友達
「ねぇ。」
「どうしたの?」
ここはオンリーの屋敷。今はシィともう一人小さい子がいる。
「なんで、私の部屋にいる。」
「えぇ、別に良いじゃん。奴隷で同じくらい子、他に居ないんだし年は知らないでしょ。身長同じくらいだし。」
子どもの悪意のない言葉の刃がシィの心を刺す。
「ガキが殺すぞ。私は成人済み。つまり、大人。子供の貴方とは違う。ガキはガキらしく親に甘えとけ。」
子ども相手でも自分を傷つける相手には殺気丸出しで警告する。
「おぉ、怖い。でも、甘える親も今は仕事でどっか行ってるから甘えるのは無理なんだよね〜。」
「?親いるの?」
シィは悪意込み込みで言った言葉だったのだが、子供からの反応が思ったのと違っていた。
「あれ?もしかしていないと思われていた?」
「だって、マスターの奴隷は全て刑期奴隷だと聞いた。」
その為、子どもの刑期奴隷は親を亡くし仕方なく悪事に染めた子だと思っていた為、親が健在な事にシィは不思議がった。
「そうだよ。僕も刑期奴隷。家族も全て刑期奴隷でオンリー様の奴隷だよ。」
「珍しいわね。家族全員同じ人の奴隷なんて。」
人里に降りて来たばかりのシィでも、家族全員と一緒に同じ人の奴隷になるなんて希少であり、おかしい事である事が分かっていた。
「うん。だって僕達家族はオンリー様に捕まってそのまま能力を買われて奴隷になったからね。」
「なるほど。」
オンリーの仕事には悪人の逮捕協力もあると聞いていたシィはそれ関連の仕事でこの子は奴隷になったんだとシィは理解した。
「へぇ、じゃあおまえ………言い難い。名前、教えて。」
相手を名前で呼ぶシィにとって名前を知らない相手を呼ぶの違和感がハンパなかった。
「あっ、言ってなかったね。僕の名前はキリスだよ。こう見えて女の子だよ。」
「それは分かってる。その辺の雑魚と同じにするな。」
キリスは毎度間違えられるから言ったこと立ったのだが、シィにとっては相手の性別も分からない雑魚と同じだと思われたと思ってイラついていた。
「あっ、それはごめんね。毎度、後で驚かれるのはもう飽きたからね。」
「そう、見る目のない人としか関わってなかったのね。」
「それより、何が聞きたかったの?」
話が脱線しそうだったので、脱線する前にキリスは話を戻す事にした。
「えぇ、マスターに能力を買われたのならキリスの能力は何?」
自分は竜本目当てで買われた事は知っているので、それ類か、ニナニナ見たいなケースの二種があると前にニナニナから聞いていた。
話の流れから後者なのは確定しているが、この子にそれだけの価値があるかと思っていた。
ちなみに幼い子が家族と離れ離れが可哀想だから買ったなんて話はマスターに限ってないので、そんな事を一ミリもシィは考えてなかった。
「あぁ、それは簡単だよ。」
「…………っ!」
「こんな感じに相手を殺せる才能があるからだよ。」
「いつの間に!」
キリスはシィの目の前から忽然と消えると突然シィの背後から首にナイフを当てながら現れた。
シィは一切キリスから目を離していなかった。それなのに空気に溶ける様に消えていた。これは………
「何?異能?」
「異能?違うよ。これはそんな神からの贈り物なんてものじゃない。ただの才能だよ。僕達家族は気配を消す事に関して誰よりも得意なんだ。感覚が鋭い獣人にも分からないくらいね。」
危険察知特化の獣人より劣るがそれでも並の獣人より五感は鋭いと知っているシィはそんな自分の索敵範囲で姿を消すキリスに興味が湧いた。
「面白い。マスターが欲しがるのもわかる。」
「そうでしょう。ちなみにオンリー様には家族で一番上手いお父さんでも隠れる事は出来なかったよ。」
「そんなの当たり前。マスターは最高にして最強。生物の頂点には下の生物の力なんて届かない。」
シィにとってオンリーは絶対的な存在であるから。キリスの能力が通じなくても何も驚く事は無かった。
なので、オンリーの夢である対等な友達なんて一生できるわけがないとシィは思っている。
「?じゃあ、キリスの罪って。」
「うん。僕達家族はこの力を使って暗殺家業を営んでいたんだ。それでターゲットだったオンリー様にあっさり返り討ちにあってね。そのまま奴隷になったって訳。」
オンリーの仕事ではなく、キリス達の仕事で奴隷になったとは考えてなかったシィは驚いていた。
こんな子供が暗殺していたことではなくオンリーに暗殺なんて天地がひっくり返っても不可能な事をしようとした事にである。
「そう、分かった。じゃあ聞きたい事を聞いたから。さっさと帰って。」
「えぇ、遊ぼうよ〜。」
なんだかんだ仲良くなったシィとキリスである。




