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希少種

「気持ち悪い。」


「酷いことを言いますね。」


 オンリーと敵二人が対戦して数分、オンリーの狙い通り膠着状態が続いた。


「何者だ?お前。」


「ただ、冒険者です。」


「嘘つけ、ただの冒険者がこれだけの強さを持っているか!お前が噂のジュエルだな。」


「ジュエル?」


 戦闘狂の方は冒険者ランクを知らないらしい。その代わりもう一方の方は情報通の様だ。


「冒険者ランクだ。セネル。」


「………………あぁ、冒険者ランク。」


 セネルと呼ばれた戦闘狂は冒険者ランクは聞いたことあるようで数瞬考えて思い出していた。


「その中でも、ジュエルは最高峰の一個下の化け物の入り口レベルだ。」


「確かに私のランクはジュエルですが、化け物とはさっきから失礼ですね。」


 オンリーは敵二人が失礼な事ばかり言うので少し不機嫌になった。


「どう見ても化け物。」


「セネル。長引いたら私たちに勝ち目はない。短期決戦で行くぞ。」


 女はそう言うと、セネルの首を噛んだ。


「なるほど、そちらの女性は吸血鬼でしたか。」


「流石にバレるか。」


 女には牙が生えていた。その牙はセネルの血で赤く染まっていた。


「もう片方の人はアマゾネスでしょう。」


「よく知っているんだな。この辺りではアマゾネスは珍しい筈だけど。」


 セネルがアマゾネスだと言う事は最初から気づいていた。

 褐色な肌に女性離れしたパワーと戦闘狂である事。確信したのは魔力ゼロの特殊体質である。


「この世に見つかっている人種で魔力ゼロはアマゾネスだけです。」


「じゃあ、アマゾネスが魔力ゼロか知っているか?」


「魔力も有ったらアマゾネスが他の人種より強すぎる為、天は弱点として魔力を与えなかったなんて言われていますね。」


 分かっていない。それが答えであり、どう調べても魔力ゼロな事が分からない為、科学者の中にもこの説を信じる人がいるくらいである。


「じゃあ、アマゾネスが魔力を持ったらどうなるかのか見せてあげる。」


「ウグァ……」


 吸血鬼に血を吸われてから倒れていたセネルが唸り起き上がった。


「眷属化ですか、初めて見ました。」


「そうか、今度はその身で味わってみるんだな!」


「グァン!」


 眷属化とは吸血鬼が使う他者への強化の事である。

 この強化のせいで、吸血鬼に噛まれたらグールと言われる魔物になると言われていた。それによって差別され狩られ続けた。

 今では、吸血鬼は絶滅危惧種の希少種になった。


「吸血鬼はヴァンドゥーに行かないと会えないと思ってましたが、こんな所で会うなんて思ってませんでした。」


「グァン!ガァー!」


「セネル!そのまま、攻め続けろ!」


 アマゾネスのセネルが眷属化する事によって面白い事になっていた。


「眷属化すると魔力を得る事ができるんですね。元々のパワーに強化の魔法と眷属化の強化で圧倒的なパワーになっていますね。」


「それにしては余裕そうだな。」


 オンリーがセネルの攻撃を紙一重に避ける為、吸血鬼は焦っていた。


「どれだけパワーがあっても当たらなかったどうってことないです。」


「それなら、これならどうだ!」


 吸血鬼はそう言うと手から光魔法を使ってオンリーの視界を潰した。


「良い作戦です。」


「なっなんで………」


 吸血鬼は光が消えた後の景色がセネルの攻撃がオンリーに手で受け止められていた事に驚いていた。


「見るのは初めてですが、眷属化の事は知っているんですよ。相手の身体に負担がかなり掛かる為体力がすぐ尽きてしまう事も、体色を変える事で擬似的な透明化が可能である事も知っています。」


 セネルの身体は周りの景色に合せて色が変わっていた。

 吸血鬼の目潰しだけではなく、その後の攻撃も透明になる事で目潰し対策されても当てる予定であった。


「それしても、よくあの一瞬で脱ぎましたね。感心しました。」


「感心するところはそこかい。色々とズレた奴だな。」


「グゥ!グゥ!」


 オンリー達が話している間もセネルはオンリーの拘束から逃げようともがいていた。


「セネル!どうした!」


 セネルがいくら経ってもオンリーに攻撃出来ていないだけではなく、一歩も動けていない事に吸血鬼は不思議がっていた。


「この方はもう動けませんよ。」


「なにっ!」


「そして、貴方も動けません。」


 吸血鬼はいきなり自分の身体動かなくなった事で混乱していた。


「そんなにもがこうとしても、無駄ですよ。聖女護身術、聖縛。相手を指一本触れずとも拘束する技です。逃れる術はただ一つ私の拘束より強い力で引きちぎるだけです。」


「「っ!」」


 それは短期決戦でオンリーを倒そうとして二人にとって絶望的な状況になった。


「そのまま、待っていてください。そろそろあっちも終わりそうです。」


 オンリーはクラムの方を見ると、いつもとは違う姿になったクラムが居た。


「至った様ですね。流石、クラム君です。」


 また、少し自分の友達にクラムが近づいた事に喜ぶオンリーであった。

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