魔本
竜種とは竜に似た特性を持つ人種のことである。
昔は竜が魔法で人に変身した姿だと言われていた。今では完成な別種である事が研究では判明している。
「それにしても凄い値段になったにゃ。」
あれから、凄まじい勢いで値段が上がっていった。
「無事に買えたな。」
「良かったにゃ。ご主人。」
それにしても、ご主人がこんなに欲しがるなんて初めて見たにゃとニナニナは不思議に思っていた。
「それにしても、ご主人が本以外であんなに欲しがる事もあるんだにゃ。」
「前々から欲しかったんですよ。」
「前々から?」
「そうです。竜が持つと言う竜本が欲しかったのですよ。」
竜本とは竜種が初めて竜を倒した時にその竜の死体を全て使った本であり、世界三大魔本の一つと指定されている。
「あぁ、聞いた事はあるにゃ。でも、あれは他人には読めないって話にゃ。」
「それは知ってるよ。でも、あれには抜け道があるんだよ。」
そうこうしていると、受け取り場所に着いた。
「お待ちしていました。オンリー様、店長は中に居ます。」
部屋の前にいる従業員に通されて中に入った。
「久しぶりですね。オンリー様、ニナニナも元気そうですね。」
「そうですね。前に会ったのはニナニナの定期健診の日でしたね。」
「店長も元気そうだにゃ。」
この女性はこの国でも屈指の商会の奴隷店店長であり、オンリーが買った奴隷の何人かはこの店で買った。ニナニナもその一人である。
「それではこちらが今回の契約書です。」
「…………………問題ありません。」
オンリーも契約するのは慣れている為、スムーズに読んでサインした。
「それにしてもあの竜種は何したんにゃ?」
「気になりますか、ニナニナ。」
オンリーが契約書にサインしてその他の資料に目を通していると、店長とニナニナが話し出した。
「あの子の事はあまり分かっていなんだけど、取り締まった騎士や裁判官が言うには家出した後、人里に降りて来たようなのよ。」
「その後、犯罪を起こしたのかにゃ?」
「そうらしいわ。なんでも、竜種を知らない子供が羽や尻尾を珍しがって触ったらキレてボコボコにしていたら、大人達がやってきてその人達もボコボコにしたって聞いているわ。」
竜種にとって羽や尻尾などを触って良いのは家族などの親愛な人達だけであり、その中でも角は配偶者にしか触らせないと言われている。
「それで捕まったのかにゃ?」
「いいえ、その時は捕まらなかったようなのだけど、あまりにも死人は出なかったのだけど他の被害が酷くて偶々家族と旅行に来ていたその国の騎士団長に捕縛されたのよ。」
「それはまた運のない奴にゃ。」
国よって実力は違うが、騎士団長はその国の最高戦力である事が多い。
「そして、本店がその子を買って私の所に送られて来たのよ。」
「その国で売らなかったのかにゃ?」
大体の刑期奴隷は捕まった国で売られる事が殆どである。
「この国には刑期奴隷を重宝するオンリー様が居ますから。この子も高値で買ってくれると期待しての事です。」
「あまりそんな事を本人の前で話さないでください。」
「でも、本当に買っているにゃ。それも圧倒的な高値でにゃ。」
何回もオークションや店で奴隷や本を買っているため、どんな落とし方をするかは熟知されていた。
「あら、もう書けました?」
「えぇ、ではいつも通り屋敷に送ってください。」
「えぇ、大事な商品ですから。丁重に運びますよ。」
オンリーはこの店はお客に卸す前に奴隷を再教育してから渡すようにしている為、いつも、教育し終わったら送ってもらうようにしていた。
「それでは帰りますよ。ニナニナ。」
「分かったにゃ。」




