないのはアミアのせいと言うニナニナとそれに同調するアンナであったが、アミアには心当たりはなかった。
「この前のゲテモノ旅行にゃ。」
「あぁ、あれは楽しかったですね。」
「何も楽しくなかったです。」
あのレッドリークラブエッグの話の後、アミアの強引な誘いに無理矢理乗せられた二人はゲテモノを取りに2泊3日の旅に行く事になっていたのである。
アンナとアミアでその時の思い出した時の表情が全くの逆で本当に一緒に同じ場所へ行ったのか疑問に思いそうになるぐらいである。
「楽しい楽しくないはどうでも良いにゃ。問題なのはその後にゃ。」
「その後?何かありましたか?」
旅行が終わった後は滞りなく解散になった筈なのでそれこそ何もなかったのではないのかとアミアは疑問に思っていた。
「お土産です。」
その疑問に答えたのはアンナであった。
「お土産?それがどうしたのよ?」
アミアも同じお土産をクラム達に持って帰ったが、何も問題はなかった。
「あれから、ご主人様が…………」
「オンリーがどうしたのよ?」
「珍味を食べ始めたにゃ。」
「?」
珍味好きではなく、食べ始めた?アミアにはよく分からなかった。
「ご主人様が本が好きなのは知っていますね。」
「あぁ、聞いたことはあります。」
さも、一般常識ように確認を一応取るアンナに苦笑するアミアであった。
「本収集の過程で珍しい物を手に入れることは前々からあったのですが、今回の珍味を食べたことで自分が珍しい物に興味を著しく持つ事に気づきまして、色々と珍味や珍品までも集めるようになったのです。」
「それが?」
いや、本から珍品まで幅広くなっただけではと思ったアミアはそれでなんで元気がないのか意味不明であった。
「集めるだけなら良いのですが、余った珍味な食材を勿体無いからと、私たちに食べるように言うのです。」
「あれは無理にゃ。苦痛にゃ。喜ぶのはシィくらいにゃ。」
何故か珍味の多くは魔素を通常の食材より多く含む為、シィは喜んで食べていた。
「いやなら、シィに全てあげたら良いではないですか?」
「…………日頃から子供達には好き嫌いしないように言っている為、そんなことは出来ません。」
つまり、示しがつかないと言う事だ。
「だから、アミアが悪いにゃ!」
「横暴な!」
その事の責任を全てアミアに押し付けられる事にアミアは憤慨していた。
「なので、もう2度と貴方と関わりたくないのですが、今度は何ですか?」
「私ね。レッドリークラブエッグを食べてから頭の中に靄がかかったような疑問を浮かんでいたの。」
「そういえば実食している時、何か悩んでいるようだったにゃ。」
ニナニナはアミアがレッドリークラブエッグを食べている時に悩んでいるのを思い出していた。
「まるで、これじゃない見たいにゃ表情だったにゃ。」
思い出したアミアの顔をそのまま言葉にしたニナニナはこの後、後悔した。
「そう!それよ!私ね。ずっと考えていたのだけど全然思い浮かばなかったんだけど、やっぱりこういう時は他人の意見を聞くものね!…………何してるの?」
アンナは嫌な予感がして逃げようとしていたニナニナを捕まえていた。
自分だけ逃げようとしたニナニナをアンナは許すものかと目で講義していた。
「私ね。思い出したの!レッドじゃなくてブルーやイエローだったのではと!」
レッドリークラブエッグには生息地によって食べ物が変わる為、色も変わるのである。それに伴い、味も少し変わる。
アミアはアンナがアリシアの記憶を思い出さないのはレッドではなく、他色だったのではないのかと疑ったのである。
「だから、今度は長期ゲテモノ旅行に行くわよ!」
「「断る」にゃ」
前と同じ返答をする二人であったが……
「言っておくけど貴方達のご主人様には許可を取ったわよ。お土産よろしくって。だから行くわよ。」
先手を打っていたアミアは旅行道具を取りに帰った。
「アンナ。」
「何よ。ニナニナ。」
「アリシアの記憶が戻った事にしてあのバカにお姉ちゃんと言ってあげたらこの旅行は無かった事にならない。」
ニナニナは名案ではとアンナを見て言った。
「無理よ。ご主人様がお土産を期待しているのよ。アミアが心変わりしても行くのは決定事項です。」
「だよにゃ〜」
そんなことを二人が言っていると玄関の扉が開いた。
「あっ、言い忘れていたわ。オンリーから言伝。奴隷長が帰ってくるから覚悟をしといた方がいいだって……て、どうしたの?」
それを聞いた二人はゲテモノを食べた時以上に顔を青ざめていた。
「アミア!急いで旅行行くにゃ!」
「行きましょう!お姉ちゃん!あの悪魔が帰ってくる前に!」
「えっ!アリシア!今、私のこと!お姉ちゃんって言った?!」
「そんな事どうでも良いにゃ!すぐに出発にゃ!」
慌てたように二人に押されてアミアは自分の家に旅行道具を取りに帰った。




