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コンプレックス

「はぁ……はぁ……」


「シィ、どうしたの?」


 キリスはいつものようにシィとシィの部屋でくつろいでいたら、シィが苦しそうにしていた。


「な、なんでも…ない…」


「そんなわけないじゃん!とても苦しそうだよ!」


 明らかに痩せ我慢しているシィを問いただした。


「……………お腹空いたの。」


「え?」


「だから!お腹空いたの!」


 何か持病を隠しているのではないかと思っていたキリスはシィのまさかの発言に困惑していた。


「え?お腹空いた?」


「そう!お腹空いたの!」


「わ、分かった!」


 あまりにも深刻そうにシィが言う為、キリスは急いで食堂へ食べ物を取りに行った。


「これで良い?この前、オンリー様が仕事のお土産に貰ってきたソラクジラの肉を塩で焼いた物だけど。」


「それで………良いから…それを置いて出て行って!」


「えぇ〜一緒に食べようよ〜」


 ただの空腹で安心したキリスはいつものようにシィに絡んでいった。


「私……食べる…姿を…見ら………れるの…嫌いな…の。」


「そういえば…シィが食堂で食べてるの見た事ないね。」


 キリスは大体を食堂で食事している為、食事を部屋でする派と食堂でする派が誰なのかを把握している。

 シィは部屋で食べる派なので何を食べているとか好物もキリスは知らなかった。


「別に私は気にしないよ。」


「わ!た!し!が!気に……する…の…よ………」


 あまりにも苦しそうにしていたので、キリスは粘らずに部屋を出て行った。


「やっと……出て行った…」


 シィはもう涎を垂らしながら肉を食べようとしていた。


「ごっめーん。読みかけの本を置きぱなしにしてた〜あ……」


「あ………」


 そこには、ドラゴンの姿をしたシィがいた。


「みーたーわーねー」


「いや、わざとじゃないんだよ。それに可愛い姿じゃない。」


 シィのドラゴンの姿はドラゴンと言うには小さい姿をしていた。


「この姿を見た奴は生きては返さない。」


「いやいやいや、そんな大袈裟な事!」


 物凄い殺気でシィが言っている事が本気である事が分かったキリスは弁明しようとしている。


「それにさっきも言ったけど可愛いよ姿だよ。」


「だから!嫌なのよ!」


 竜種にとって竜化は憧れであり才あるものが生涯かけて挑戦しても絶対出来るわけではない最高難易度の能力である。

 シィはそんな竜種の中でも竜化に関しては生まれた時から出来る天性の才能を持って産まれてきた。

 通常、成人したばかりの竜種が出来る能力ではない為、シィが産まれるまで分かっていなかったが、竜化でのドラゴンの姿はその者の年齢に比例したドラゴンの姿になる事が分かった。


「私の元々小さい身体だとこんな滑稽で小さいドラゴンになるのよ。誰にも、特にマスターにはバレたくない事なのよ。」


 今にも泣き出しそうなシィを見て本当に見てはいけないものを見てしまった事をキリスは自覚した。


「でも、なんでそんな姿になったの?」


 そんなに嫌なら成長するまで使わなかったらいい話だと思ったキリスはシィが竜化している訳がわからなかった。


「私だってしたくないわよ!でも!この姿が一番魔力吸収率が良いのよ」


「………?」


 シィの言った事が分からなかったキリスは詳しく聞く事にした。

 竜種は高魔素の中で生きていた為、その分エネルギーを溜め込まず、使う方向に進化した。

 なので、低魔素のなかではエネルギー供給が呼吸だけでは足らないので、食事を多く摂る事でエネルギーを間に合わしている。


「あぁ、だからシィは大量の料理を要求したんだ。」


 キリスが食堂に食べものを取りに行く際、シィに出来る限り多くの料理を持ってくるように言っていた事を思い出していた。


「ぐずっ、誰にもこんな…姿…見られたくなかったらのに………」


「あわわ、泣かないでシィ。」


 もう完全に涙が溢れてきているシィをなんとか慰めようとしていた。


「誰にも言わないから。」


「ぐすっ、本当よね。」


「本当だよ。誰にも言わない。」


 シィが反応した為、なんとか泣き止む糸口にしようとしていた。


「もし言ったら……聞いた人含めて殺すから。」


「うん、その時は私も手伝って殺すね。」


「貴方が最初に死ぬのよ。」


「あはは、じゃあ手伝えないね。」


 シィが落ち着いたのでまだ閉めていなかった扉をキリスは閉めた。


「やば〜聞い〜ちゃった〜」


 通りすがりなクーメェも聞いていた事を二人まだ知らない。

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