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論破

「なんでいるんですか?」


「それはこっちのセリフだ。なんでお前がここにいる。」


 オンリーは今、仕事である組織のアジトにいる。

 なんでも、高ランクの冒険者がいるらしいので、オンリーにお鉢が回ってきた。


「私は仕事です。クラム君はどうなんですか?」


「俺は仲間がコイツらに攫われたんだよ!」


 群がってくる敵を倒しながら会話をしていた。


「相変わらず、トラブルメーカーですね。友達が多いからそうなるんですよ。少しは減らしたどうですか?」


「はぁ、そんな事するかよ。全員大切な友人だ!」


 あくまでも友人扱いするクラムに少しはクラムの女友達達が不憫に思えたオンリーであった。


「それは残酷な事で。」


「あぁ、何がだよ。」


 その事に一切気づいていないクラムにやっぱり主人公みたいな人だとオンリーは思った。


「クラム君、君はそのまま育ってください。」


「あ?何が?」


 オンリーの言った事が理解出来ていないクラムは聞き返した。


「簡単に言うと私を失望させないでくださいという事です。」


「っ!」


 何か嫌な感じを感じてオンリーから距離を取るクラムであった。


「おや、なぜ距離を空けるんですか?」


「お前が怖いからだよ!」


 オンリーにはクラムが自分と距離を空けるのか理解出来ていなかった。


「それより、もう少しで開けた場所に出ますよ。」


「なんでそんな事が分かるんだよ。そもそも、どうやってたどり着いた?」


 この場所は魔法で隠されている為、クラムは見つけるのに仲間の力を借りてやっとの思いでたどり着いたのである。


「私には情報収集が得意なものがいましてね。弱点が分かれば侵入に労力はいりません。」


「たしかお前の猫の獣人だったか?」


 クラムはオンリーの話を聞いてその人物が前にアミアから聞いたニナニナって言う猫の獣人だった事を思い出した。


「おや?知っていましたか。彼女は優秀ですよ。奪わないでくださいね。」


「取らなぇよ。そんなに大事ならもっとマシな扱いしろ。」


「?」


 オンリーは奴隷達に対してちゃんとした待遇で契約している。


「結構良い生活送らしているつもりですよ。」


「そうじゃない。その奴隷を人として見ていない目や言動の事を言っているんだよ。」


 それこそ、オンリーにとって意味がわかっていなかった。奴隷とは主人の所有()であり、生き物ですらない。

 オンリーはそう解釈している。


「それはクラム君の価値観です。私には私の価値観があります。私にとって奴隷は人ではありません。」


「それが!おかしいって言ってんだよ!奴隷も人だ!心があるんだよ!」


 ここで自分とクラムの決定的違いにオンリーは気づいた。


「なるほど。」


「何が笑ってるんだよ?!」


 自分の考えが笑われたと思ってクラムはイラッときていた。


「いや、誤解させたなら謝ります。ただ、クラム君はものには心が無いと思っているんですね。」


「はぁ?」


 クラムにはオンリーの言っている事が分からなかった。


「どうやら、クラム君はまだ付喪神を知らない様ですね。」


「付喪神?」


「東洋では古くから知られている精霊の一種です。大事にされた物などに宿るもしくは生まれると言われている種です。」


 最近では西洋でも知られて来ている種であり、それ以前からは一切確認が報告も伝承も無かったことから東洋からの外来種だと言われているが、真相はまだ分かっていない。


「それがどうしたんだよ。」


「つまり、ものにも心はあります。付喪神も大切にしてくれた人には幸運を、酷い扱いをした人には厄災を与えると言われています。そして、私は付喪神を見させてもらった事があります。なので、私の中ではものにも心があるという考えなんです。」


 完全な論破されたクラムは呆然していた。


「そろそろ着きましたよ。」


 話している内に広場に着いてしまった。

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