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絶望

 クラム達は学園にクラムとリリスが戦う為、闘技場の使用許可を貰った後、すぐに準備して闘技場に来ていた。


「さぁ、やりましょうか、クラムさん。」


「あぁ、リリス。お前に勝てなきゃ、オンリーには勝てないって事だからな。」


「「それより………なんでこんなに人が集まっているんだ?」」


 学園に申請してすぐに来たのに既にギャラリーが集まっていた。


「私が呼びました!」


 マーゴが元気よく返事した。


「なんでそんな事したのよ。」


 リリスにはマーゴが人を呼んだ理由が分からなかった。


「だって今からオンリー先輩対策をするんですよね。なら人がいっぱいいたほうが良いじゃないですか!」


 学園祭の武道会はトーナメント制を採用されている。その為、誰が当たるのかは分からない。つまり、誰がオンリーと当たるのかはトーナメント作成者しか当日まで知る術はないのである。

 因みに前年の四位まではシード枠に入れられる為、一位のオンリーと3位のクラムは決勝戦まで戦うことはない。

 そのルールを利用してマーゴは他の人にもオンリー対策を教えてどうにかしてオンリーが倒される確率をあげようとしているのだ。


「クラムさん。早く始めましょう。」


「そうだな。」


 よく考えたら、ギャラリーが居ようとも関係ない事に気づいた二人は周りを無視して戦い始めた。


「クラムさん。貴方は私に勝てるつもりでしょう。実際に貴方の方が総合的な力は上でしょう」


 リリスが言う通り戦闘においてクラムはリリスより上であった。


「今から貴方に聖女護身術の真価を見せてあげます。」


「真価?っ!」


 クラムはその言葉を聞いた瞬間、身体が硬直した。

 クラムにはこれに覚えがあった。


「聖女護身術、聖縛です。」


「ぐぐぐっ!こんなものか?」


 リリスの聖縛はオンリーのより数段強度が劣っている為、クラムは力づくで破る事が出来た。

 その事にクラムは驚きはしなかったが、思っていたよりあっさり破れた事を疑問に思った。


「流石ですね。私の技では一回では無理ですか。」


「余裕そうだな。」


 リリスは自分の技が簡単に破れたのにその事が分かっていたのか何も衝撃を受けてなかった。


「えぇ、余裕ですから。それに………」


「っ!っ!」


 今度は反応したつもりだったが、連続で発動された聖縛に捕まってしまった。


「クラムさんを捕まえるのは簡単ですから。」


「ぐっ!あぁ…リリスの捕縛を破るのも簡単だ。」


 それから数度同じ事が繰り返された。


「あれ?」


 異変に気づいたのは、ギャラリーで二人を見ていた人達だった。


「なぁ、クラムの方が明らかに一年の女の子より疲れていないか?」


「あぁ、疲れているな。」


「可笑しくないか?普通、何かしらの技を使っている女の子の方が疲れるんじゃないか?」


 ギャラリー達は実力者のクラムを少しでも拘束できる聖縛の力の消費がクラムの疲労より上である事を考えていた。

 その為、長期戦はリリスの方が不利。そういう展開になると予想していた。


「そろそろ疲れてきましたか?」


「何をしたんだ?リリス……」


 クラムも自分の異変に気づいていた。


「これが聖女護身術の真価ですよ。」


「なに?!」


 自分の方が疲れている事が聖女護身術の真価と言われてクラムは困惑していた。


「聖女護身術の技は全て相手の聖力を使って、威力や持続力を上げる技なんですよ。」


「なんだと!」


 つまり、当たれば当たるほど不利になるのはこっちだと言う事をクラムは理解した。それなら………


「それなら、精霊の力を使って私の捕縛から逃れる。そう考えているでしょう。」


「なっ!」


 リリスが言った事はクラムが考えていた作戦であった。

 ノータイムで来る捕縛から避けて攻撃に転ずるには数手必要であり、今の状態ではリリスから数手勝ち取ることも難しかった。


「聖女護身術は元々、回復能力特化の聖女が自身を守る為に考案された術です。なので、聖女護身術の技は全て時間稼ぎの為の技なんですよ。」


「えっ?」


 クラムは疑問に思った。

 聖女護身術が時間稼ぎの技とは思えなかった。


「その時間稼ぎの技を必殺の技にグレードアップさせたのが、私の師匠です。そしてその全てを唯一継承出来たのがオンリーです。私には技を必殺にする事が不可能でした。」


「じゃあ、これまでオンリーが使っていた技は………」


「はい、全てが低燃費、高威力な技です。」


 ギャラリーは戦慄した。

 ほぼ全ての人がオンリーの戦う所を見た事があり、その技の凶悪さを知っているからである。


「さぁ、クラムさん。戦闘を続けましょう。」

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